都内を中心に生活していると、飲食のトレンドに取り残されている気持ちになる。都市部で展開するチェーン店の情報は素早くキャッチできるのだが、それ以外の地域のことになると全然わからないのだ。
例えば「高倉町珈琲」の存在を私(佐藤)は全然知らなかった。2013年に1号店が出店したのち、現在(2021年7月)までに34店舗も展開している急成長中の喫茶店チェーンである。実はこのお店、すかいらーく創業者の1人である横川竟(きわむ)氏が開業している。
・すかいらーくの創業者の1人
高倉町珈琲は東京・八王子市の高倉町に1号店を出店している。初心を忘れないという思いから、1号店誕生の地の名前をとり「高倉町珈琲」と名付けたそうだ。2014年4月に株式会社高倉町珈琲を設立し、順調に店舗数を拡大。今年6月に34店舗目となる宇都宮店をオープンしている。今回、私(佐藤)が訪問したのは東京・小平店だ。
お店に入ると、雰囲気の良さを瞬時に感じ取ることができる。天井が高くて席の配置もかなりゆったりとしている。ソファは座り心地が良さそうでテーブルも広い。平日昼すぎの時間でほぼ満席になっていた。その居心地の良さから、主婦層に絶大な支持を得ているようだ。客層の9割が女性だった。
少し話しはそれるが、ここ数年純喫茶ブームだ。喫茶店の価値が見直されて、「コメダ珈琲店」の台頭は言うまでもなく、ドトールでさえもハイブランドの「ドトール珈琲農園」を展開するに至っている。高倉町珈琲もそんな時代の要求にぴったりマッチしたお店作りを心がけているようだ。
・日本一のパンケーキ
さて、メニューを見ると、珈琲店を名乗るだけあってコーヒー・紅茶は充実している。
オムライスにドリア、パスタなどの定番食事メニューもしっかり押さえられているな。
特にお店が推しているのは、リコッタパンケーキだ。お店の公式サイトを見ると「日本一のパンケーキ」を自称している。かなり自信があるようだ。
日本一なんて言われたら、食わずにはいられないだろ。ということで注文したのは、夏のおすすめメニューの1つ、「レモンクリーム リコッタパンケーキ」(税込1240円)である。
夏らしく さわやかな味として、レモンクリームが選ばれたのだろう。輪切りのレモンが3つも添えられている。酸っぱいんじゃないの? レモンの刺激がパンケーキの味を壊したりしない? と思ったら、レモンは後半でいい仕事をしてくれた。
トップにはたっぷりクリーム! レモンとチーズを使っていて、口当たりまろやかで風味は豊かだ。
クリームを惜しげもなくパンケーキに塗りたくって食べると、口の中がゆるふわの洪水! クリームとパンケーキが混ざり合って、口の中に甘さの小宇宙(コスモ)が形成されているようだ。美味い! 美味いんだけど、ゆるふわが過ぎて舌が迷子になりそうだよ……。
そんな時にレモン!! シロップ漬けのレモンを食べると、味覚がさわやかにリセットされて改めてパンケーキをゆっくりと堪能することができる。よく考えられた味の設計だ。
ちなみにお店のサイトを見ると、創業当初からの期間限定メニューを見ることができる。すでに終売したものを含めると数十種のパンケーキを開発しており、蓄積したレシピはかなりの数にのぼるはずだ。さすが「日本一」を自負するだけはある。
さて、郊外型の喫茶店は静かに勢力争いを繰り広げている。「コメダ珈琲店」を筆頭に「ドトール珈琲店(珈琲農園)」、「むさしの森珈琲」、トリドールの「コナズ珈琲」。そして「高倉町珈琲」。
さらに小さなチェーンを交えて、サービスや価格でしのぎを削っており、まさしく戦国時代の様相を呈してきた。2021年下半期はこれらのチェーンの、さらなる熾烈(しれつ)な戦いを見られるかもしれない……。
・今回訪問した店舗の情報
店名 高倉町珈琲 小平店
住所 東京都小平市小川町2-1901
時間 7:00~20:00(短縮営業中)
定休日 なし
参考リンク:高倉町珈琲、ブログ「高倉町珈琲の思想~ 横川竟のささやき ~」
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24