その日、私は部屋を徹底的に掃除していた。数日後には我が子がここに寝るかもしれない。そう思うと、掃除機をかける行為1つにも気合が入るというものだ。

しかし、私はあまりにも作業に夢中になっていたらしい。そのため、スマホを見たときに呼吸が止まりそうになった。というか、あのとき私の心臓は実際にちょっと止まったかもしれない。

・初めての出産立ち会い

すでにお察しの人も多いかと思うが、本記事で取り上げるのは私が出産に立ち会った話。めちゃくちゃ個人的なことではあるが、これほど貴重な経験はなかなか出来るもんじゃない。

なにより、立ち会おうかどうか悩んでいる人、あるいはこれから出産を控える方にとって何かしら参考になるかも……と思ったので紹介したい。


・社会状況的に立ち会いがNGな病院も

さて、まず押さえておくべきなのは、コロナ禍の現在(2022年2月時点)、出産時の立ち会い自体がNGの病院も多いということだ。また、立ち会いOKの病院でも、何かしらの制限を設けているところがほとんど

たとえば、人数制限とか、立ち会いの時間制限、面会時間制限……などなど。妻が出産した病院もまさにそうで、立ち会えるのは私(夫)のみ。また、その時間も生まれる直前のみ。「今だ」というときになったら、妻からLINEで連絡が来る手はずだった。

つまるところ、連絡が入ったら私だけパッと行ってパッと帰るイメージ。おそらく、私が病院内に滞在できるのは長くて4時間ほどで、通常に比べたらクイックモーションのような立ち会いになるはず。

それだけに、生まれる直前のタイミングを逃してはならないと思っていた……が! 私はそこで致命的なミスをおかしてしまう。


・病院に呼ばれるまで何をするか?

あれは出産予定日の朝7時過ぎのこと。妻から陣痛促進剤の投与が始まった旨のLINEが来た。


……この時点でお察しの方もいるだろうが、今回わたしたち夫婦が選んだのはいわゆる『計画分娩』で、超ザックリ言うならば「陣痛促進剤が始まったら試合開始」ってことだ。

ただ、促進剤を投与したからといってサクっと産まれるわけではない。私は「陣痛 出産までの平均時間 初産婦」のワードでGoogle先生に相談した結果、「病院に呼ばれるのは早くても夕方くらいかな?」と予想していた。

さらに、妻からこんなLINEが。


こりゃあ今日中に産まれたらラッキーくらいに思っていた方が良さそうだ。焦っても仕方がないから、家事でもするか。そう思った私は、ひとまず掃除で気を紛らわせることにした。

ただ、着信に気づかないとマズいので、スマホのバイブを解除した上で、洗面所・トイレと掃除していく。そして、冒頭で述べたように掃除機をかけたあと、13時前にスマホを見たら……



!!!!


もしや……



ファアアアアアアアアアア!


さらに……




うん?


これは……


「もう産んどきます」!?


なんという失態だろうか。着信音が聞こえるようにスマホのバイブを解除したのに、掃除機の音がすべてをかき消していたなんて。ひとまず私は、


「わかっあ」と、混乱が前面に出た誤字LINEを投下。自分が やらかしたこと以外なにも分かっていなかったが、スマホと携帯と鍵とマスクだけ持って部屋着のまま病院まで全力ダッシュした。大げさではなく、信号で止まる以外はノンストップである。



走って……



走って……



走って……



病院の入り口に着いたとき、自動扉に映った私は頭から湯気を出していた。こんな状態では体温検知機に弾かれる可能性もある。「ピピピ」と鳴って止められたらどうしようかと心配したが、奇跡的に通過。

そのまま病院内を進んでいき、分娩室に通じる部屋のインターホンを押す。割とマジで「もう産まれました」という反応を覚悟していたら……! 続きは次のページでどうぞ。


執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.