B’zがついにサブスク解禁。2021年5月21日、この報を見た時私(中澤)は思った。「山が動いた……」と。39歳のギタリストである私にとってB’zとはそれほどのものだった。高校の時『Treasure』の楽譜買ったっちゅうねん。全然弾けなかったけど。

もちろん、ライブ映像も何回も見たし、アルバムなんて息をするように聞いていた。それでも「B’z好き」とは言いにくい時代。もっと好きなヤツがいるから。

それだけに、B’zにおける良い曲プレイリストは人によって千差万別だとは思うが、時代の空気を吸った者として「これだけは聞いてほしい」という8曲をご紹介したい

・Pleasure’98~人生の快楽~

ライブで何度もリアレンジされて受け継がれているのが「Pleasure」だ。多分、お気に入りの曲なんだと思う。で、「Pleasure’98~人生の快楽~」は、まさに前述のベストアルバム『Treasure』に入っていたバージョン。っていうか、これが弾きたくて楽譜を買った。

ソロの最後が速い上にリズムがややこしくてカッチリ弾こうとすると激ムズ……ということはさて置き、普通に聞いてもカッコイイ曲。ソロや曲の終わり方など、このバージョンが最も気合が入っている感じがする。

・LOVE PHANTOM

90年代からのB’zファンにとって「LOVE PHANTOM」は絶対に外せない曲の一つ。どの曲が好きか論議にあえて挙げる必要もないくらいみんな好きだった。一般教養すぎて殿堂入りしていると言っても過言ではない。あと、前奏が長い。

・Don’t Leave Me

PVがイケメンすぎる。私が中学生の頃、ランキング番組でこのPVが流れまくっていたのだが、サビ部分の稲葉浩志は中学生の憧れそのものだ。当時はYouTubeなんてなかったので、これを見たいがために、『COUNT DOWN TV』を録画しては何度も見返していた思い出の一曲。なお、そんな私がエアロスミスを知るのは5年後のことである。

・DEEP KISS

B’zは現役だし、多作だし、曲のクオリティーも高いので、本当に人によってオススメが分かれると思う。しかしながら、あえて選ぼう。私が1位だと思うオリジナルアルバムは『SURVIVE』だ。異論は認める。

で、『SURVIVE』のトップを飾る曲が「DEEP KISS」。ハードなギターリフと愚痴みたいな歌詞から始まるのだが、サビがちゃんとキャッチーで高揚感があるのがB’zって感じがする。これに代表されるように『SURVIVE』はとにかくバランスや流れが良い。ノッテル感じがするのだ。

・スイマーよ!!

そんな『SURVIVE』に入っているアルバム曲の名曲が「スイマーよ!!」。ライブで演奏したら「おお!」となる曲の1つだ。この頃のB’zは、TMN系打ち込みサウンドからハードなバンドサウンドに以降する過渡期なのだが、そのエッセンスがブレンドされているのも良い。

「DEEP KISS」「スイマーよ!!」と来て、タイトル曲の「Survive」に繋がる流れは、オリジナルアルバムを買う価値を感じる。収録されているシングル「Liar! Liar!」「FIREBALL」「Calling」も大ヒット曲にもかかわらず、それがメインに感じないほどのバランス感。ぜひアルバム通して聞いてほしい。

・BAD COMMUNICATION E.Style

「BAD COMMUNICATION」も色んなアレンジのある曲。最初のリリースは1989年だが、この頃のアレンジはTMNっぽいし、歌詞も日本語で80年代的ニューウェーブ臭がする。

で、オリジナルアルバム『LOOSE』では、これが大分崩れてブルージーなアレンジに。そんな紆余曲折があり、全編英詞で歌われているのがベストアルバム『Pleasure』に収録されている「BAD COMMUNICATION E.Style」だ。

日本語のものより歌謡曲臭がなく、音がメロディーにキレイにハマっている感じがして心地いい。稲葉さんは昔はデタラメ英語で歌って曲を掴んでから歌詞を書いていたらしいので、より想定の音に近い形なのかもしれない

・BIG

B’zの歌詞と言えば、皆さんはどんな感じを予想するだろうか? 聞いたことがない人はイメージから「イケメンなこと歌ってそうだな」と思うかもしれないが、実はよく見るとトホホな歌詞が多いのもファンの間では有名である。「Liar! Liar!」とか、彼女に旦那いたわ世の中信じられないって歌詞だしな。

「BIG」はそんな稲葉節が全開の曲だと思う。寂し気なアコギの響きと、強がりを繰り返す歌詞が極めてトホホな現実を浮き彫りにしているのだ。主人公はきっとオッサンだが、全世代にこういう気持ちってあるんじゃないだろうか。ただの前を向こうではない曲である。

・Brotherhood

ロックバラードの名曲も多いB’z。「ALONE」「TIME」「泣いて泣いて泣きやんだら」「いつかのメリークリスマス」「OCEAN」など、誰かのマイベストに入っていておかしくない名曲ばかりだと思う。そんな中で、ロックバラード1位を決めるなら、私は「Brotherhood」だ

B’zが本格的にハードなバンドサウンドを突き詰めだした頃の曲だが、拳を突き上げて合唱したくなるようなサビは、すでに最高峰。歌詞、メロ、方向性、勢いなど全てが噛み合っている。

──以上。おそらく、この8選に異論がある人も多いだろう。なぜなら、それほどにB’zには名曲が多いから。個人的には人によってオススメが全然変わってくるのもB’zの良さだとも思う。

・「B’zの好きな楽曲」アンケートによると

ちなみに、今回のサブスク解禁に際し、LINE MUSIC株式会社が「B’zの好きな楽曲」というテーマでアンケートを取っている。日本全国の15~59歳までの男女1054人に聞いたこのアンケート。トップ10は以下の通りであった。

1位 ultra soul
2位 いつかのメリークリスマス
3位 イチブトゼンブ
4位 ALONE
5位 LOVE PHANTOM
6位 愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない
7位 今夜月の見える丘に
8位 裸足の女神
9位 もう一度キスしたかった、BAD COMMUNICATION
10位 OCEAN

──やっぱり全然違った。もちろん、今回記事で紹介した曲以外にも名曲はたくさんあるので、サブスク解禁を機に自分の名曲を探してみるのも良いだろう。

参考リンク:LINE MUSIC
執筆:中澤星児

▼恥ずかしすぎるけど、昨年の緊急事態宣言の時に回ってきたバトンで弾いた『#1090 ~Thousand Dreams~』を張り付けておきます