本記事はシリーズ『レトロゲーム売上ランキング』の「ニンテンドーゲームキューブ編」である。結論から申し上げると今回、数あるソフトの中から『ピクミン』をプレイした私は、その難解なテーマをどう解釈すべきか苦悩し、最終的に「諸行無常の境地」へ到達した。

つまり「言いたいことがありすぎてページ数ギリギリ」になってしまったのである。ってなわけで、さっそくランキングを発表したいのだが、その前に「コロナ禍の今なぜかゲームキューブの売り上げが伸びているらしい件」についても少しだけ触れておこう。

・ギリ「レトロゲーム」

私は今回がゲームキューブ初体験。本体に「取っ手」が付いたデザインであることを初めて知った。これハンドバッグとしても結構オシャレだな。

実はゲームキューブは2002年の「グッドデザイン賞」受賞作とのこと。さすが天下の任天堂だ。


話を聞かせてくれるのは、おなじみ秋葉原のゲームショップ『レトロげーむキャンプ』の田中さんである。


ゲームキューブの発売は2001年。これはレトロと呼べるギリギリのラインだろう。コロナ禍で人気が再燃している理由は色々あるのだろうが、田中さんいわく “多人数プレイが可能なタイトルが多い” ことが大きな要因ではないか、とのこと。なるほど。


・伝えたい「コントローラーABボタン問題」

また実は一部ゲーマーたちの間で「ゲームキューブのコントローラー単体」も根強い人気がある。通称『CGコン』と呼ばれ、『Wii』や『Nintendo Switch』に接続できるためだ。「自宅に古いゲームキューブがある」という人は、コントローラーだけでも動作確認しておくべし。

個人的な話で恐縮だが、私は最近『ドリキャス』(セガ)をよくプレイしており、「Aボタンは左」の感覚が身についていた。ところが久々に任天堂のコントローラーを手にしてみると、こちらは「Aが右」に配置されているではないか。Bボタンは「セガが右・任天堂が左」。

おまけに配色も赤と青あべこべで非常にまぎらわしい。なぜこのような事態が起きたのか? 調べたところ……コレがソニーをも巻き込むゲーム界の大問題であることが判明。本記事のキャパを大幅にオーバーしてしまうため、別の機会にご報告したいと思う。震えて待て。


・トップ5を発表!

さて、何だかんだ前置きが長くなってしまった。ここから本題のゲームキューブ “現在の” 売り上げランキング(レトロげーむキャンプ調べ)をご紹介する。ちなみに私がプレイした『ピクミン』はトップ5に入っていない。

(※ ただし新作が発売された影響で最近は売上をのばしつつある)

それでも購入を決めた理由は、どうしても1度プレイしてみたかったから。じゃ、早くピクミンの話がしたいので、駆け足でランキングを発表〜!


第5位『ゼルダの伝説 風のタクト』


第4位『ファイヤーエムブレム 蒼炎の軌跡』


第3位『マリオサンシャイン』


第2位『大乱闘スマッシュブラザースDX』


第1位『カービィのエアライド』


・憧れの『ピクミン』を初プレイ

カービィのエアライドかぁ……初めて知ったタイトルだが、そんなに人気があるとは驚きだ。マリオシリーズからは『ペーパーマリオ』も人気らしい。お約束のスマブラとゼルダは「さすが任天堂」って感じで安心するな〜。

ちなみに田中さんの個人的ベストバイは『ファンタシースターオンライン』とのこと。それでもやはり私が『ピクミン』に執着する理由は、発売当時にテレビCMで繰り返し放送されたテーマ曲『愛のうた』が印象的すぎたから。歌詞(サビ)は以下のとおりだ。


引っこ抜かれて、あなただけについて行く
今日も運ぶ、戦う、増える、そして食べられる


……おだやかな曲調に反して強烈すぎるその歌詞に、当時「えっ、どんなゲーム!?」とザワついたお茶の間はざっと3000万世帯を下らないだろう。

あの時はゲームキューブを買う余裕がなかったが、ようやく20年越しの謎を解明する時が来た……それでは念願の『ピクミン』初プレイ!

まず画面に登場したのは「モンスターボール」っぽい宇宙船。

(※ モンスターボール=『ポケモン』をゲットするためのボール)

そして「どせいさん」っぽい主人公。

(※ どせいさん=『MOTHER』シリーズの登場キャラ)


・へ〜、そういう話だったのか

のっけからニンテンドーっぽさ満載の『ピクミン』。宇宙船の故障で見知らぬ星に不時着した主人公(どせいさん似)のもとへ、謎の生物ピクミンが現れた……というストーリーだ。

「ピクミンって何なのか」という謎については、謎のままゲームが進行するぞ。

主人公の生命維持装置のリミットは30日間。よって期限までに、星に散らばったパーツを30個集めなければならない。そもそもパーツそのものが主人公1人では持てないくらい重く、周囲には危険なモンスターもウジャウジャ。そこでピクミンの力を拝借、というワケだ。

ピクミンたちは協力して重い荷物を運んでくれたり……

危険をかえりみず敵と戦ってくれたり……

危険な作業を代行してくれるなどし……

そのたびにガンガン死ぬ。

そして代わりのピクミンがジャンジャン誕生するぞ。


これって…………


つまり「ピクミンを犠牲にして自分が生き延びる」ってこと……?


