2021年11月現在、フランスでは衛生パス(ワクチン接種証明)の提示がないと、飲食店や美術館はおろか通院すらできないのだという。このことは今夏 “フランスで「反ワクチンデモ」が大々的に行われている” との報道がされたことから、日本でも広く知られた。

そんなわけで「フランスへ行くのは当分難しそうだな」と思っていたのだが、調べると衛生パスは外国人旅行者でもあらかじめ取得可能らしい。とりあえず申請してみて、本当にゲットできたらフランスへ行くことにしようかな? うん、そうしよう。

・専用サイトからカンタン申請

なお衛生パスの申請には、日本が発行する予防接種証明書(ワクチンパスポート)を取得しておく必要がある。日本のワクチンパスをフランスのものに書き換えてもらう……とイメージしていいだろう。



また「フランスへ行く予定もないのに衛生パスだけ取得しておく」という行為は現状NG。申請にはフランス行きのチケットを提出する必要がある。よって「とりあえず申請してみて、取れたらフランスへ行く」という計画はあえなくオジャンとなったのだが……

フランス人の友人に相談してみたところ「フランス国内で陰性証明を取得すれば、3日間は衛生パスと同じ効果を持つ」との情報を得ることができた。陰性証明は街の薬局でPCR検査または抗原検査を行うと簡単に取得でき、費用は30〜40ユーロくらい(約4〜5000円)とのこと。

つまり最悪 “3日に1度4〜5000円” を支払えば、誰でもフランスで普通の生活が送れるわけで。一概に「政府がワクチン接種をゴリ押ししている」とも言い切れなくなってきたな……かくして私は、思い切ってフランス行きのチケットを購入したのだった。



まずフランス保健省のホームページにアクセスし、メールアドレスとパスワードを入力すればアカウントが作成できる。あとは生年月日、パスポート番号、ワクチンの接種日時などを入力し、フランス行きのチケット、ワクチンパスポートの画像ファイルを添付すれば完了だ。

言語はフランス語と英語のみだが、とにかく手順が簡単なので翻訳アプリを使えばものの5分ほどで申請できるだろう。日本でワクチンパスポートを申請した時は様々な書類のコピーを “郵送” する必要があり非常に面倒だったが……このお手軽感、エクセレントとしか言えない。


申請するとすぐに「受け付けました」とメールが届く。発行までの日数は明言されていないが、「作業の邪魔になるので問い合わせはしないで」との注意書きがされていた。ここはおとなしく待つことにしよう。


そして待つこと1週間……



あっさり発行されたァ〜〜〜!!!!!


・いざ渡仏

実際にパリの街へ繰り出してみると、高級レストランはもちろんのこと、ちょっとしたカフェや定食屋ですら、店内で飲食する際には必ず衛生パスの提示が求められた

衛生パスにはQRコードが付いており、読み取り機にかざすだけですんなり入店可能となる。ちなみに現在のところ日本のワクチンパスポートにQRコードは未実装。QRコードを発明したのは日本人だと伝え聞くが、日本政府はなぜこうも活用できていないのだろう。

なお街のスーパーや飲食店のテイクアウトを利用する場合は提示を求められないので、パスがないからといって飢えて死ぬわけではないからご安心。私が10日間パリ中心部を練り歩いた限り、特にデモなどに遭遇することもなかった。

何か事情があってワクチンを接種できない人もいるかと思うが、先に述べたように陰性証明を取得して外食やレジャーに出かける方法もある。検査費用をもう少し下げる必要はあろうが、現在のスタイルでフランスの社会は割とうまく回っているように見えた。

ワクチン接種率が約75%に達したという日本。コロナ以前の日常を取り戻すために、フランス・スタイルに見習うべき点は多いのではないか……と、個人的には感じる。


・PCR検査を受けてみた

さて私が日本を出国した時点で、ヨーロッパ入国に際してのPCR検査は必要なかった。しかし私がフランスの次に渡航する国・エジプトへの入国には陰性証明書が必須となっており、検査してくれる施設を探すことに。

なおウカツにも私は月曜出発の飛行機を予約してしまったため、土曜日か日曜日に開いている施設でなければならない(出発時刻72時間以内に検査する必要があるため)。1軒目に訪れたラボではあえなく「金土日は休み」と断られてしまった。

その後、在フランス日本国大使館のホームページから市内の検査機関を検索できることに気づき、「土曜日営業」だというラボを訪れてみるも……

ここでも「土日はやっていない」と言われた。事前情報と現状は異なる場合もあるので、今後渡航予定の方は早い段階で保健医療機関を探そう。

幸いにも、ここでは別のラボを紹介してくれた。ラボの人たちは旅行者相手のPCR検査に慣れており、「月曜にエジプトへ行く」と言っただけで全てを理解してくれる。難しい英語は不要だ。

そして3軒目のラボでようやく「土曜日の朝8時にいらっしゃい」との回答を得ることができた。ただし予約のシステムはないとのことで、当日どれくらいの人数が検査を受けるのかは不明。仕方ない、少し早めに来るとするか……。


・そして……

パリの夜明けは遅い。私は朝5時に起床し、人もまばらな地下鉄7号線に乗り込んだ。

カフェなどもまだ開いておらず、マーケットの軒先で時間をつぶす。

この日、私の他に並んでいたのは4人。これほど早く到着する必要はなかったわけだが、まぁ旅先では用心するに越したことはない。


受付で名前と連絡先を記入し……



即検査。



費用は44ユーロ(約5746円)。「結果はホームページからもチェックできるよ」とカードを渡され、ものの10分で全工程が終了した。そしてその日の夜……



QRコード付きの陰性証明書がメールで届いた! 早い! 安い! 便利!


・オンライン先進国フランス

私は旅行者であるため情報を得るのに若干苦労したが、終わってしまえばフランス・システムはメチャクチャ簡単であった。とにかく全てオンラインで解決してしまうのが素晴らしい。無駄な外出を減らすことにも繋がっている。

こうなると日本では「ネット弱者やワクチン未接種者はどうなるのか」といった声が聞こえてきそうだが、すでにネットユーザーと接種完了者が国民の大多数を占めているのは事実。「ならば、まずは多数派向けのシステムを」と舵を切ったフランスの決断は、非常に合理的といえるのではないか。

QRコードなしワクチンパスに加えて、PCR検査のしづらさ、帰国手続きのややこしさなど、先進国の中でも遅れをとっているように感じられる日本。国民性の違いもあるだろうが、フランス・スタイルのよいところはどんどん真似ていってほしいと思う。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.