終映が迫る劇場版「鬼滅の刃」無限列車編。寂しい気もするが、すでにTVアニメ2期「遊郭編」の公開が告知されている。しかも、公開予定は2021年……すなわち今年中に鬼滅2期が来るのだッ

そこで気合を入れなおす意味でも、『鬼滅の刃』の聖地となっているスポットに行ってみることにした。兵庫県姫路市にあるという「われ岩」が竈門炭治郎(かまどたんじろう)が切った岩に酷似していると話題になっているようなのである。

・注意点その1

この噂を知ったのは姫路に住む知人から。その知人も「なんかあるらしいよー」程度の認識だったため、隠れ聖地なのかもしれない。

ところで、姫路と言えば個人的には結構都会のイメージ。新幹線も乗り入れるターミナル駅だし姫路城もある。そんな街中に岩があるんだろうか? と思いきや、その住所の最寄り駅であるJR姫新線(きしんせん)の太市(おおいち)駅で降りたところ……


アイヤー! 絵に描いたような田舎アルー!!

見渡す限りの山と畑。そこに響き渡るのは鶯(うぐいす)の声。いや、ホーホケキョてあんた。めちゃめちゃのどかですがな。

確かに、姫路駅からの電車は1時間3本くらいしかなかったし1両編成だった。乗り過ごしたら20分くらい待たないといけなくなるので電車でのアクセスには注意が必要である

・注意点その2

さて置き、「われ岩」は破磐神社という神社の御神体らしい。で、その破磐神社は駅を出たら、畑の向こうに鳥居が見えた。そこで鳥居目指して歩くと徒歩5分くらいで到着。

どうやら、破磐神社はかなり由緒正しき神社のようで、カッコイイ名前に負けず劣らず社殿や参道も美しく立派だ。菅原道真なども祀られており、ご利益パワーが強そう


だがしかし……


境内に「われ岩」が見当たらない

ひょっとして、普段は一般人が入れない場所にあるのだろうか? そこで社務所にいた巫女さんに話を伺ってみたところ……


巫女さん「『われ岩』は、破磐神社から少し離れた場所にあるんですね。歩いてだと20分くらいかかるかも……」

──と、地図をくれた。神社を出て線路を越えると太市の交差点がある。その太市の次の信号である「丸山」まで行くと集落があり、その集落から入る山の中にあるのだとか。必然的に破磐神社をググるとわれ岩とは違う位置が出てくるし、「われ岩」でググっても細かい住所はないので注意しよう

・破磐神社からわれ岩の距離

とは言っても、信号1個分くらいの距離なら、まあ、のんびり歩くのも良いだろう。そう思って歩きだしたのだが、そこで私は思い知らされた。ここは東京の街中ではなく、姫路市西脇なのだということを。つまり、何が言いたいかと言うと……

信号見えねェェェエエエ


見晴らしの良い道の果てまで信号の気配が一切ない。見えるのは畑と山とまっすぐな道、そして飛行機雲。悠久すら感じる風景だ。次の信号なんて本当にあるのか

私も田舎出身ではあるが、知らず知らずのうちに都会の価値観に染まっていたのかもしれない。丸山の信号に着いたのは25分後のことで、多分、2kmくらい歩いたと思う。

・隠れスポット

丸山の信号は太い道がT字路になっているのだが、その脇に集落に入っていく路地があった。その路地を進んでいくと、われ岩の看板が。空地の端に立っているので比較的わかりやすいかと思う。しかしながら、観光地的な雰囲気は一切ない


看板の指示にしたがって墓地を右手に通り抜けると山の中へと道が続いていた。


なんとなく雰囲気が出てきた気がする。両サイド竹藪の山道が『鬼滅の刃』に出てきそうな和風アニメオーラをビンビン発しているのだ


と、その時!


われ岩発見!


真っ二つに割れた巨大な岩は大迫力。炭治郎が切った岩に似ているとして聖地化されているスポットは全国にあるが、「似ている」ということで言えばこれは屈指のクオリティーではないだろうか

しめ縄も巻かれており、今にも錆兎(さびと)と真菰(まこも)が岩影から出てきそうである。しかし、見れば見るほどに、こんな岩日本刀で切れないよな。全集中の呼吸をリアルで少し体感できた気分である。

・割れた理由

しかし、この岩、なんで割れたんだろう? そこで脇に立っている紹介看板を読んでみたところ、驚くべきことが書かれていた。


「このわれ岩は神功皇后が放たれた第三の矢が当って破れたと今に伝えられる破磐神社起源の大磐石です(以下省略)」──


矢で割ってるゥゥゥウウウ!!

しかも、「朝敵退治を天神地祇(アマツカミクニツカミ)に祈られ天に向って矢を放たれました」と書いてるので、岩に対してまっすぐ射ってないところがヤバイ。神功皇后、強すぎかよ。柱超えてるだろ。

というわけで、伝承はマンガよりも奇なりだった今回の聖地巡礼。思いがけず、大冒険になってしまったが、行くまでの道のりも合わせて日常を忘れられる味わい深いものになった。『鬼滅の刃』に神功皇后がいたら、誰も死ぬことはなかったかもしれない。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.