・ピクミンって何なのか

正体不明の生物ピクミンは、感情を持っているかどうか不明。しかし、どういうわけだか従順に主人公の後を追い、命がけで命令に従うのである。

何度も言うがピクミンは「マジか」ってくらい簡単に死ぬ。敵にやられるならまだしも、ドジなヤツは勝手に池に落ちて死んだりする。「いや落ちるなよ」という気もするが、ピクミンたちに複雑な命令は通用しないのだ。

よって水の近くを歩くときは水に強い青ピクミン、障害物を爆破したいときは爆弾を持てる黄ピクミン……というふうに、プレイヤー側が計画的ピクミンを増やし、誘導しなくてはならない。犠牲になったピクミンたちはハッキリ「死亡」と表現され、その現実にとても心が痛む。

果たして自分が生きるためなら何の罪もないピクミンたちを殺していいのだろうか? いいはずがない。が……そうなると、我々が「植物や動物の肉を食べて生きている」という事実をどう説明するのだろう? 家畜はよくてピクミンはダメ、では筋が通らない。

ああ、まさか『ピクミン』でこれほど苦悩するハメになるとは……! ピクミンたちは主人公より強くて数が多いうえ、逃げようと思えば自由に逃げられる状況。でも、なぜか彼らは決して逃げない。

この問題には主人公自身もかなり苦悩しており、毎日「ピクミンはなぜ自分を助けてくれるのか」と自問自答している様子だ。マジで一体なぜピクミンは、主人公に無償の愛を捧げてくれるだろう? 分からん。マジで分からん……。


・初心者殺しのハードゲー

ちなみに本作には『聖剣伝説2』(スーファミ)などでおなじみの「後続キャラ障害物の向こうに置いてけぼり機能」が搭載されている。懐かしいっちゃ懐かしいが、イライラしすぎてコントローラーを投げないよう注意が必要。

ピクミンは太陽が沈むと死んでしまう。途中で勝手に列をはぐれるピクミンもおり、夕方までに探し出せなければ即死亡。

単純そうに見えるフィールド上にはピタゴラスイッチ的な仕掛けがあり難解。おまけにゲーム内時間の1日はかなり短く、初プレイで30個のパーツを集めることは不可能に近い。『ピクミン』がこれほどハードなゲームであることを、一体誰が予想しただろうか。


・人生観が変わるくらいヤバい結末

当然ながら私はパーツを半分も集められないまま、タイムリミットの30日間(現実時間で10時間ほど)が経過。終盤になると主人公はよく分からないテンションになっており、「いちかばちか、発進することにする!」と未完成の宇宙船で宇宙へ飛び立つことを宣言。

「いやムリだろ」という気もするが……まぁ任天堂のすることだ。なにか救済措置があるのかもしれない。展開を見守ろう。


曇りなき目で飛び立つ宇宙船を見つめるピクミンたち。


そして………………


・その目で見届けよ

…………スマン。ここまで引っ張っておいて大変申し訳ないが、これ以上は書くことができない。

なぜならこの先は我々をさらなる考察の沼へといざなう悪魔的オチ。映画『シックスセンス』に匹敵するクラスの “大どんでん返し” と捉えることができるのだ。とてもじゃないがネタバレ絶対厳禁案件である。

そういうことで『ピクミン』の結末は各自、実際にプレイして見届けてほしい。もちろん私が迎えた結末は「バッドエンド」に相当するもので、恐らく目標を達成できた場合は別のラストが待っていると予想される。

一応お伝えしておくとバッドエンドとはいえ、主人公が血まみれになったり「You are Dead 」と表示されたりするワケではない。そこはあくまでも任天堂。お子さんが見ても大丈夫。

ただし、この結末について考察を深めていくと「ヘタなホラー映画より全然怖い」ことが分かってくるはずだ。かわいい顔して超ヤベェ生物かもしれないピクミン……テーマ曲『愛のうた』も、これまでとは違ったふうに聞こえてくることだろう。


・今回ご紹介した店舗の詳細データ

店名 レトロげーむキャンプ秋葉原店
住所 東京都千代田区外神田3-14-7 新末広ビルC
時間 11:00〜20:00(変更になる場合があるので詳しくはお店のTwitterをご参照ください)
定休日 無休


執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.