“自分好みのカレシ” を自由に作って、VR空間で恋愛できる時代が来てしまった。高価な機器は必要ない。求められるのはスマホのみ。その名も「VRカレシ」!
これまでも男性向けVR恋愛ゲーム……というかコンテンツは新旧いろいろあったと思うけれど、女性向けだってどんどん登場していい。どんな体験ができるのか、プレイしてみた。
・本当にそこに存在する
システム紹介は後にして、まずはVRモードを起動したときの感動をお伝えしたい! スマホを回してジャイロセンサーでも遊べるが、VRゴーグルを持っているとなおよい。没入感が全然違うから、簡便なものでもぜひ用意して欲しい!
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アプリを起動すると、360度の喫茶店「はるかぜ」にまず感動する。物語のおもな舞台となる場所だ。上を向けば天上があるし、振り返れば家具があるし、ぐるりと見渡せる。
そして目の前には自然に動くVRカレシ! ストーリー上、まだ彼氏にはなっていないのだけれど、後述するキャラメイクで自由に作ったイケメンがたしかにここに存在している!! 3Dキャラの不自然さはまったくない。
プレイにはイヤホン推奨。というかイヤホンは必須! イヤホンなしでは魅力半減といっていい。頭を振ると、しゃべっている方向からカレシの声が聞こえる。
没入感を高めるために、カレシの字幕はオフにしておくことを推奨。テキストを目で追うよりも、相手と視線を合わせて、よく耳を傾けた方がいいぞ。
もう1つの無料シナリオでは「カレシの車の助手席に乗っている」という体験ができた。その距離感も新鮮! 車窓に目をやれば流れる都会の夜景。運転席には友達以上、恋人未満の彼……。
いや、もう、助手席に乗っている、というシチュエーションだけで、こっぱずかしくて死ぬ。
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まだまだ社会的な男女格差はあるが、筆者の周りでも女子は強い。1人でピースボートで世界1周に出かけちゃう子、希少なスポーツカーに乗る子、ほぼキャッシュでマンションを買う子、みんな女子だ。
子どもを産んだ母親なんて「地球が滅亡して最後の生き残りになっても、子どもを守ってサバイバルするだろうな」というタフさがある。
筆者だって普段は車の運転くらい1人で楽勝なのだが、それでもやっぱり助手席ってシンデレラだよ! これがロマンチックというヤツか!!
変な汗が出てきてしまう。現実にはあり得ないシチュエーションを体験できる、VRの醍醐味だな!!
惜しいのが、VRで体験できるのはシナリオのほんの一部であること。ほとんどのパートは一般的なアドベンチャーゲームのように、テキストで進んでいく。
VRモードは通信量やCPU負荷もかなり高いようで、プレイ中はデバイスが熱くなる。そのあたりの事情もあるかもしれない。
・失敗しないキャラメイク
話は最初に戻るが、実際のゲームはキャラメイクから始まる。これが髪型、肌の色、シワ、目の形……と昨今のオープンワールドRPGのキャラメイク並にいろいろいじれる。理想の外見を作ってください、ということだ。
用意されたパーツから選ぶタイプなので、デフォルトから大きく離れることはできないが、たとえばヒゲや筋肉!
筋肉は大事! 細身が好きな人、マッチョが好きな人、千差万別だ。ヒゲも人によってツボがきっぱり分かれるからね。有料で髪型などを追加することも可能。
カレシとなるキャラは4人いて、それぞれ性格が異なる。性格に合わせた容姿を考えるのも楽しい。名前も変更可能。
なお喫茶店「はるかぜ」が舞台であることや、主人公の設定は共通。4人のシナリオはいつでも切替でき、パラレルワールドのようなイメージだ。シナリオは「働く女性のリアル」を追求しているそうで、学生よりももうちょっと大人をターゲットにしているよう。
・なぜだか「嫌いになる」ことも
「理想のカレシ」とはいいつつも、性格やセリフを自由に作れるわけじゃない。それじゃプログラムされたロボットと同じだ。
実在の豪華声優陣が声をあてているし、シナリオがあるので、各キャラクターには確固とした個性がある。当然「どうしても、このキャラとは合わない」ということも出てくるはず。それもまたリアル!
意外な発見だったのだけれど、3Dだとより生身の人間に近いせいなのか、キャラを「好きになれない」確率も高いような気がする。
たとえば「あんた、だれ」とか「話しかけるな」とか(本作にはありません。あくまでイメージ)、2次元のクールキャラなら違和感ないセリフも、実在の人物にいわれたらギョッとする。
これがVRだと「生身の人間にいわれた」のと変わらないようなインパクトがある。「ゲームだしな」で済まないリアリティ。それくらい存在感や実在感があるのだ。
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そしてプレイ後、いつまでも「実際の人間と話した感触」が残る。
だから自分と価値観が合わないキャラは、どこまでいっても合わない。逆に好きになったら、本気で好きになりそうだ。
合わないと思ったキャラも、最後までシナリオを進めていったら、もしかしたら……? のめり込みそうで怖い!
・基本プレイ無料、VRモードは有料
対応デバイスはAndroid&iOS。文章で進む「アドベンチャーモード」は基本無料でプレイ可能。物語の要所で挟まれるVR対応シナリオや、キャラクターの着せ替えアイテムなどは有料となる。でも、やるならVRモードは必須だろう。
注意点が1つ。恋愛ゲームではプレイヤーが自分を投影できるよう、主人公を没個性的に作ることがあると思う。立ち絵がない、ボイスがないなども、その効果を狙っているはず。けれどこのゲーム、主人公にもしっかり個性がある。
ゲーム中、主人公のセリフやモノローグがかなりの分量あり、プレイヤー本人は絶対にこんなセリフいわない、なんていう展開も出てきてしまう。このあたり、主人公になりきって遊ぶ恋愛ゲームでは大きく評価が分かれるところだと思う。
VRはまだまだ過渡期の技術だけれど、1番期待されているのって、推しキャラや遠く離れた人、はたまたもう会えない人が本当に実在していると感じられるような “人とのふれあい” の部分じゃないだろうか。
いまはまだ外見をいじれるくらいだけれど、理想の相手とVR空間で恋愛するって、これから普通になるのでは。
意見の違いや、価値観のすり合わせを乗り越えてこそ真の信頼関係だ! という声もあろうが、その域に達するまでに相当な歩み寄りが必要なわけで。そこまでしたいと思えるほどの相手に出会えないケースもある。
リアルなVR空間で、オリキャラや推しキャラと本気でコミュニケーションできる未来がすぐそこまで来ているぞ!
参考リンク:「VRカレシ」公式サイト
執筆:冨樫さや
Photo:PR TIMES、RocketNews24.