半年ほど前、我が家がアップルの「Apple TV」からAmazonの「Fire TV」に乗り換えたせいか、最近はやたらとAmazonの新作ばかりが目に付く。Netflixやディズニープラスもまあまあ観ているのだが、Amazon Prime Videoの比重がかなり高いことは否めない。

さて、そんな環境下で最近とても多く目にするのがAmazon Prime Videoのオリジナル作品『シンデレラ』である。当初はそこまで乗り気でなかったものの、Prime Videoがやたらと推しているようなので、意を決して視聴してみることにした。

・Amazon Prime Videoのオリジナル作品

2021年9月3日より、Amazon Prime Videoにて独占配信中のシンデレラ。シンデレラとは誰もがご存じのあのシンデレラのことで、ソニーピクチャーズがAmazonスタジオに配給権を売却した作品だ。

情報によれば、シンデレラの継母役をアナ雪でエルサを演じた「イディナ・メンゼル」が演じるなど、キャスティングもかなり豪華らしい。……が、正直なことを言えば個人的には「だったら観てみようかな?」とはならなかった。

シンデレラを観る決心がついたのは、同じくAmazon Prime Videoオリジナル作品の「トゥモロー・ウォー」が面白かったこと。さらに言えば「これだけ推しておいて駄作ってことはないでしょ」という理由からだ。

・傑作ではないけど秀作

で、実際にシンデレラを視聴してみたところ、なかなか良き! 自ら知人にオススメするレベルの感動には至らなかったが、誰かに「おもしろい?」と聞かれたら「全然観てもいいと思うよ」と答えられるくらいの面白さはあった。

ストーリーとしては「シンデレラ」なのでネタバレも何もなく「意地悪な継母」「魔法の馬車」「ガラスの靴」「王子様とハッピーエンド」などなど、誰もが知るシンデレラである。とはいえ本作にはいくつかの仕掛けが施されていた。

そのメインがAmazon Prime Video版『シンデレラ』がミュージカル映画となっていたこと。知ってしまっている分、ストーリー的に読めてしまう部分があるが、それを楽曲とダンスが上手に補っていたのではないだろうか?

また、中には世界的大ヒットを記録した有名曲があったりするなど、ミュージカル映画として普通に楽しめた。「グレイテスト・ショーマン」級とまでは言わないが、ジャンル的には同じ路線であることは間違いない。

・シンデレラ2021

さらに言うと、ところどころに加えられたアレンジも良かった。例えば原作ではひたすらイヤな女だった継母に救いがあったり、王子様との結婚がゴールではなかったり……などと、シンデレラが現代風にアレンジされている。

アレンジは「男女平等」はもとより「LGBT」にまで及んでいたから、本作はさしづめ「シンデレラ2021」といったところだろう。ただただ健気な女性に幸運が訪れるだけのシンデレラではない。

・映画館向きの作品かも?

とはいえ、傑作レベルの感動に至らなかったのは、もしかしたら家のテレビで観たせいだろうか? 先述のように本作はミュージカル映画である。ズンズンのDolbyサウンドの劇場で本作を視聴していたら、また違った感想に至ったかもしれない。

逆に家で視聴する作品としては普通に基準を満たしていた。少なくとも本作を視聴して「2時間損したわ」と感じる可能性はかなり低いハズ。ミュージカル作品として、また現代版シンデレラとして一見の価値はあることだろう。

というわけで、Amazon Prime Videoオリジナル作品の『シンデレラ』は「今週末絶対に観ろ!」などとは言わないが、やや時間を持て余し気味ならば2時間を費やして後悔しない作品だ。プライム会員の方はぜひ参考にして欲しい。

参考リンク:Amazon Prime Vide『シンデレラ』
執筆:P.K.サンジュン
Photo:(c)Amazon Studios.

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