本日7月16日は「駅弁記念日」である。1885年7月16日に開業した栃木県宇都宮駅で、日本ではじめて駅弁が販売された日らしい。握り飯2個とたくあんを竹の皮で包んだものを5銭で……今でいうと約1000円でホーム売りしたのが始まりだという(諸説あり)。
ちなみに4月10日は「駅弁の日」で、こちらは弁当の「弁」が “4“ と “十” の組み合わせで「当」は “とう” だから4月10日なのだとか……いや「駅」は無視かよ。という話はさておき、とにかく記念日にふさわしい弁当を買いに、東京駅の「駅弁屋 祭」に行ってきた。
・東京弁当
「駅弁屋 祭」は、全国各地の有名駅弁や人気駅弁等を200種類以上ズラリと取り揃えている。場所はグランスタ東京1階の改札内、中央通路ど真ん中だ。まさに祭りのように賑わっているから迷うことはないだろう。んで本日選んだのは、東京駅でしか買えない……
東京老舗の味……
『東京弁当(1850円)』だ。
1914年(大正3年)に開業した東京駅丸の内駅舎。戦災によりドームと屋根、内装を焼失したものの、2012年(平成24年)に創建当時の姿に復元されたのはご存知のとおり。駅弁の掛け紙には、そんな丸の内駅舎の堂々たる姿がドーンと描かれている。良い、とても良い。
東京弁当とは、旅人の心を「東京老舗の味」でいっぱいにすべく、名だたる老舗の味を詰め合わせた超・超豪華駅弁なのだ。駅弁記念日にふさわしい弁当と言っていいだろう。
フタを開けると……
「おしながき」が添えられている。名店ならではの丁寧な解説付き。読みながら食べることで、お腹も心も満たされるはずだ。
それではいただきます。
目を引くのは「青木の玉子焼き」と「魚久のキングサーモン京粕漬」か。上品な甘さとダシの味も感じられる玉子焼きは、築地の寿司職人からも愛され続けている逸品。最高にうまい。
でもって、キングサーモンは芯まで濃厚な味が染み込んでいる。これうっめえええええええ!
そして浅草の老舗「今半の牛肉たけのこ」である。江戸っ子が「このすき焼きを持って帰りたい」ってことで誕生した牛肉佃煮は、しっかり濃い目の味付けで、冷めても満足度が高いのが特徴。そのまま食べる駅弁にとって「冷めても美味しい」のは大事なポイントだ。
脇を固める「玉木屋の葡萄あさり」も「神茂の御蒲鉾」も主役級の美味しさ。てか、どいつもこいつも存在感がえぐい。おかずの東京選抜と言えるのではなかろうか。オールスター気分である。
江戸のうま煮は素材の色、美味しさを引き出す調理法で “粋な江戸味” を表現しているのだとか。おいしいのは当たり前、目にも美味しいのが “粋” なのだ。たしかに弁当全体を華やかに演出している。これぞ職人技!
で、実をいうと、お米は東京産ではなく、秋田産あきたこまちを使用している。2年以上農薬・化学肥料を使用しない等の条件を満たした田畑で生産された「有機認証米」とのこと。
生産者曰く、田んぼに合鴨を放って、雑草や害虫を食べて動き回ってもらうことで、土がよく混ざり酸素が届き、栄養十分な土壌がつくられるらしい。粒が大きく粘り強い「あきたこまち」が食べられるということだ。そんなこと言われたら……
美味しいに決まっているだろォォ!
さて、ラストは東京土産の定番である「舟和の芋ようかん」。しっとりとした甘みと贅沢な余韻が味わえる。たまらん。てか、なんというシメ……弁当としてはやや高価だが、満足度は確実にお値段以上と言えるだろう。駅弁としてのポテンシャルを遥かに超えた完成度だった。
・地元の駅弁もどうぞ
──旅人の心を郷土の味で満たす駅弁には、これでもかと言わんばかりのこだわりが詰まっている。気軽に旅行ができない “今” であれば、地元の駅弁を調べてみても面白いかもしれない。というわけで、本日7月16日は「駅弁記念日」でした。覚えておいてくれたまえ!
・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 駅弁屋 祭
住所 東京都千代田区丸の内1丁目9-1 JR東京駅構内 グランスタ東京内
時間 5:30~23:00
休日 無休
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.