新型コロナワクチンの2回目接種を終えた私は、その足で郵便局へと急いだ。7月26日から受付を開始した『ワクチンパスポート』を申請するために。当初は「役所で直接申請」といった報道がされていたが、フタを開けると「郵送で申請」という自治体が多いようだ。

ワクチンパスポートについては「これがないと海外へ行けない」とか「これがあれば海外へ行ける」といった誤解を抱いている人も多いようだが、現段階ではそのどちらも間違いである。ではどういった人がワクチンパスポートの恩恵を受けられるのか? 分かりやすく解説しよう。

・接種券発行の自治体へ

まずワクチンパスポート(接種証明書)の申請先は、ワクチン接種券を発行した自治体。自治体とは別の場所(大規模接種センターや職域接種など)で接種した人、接種券受け取り後に転居した人なども例外ではない。

申請に必要な書類は以下の通り。お住まいの自治体によって異なる場合もあるので、必ずホームページで確認してほしい。


・申請書
・パスポートの写し
・接種済証または接種記録書の写し
・本人確認書類の写し(免許証など)
・切手を貼った返信用封筒


“申請用紙をダウンロードして印刷” など、高齢者や機械オンチの人にはややハードルが高いと感じる部分もある。とはいえ現在のところ、そういったスキルがない人がワクチンパスポートを必要とするケースは稀だろう。各自がんばって印刷してほしい。


・役所に問い合わせてみた

さて必要書類を準備した私は、確認のため区役所へ電話を入れてみた。すると……

「ワクチンパスポートの件で」と告げるやいなや、担当の方は申し訳なさそうに「使える国、すごく少ないですけど大丈夫ですか……?」と返したではないか。あくまでも予想だが、おそらく冒頭で述べたようにワクチンパスの使用目的を誤認している人からの問い合わせが多いのだろう。

さあ、ここからが本題だ。8月12日現在、日本が発行するワクチンパスポートが何らかの効力を持つのは以下の18カ国(私が申請した7月28日時点では5カ国だった)のみ。


イタリア
オーストリア
スリランカ
スロバキア
セントクリストファー・ネービス
セントビンセント
タイ(プーケット島、サムイ島、パンガン島、タオ島のみ)
ドイツ
トルコ
パプアニューギニア
ブルガリア
ベリーズ
ポーランド
香港
ホンジュラス
リトアニア
韓国
エストニア


どういった効力があるのかは国によって異なるが、「出国前のPCR検査免除」「入国時のPCR検査免除」「入国後の隔離期間が短縮あるいは免除」といったパターンが多い(予告なく変更となる可能性あり)。詳しくは外務省のホームページを参照してほしい。


・つまりこういうこと

現在、世界には外国からの渡航者を一切受け入れていない国もある。注意したいのはワクチンパスポートには今のところ “入国できる・できない” といった根本的な問題を打破するほどの効力があるわけではない、ということだ。

しかし渡航者を積極的に受け入れている国もあり、その中でさらに一部の対象国に関しては、ワクチンパスポートを提示することで入国における制限が少し緩和される場合がある……と、簡単に言えばそういうことになる。

逆を言えばワクチンパスポートがないからといって、一定期間の隔離など正しい手順を踏めば大抵の国には入国することが可能。ちなみに日本ではワクチンパスの有無に関わらず、日本人を含む全ての入国者に「出国前72時間以内の検査証明書提出」「入国後14日間の隔離」を義務付けているぞ。

現在ワクチンパスポートの発行対象となるのは “海外渡航予定がある人” のみ。先に述べたように使用可能な国は今後も増えることが予想され、渡航先がリストに含まれていなくても「出発後に追加される」等といった可能性は十分にありえる。

したがって今後海外へ渡航予定がある人は、行き先に関わらずワクチンパスポートを取得しておいたほうがいいのではないか……と個人的には思う。申請用紙に「渡航先」を記入する欄はあるが、航空券のコピーなどは提出不要だ。


・余裕を持って申請しよう

私の住む文京区のホームページには「申請書類到着から10日前後でワクチンパスポートを発送」とある。私の渡航予定日は8月15日であるため、不備があった場合は取り返しがつかない。

そこで私は申請書に「くれぐれもよろしく」と書いた手紙を添え、速達で発送することにした。受け取る側とて人間……ひょっとするとお情けがあるかもしれないもんね? その結果……


8月10日にキタ〜!!!!!(7月28日に速達で発送)



想像より中身が少なめで少し不安になるが、さっそく開封してみよう。



「送付のお知らせ」が1通。そしてお待ちかねの……



ワクチンパスポートである!!!


想像よりペラッとしてる〜!


・旅のお守りとして

A4版のワクチンパスポートには接種したワクチンのメーカー、接種日など、必要最低限の情報がキッチリと書き込まれているようだ。

もちろん全てに英語訳付き。

「証明書ID」の文字が心強い!

ペラッとした用紙はよく見るとコピー防止印刷が施された特殊なもの。現時点で外国人相手にどれほどの信頼を得られるのかは不明だが、今後少しずつ国外でも認知されてゆくだろう。コロナ禍の旅にはお守りとして必ず携帯しておきたい。

ちなみに「接種済証」(接種券に貼られたシール)が国外で証明書として認められるケースもあるようなので、併せて貴重品ケースに入れておこう。

ワクチンパスポートは今後、電子化やオンライン申請も可能になっていくと予想されている。また海外旅行以外の用途に関しても取り沙汰されているが、現状では「海外渡航予定者のみ」に発行されるものだ。渡航予定がない人には使い道がないので、『予防接種済証』と間違えてうっかり申請しないよう注意してほしい。渡航予定がある人はなるべく早めにゲットしておくこと!

参考リンク:外務省 海外安全ホームページ
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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