食欲の秋である。冬へといざなうような冷たい風を凌ごうと、記者はとある飲食店に入った。京都は西本願寺のおひざ元でありながら『大阪屋』という名を冠する店である。

店頭の品書きによれば、種々様々なたぬきが揃っているらしい。ここはひとつ、名古屋風のたぬきをいただくことにしよう。


・京都東京大阪の「たぬき」もある

『大阪屋』に足を踏み入れるや否や、目に飛び込んできたのは読売ジャイアンツのグッズ。はて、ここは京都か大阪か、はたまた東京であったろうか。

狐につままれたようになりながら、名古屋風たぬき(税込650円)を注文する。同店名物であるたぬきは、名古屋風ほか京都風・東京風・大阪風も用意されている。

名古屋以外のたぬきを味わったことがあった記者は、今回は名古屋風を選択することにした。ジャイアンツのグッズを眺めていると、ものの数分で名古屋風たぬきが運ばれてきた。


・クセのあるたぬきが勢ぞろいする大阪屋

たぬきの正体は通のみなさんお察しの通り、うどんである。たぬきうどんと言えば、地域差が激しいことで有名だ。例えば、関東では一般的に天かすが乗ったものを指す。


一方、京都ではきつね(油揚げが乗ったもの)に、あんがかかったものをたぬきと呼んでいる。また大阪では油揚げを乗せたもの、つまりきつねを、たぬきというのだが……あな、ややこしや。

大阪屋ではこうした一癖も二癖もあるたぬきたちが、一堂に会しているということになる。とまあ前置きが長くなってしまったが、今回いただくのは名古屋風。こちらのたぬきには、揚げと鶏が入っているそうだ。


器から漂う良い香りは京風出汁、そしてたっぷりのネギと具。自家製の京風はんなり細うどんが艶(つや)やかで、食欲がそそられる。


すすると麺は柔らかく、ツルんと喉越しが良い。スッキリとしていながらもコクのある出汁とよく合う。また揚げだけでなく鶏が入っているからか、食べ応えも十二分だ。


これは非常に美味しい。京都東京、大阪といずれのたぬきも美味しいが、また違った味わいがここにある。育ってきた環境の違いを感じさせる、たぬきだった。

まさか京都の大阪屋で、ほのかに東京の香り(読売ジャイアンツ)を感じながら名古屋めしを堪能する日が来ようとは。まるでタヌキに化かされたような気分を味わいながら、店を後にした次第。ごちそうさまでした。

・今回ご紹介した店舗の詳細データ

店名 大阪屋
住所 京都府京都市下京区土橋町199
時間 11:00〜17:00(売り切れ次第終了)
定休日 水曜日

執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.

▼京都の大阪屋さん

▼麺と出汁に特にこだわりを感じます

▼メニューが豊富

▼京都らしいあんかけシリーズも

▼今回は名古屋風たぬきをいただきました

▼すごく好みの味で、大盛りにすべきだったと後悔。美味しかったです!