スマホを持っていると、ついつい写真を撮ってしまう。あとから見返し「何でコレ撮ったんだろ?」と思うようなモノも少なくない。そのくらい撮影は手軽で日常的なものになっているが、昔は今ほど簡単ではなかった、
そんな昔の技法を用いた撮影を体験できるぞ! 東京・西武池袋のイベントで170年前の撮影技法を用いた「湿板(しっぱん)撮影」をやっているので、実際に撮影してもらった。出来たものを見ると……、まるで歴史上の人物だ!
・湿板写真専門スタジオ
西武池袋本店では現在(2022年2月16~23日)、「暮らしの中の骨董マーケット」という催しを行っている。会場ではアンティーク・骨董・雑貨などを販売しており、その一角に湿板撮影コーナーを設けているのだ。
撮影は1カットで税別1万円。出来上がるのはプリント写真ではなく、ポートレートが写ったガラス板である。
撮影は東京・日暮里の湿板撮影専門スタジオ「ライトアンドプレイス湿板写真館」が行っている。ここは時代劇など番組制作や雑誌撮影の協力も行っているそうだ。
・温度、湿度に影響を受ける
歴史上の人物のポートレートは無表情のものが多い。なぜなら撮影に時間を要するため、無表情になってしまうそうなのだ。湿板撮影はまさにソレ! 撮影完了までに6秒間かかる。その間、動いてはダメなので私(佐藤)も極力同じ姿勢で、頭や身体が動かないように硬直姿勢を維持した。
たった6秒でしょ? と思われるかもしれないけど意外と長いんだよ。少し息を吸っただけで身体が動いちゃう。目線が動くと首が動くので、1点を凝視して息を止める……。そりゃ無表情になるよね。
この撮影方法はとてもデリケートで温度や湿度が仕上がりに影響する。出店初日に1番で撮影に臨んだため少々ハプニングがあって、2回撮り直すことになった。
昔はこんな風に手間と時間をかけて撮影してたんだよなあ。そりゃあ人物の顔も硬くなるよね。今ではボタン1つでパシャリ! だもんね。坂本龍馬がスマホ持ってたら、写真撮りまくったかもなあ。
・完全に歴史上の人物だ!
撮影から完成まで約1時間、指定された時間に受付を訪ねて商品を受け取った。本来は1枚を受け取るはずだったが、撮り直しを重ねたのでサービスで2枚頂いた。この木箱の中に自分の姿が写ったガラス板が入っている。どんな風に写ってるかな?
これが私の湿板写真だ!
…………ガラス板をスマホで撮るのは難しい。そこでプロのカメラマンとしても活動する、当編集部の江川資具に撮ってもらったのがコレだ!
1枚目は照明(専用の紫外線ライト)の調整が上手くいかなくて全体的に暗くなったものだ。
そして2枚目。照明を工夫してより明るく写っている。
たった1時間前に撮ったものなのに、歴史の重みを感じさせる。明るさと色を画像加工するとさらに雰囲気出る! これもう歴史上の人物やん! ステキ!!
興味のある人は会場に足を運んではいかがだろうか? 事前に予約するとスムーズに撮影できるぞ! なお、眼鏡は紫外線ライトの影響で真っ黒になるので眼鏡なしで撮影に臨むか、お店が用意している伊達眼鏡をかけると良いだろう。
参考リンク:湿板写真館、西武池袋本店
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]