大晦日っていつも不完全燃焼だ。もの凄い特別な日オーラを出してるのに、私(中澤)自身は、毎年その特別さをあまり堪能できずに終わってしまうのだ。紅白を見てはチャンネルを変え、ガキ使を見てはチャンネルを変え、いまいち実感を感じないまま年が明ける。

もう年越しそばをどこかに食べに行くのも面倒くせえ! でも、ちょっとぐらい気分は味わいたい。そんな時の強い味方がカップそばだが、コンビニにどん兵衛を買いに行ったところ、同じ日清から『神田まつや 鶏南蛮そば(税込232円)』というものが発売されていた

・食べ比べてみよう

購入価格では、どん兵衛より34円高かったこのそば。勝手知ったるどん兵衛にすべきか冒険してみるか……この問題で悩む人は全国に3000万人くらいいそうな気がする。なにしろ、両方日清だしな。そこで食べ比べてみることにしたぞ。

ちなみに、『神田まつや 鶏南蛮そば』は、具が鴨なだけでかつお出汁だったので、どん兵衛も鴨出汁ではなく、通常の天ぷらそばをチョイス。「本節」と「宗田節」を使ってるところも同じだ。


・比較

しかし、粉末スープの色や荒さは全然違う。黄土色でサラサラしたどん兵衛に対し、神田まつやは赤茶けた色で粉末が粗い。ちなみに、どん兵衛は粉末スープが別袋だが神田まつやは一緒になっているカップヌードル方式。

内容量はどん兵衛100g、神田まつや92g、待ち時間もどん兵衛3分、神田まつや5分と、微妙なところに違いが見える。だが、2つを作ってみたところ……

つゆの色はほぼ同じ。さて、味には違いはあるのだろうか? 価格差としてはたった30円だが、どん兵衛の安心感を考えると、ちょっとウマイくらいでは埋められない差であることも確かだ。


・どん兵衛を食べてみたら

神田まつやはいかにその溝を飛び越えるかが勝負所になるだろう。特に、個人的にはどん兵衛の麺はかなり好きだ。ボソボソとしていて本格的ではないけど、どん兵衛でしか味わえないあの味。店のそばとは一線を画するカップそばならではの気軽なウマさが詰まっていると思う

思い出しただけで食べたくなってきたので、まずは、どん兵衛を食べてみることにした。久しぶりだなー。ツルツル……おや

どん兵衛の麺ってこんな味だっけ? なんかペロンとしていて記憶の味と違う。私の記憶では麺はこんなに平べったくなかったはずだ。食感がまるでカップヌードルみたいなのである。


・神田まつやを食べてみた

麺が変わったのだろうか? それとも、久しぶりだし、私の記憶違いだろうか。モヤモヤしたが、これは食べ比べの本筋には関係のないことである。強いて言うなら、どん兵衛のハードルが少し下がったかな。そう思いながら、神田まつやを食べてみたところ……!?

コレコレコレーッ!!


この味だよこの味! 麺がバツッと切れる噛み心地は完全に記憶の中のどん兵衛と一致!! そう、あろうことか、神田まつやのそばがどん兵衛よりどん兵衛だったのだ


・どこかで失くしたどん兵衛のどん兵衛らしさ

何を言っているか分からないと思うが、私も分からない。レポーターとしてありのまま今起こったことを伝えさせてもらったが、こうなってくるともはやどん兵衛の方が不利だ。なにせ、つゆに関しては圧倒的に神田まつやがウマイのである。

かつお出汁の味が尖ってるどん兵衛に対して、神田まつやはコクがあり口当たりが優しい。もはやインスタントというより店のそばつゆの方が近いクオリティーだ。同じ「本鰹×宗田節」を使っていても全然違うところに老舗を感じる。

どん兵衛のDNAを感じさせつつも、さらに進化したウマさがある『神田まつや 鶏南蛮そば』。日清の公式サイトによると、何度も再販売されている商品とのことだが、定番であるどん兵衛と食べ比べてみたら人気の理由が分かった気がした。

事実、どん兵衛の麺が変わったかは定かではないのだが、私のように「なんか麺がチャライ」と感じている人は神田まつやを食べてみてくれ。ひょっとしたら、どこかで失くしたどん兵衛のどん兵衛らしさに会えるかもしれないぞ。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.