2021年4月15日から、ウェンディーズ・ファーストキッチンのコラボ店舗にて、「BIG BACON CLASSIC(ビッグベーコンクラシック)」の販売を開始した。公式HPによると「本国アメリカで復刻発売してから、大人気の商品」ということらしい。お値段は単品で税込み720円。

あれ? お前、もしかして……

・昔売られていた

2007年にBaconator(べーコネーター)が出る前まで売られてたヤツじゃないか? 

ほとんどの日本にお住まいの方にとっては「なんのこっちゃ」や「知らんがな」という話だと思うが、それらの感情を抱いたまま読み進めて欲しい。

昔話を続けよう。なにぶん古い記憶なので間違っているところもあるかもしれないが、もともと「BIG BACON CLASSIC」とはアメリカのウェンディーズで、今から約10年以上前に売られていたバーガーだった。NY Timesの記事が残っていたが、それによるとBaconatorの登場は2007年なので、それより前のことだ。

10代後半から20代前半だった筆者が西海岸をフラついていた当時に、恐らく食べているはず。いちいち覚えていないが、その頃は住んでいた場所の近所にある、手ごろな値段のバーガーとブリトーばかり食べていた。

ウェンディーズも食べているのは確かだ。名前にも憶えがある。当時の定番バーガーのうちの一つだったのではなかろうか。それが、ある時を境に日本でも売られたことのあるBaconatorに変わった……んだと思う

その後どうなったのかは全く知らないが、まあ、2000年代初頭以前のアメリカのウェンディーズを知る人からすれば、こいつはウェンディーズにおけるオールドファッション。懐かしのフレーバーといったところではなかろうか。それが復活して、このたび日本にやってきたのだという。

ということで、アメリカで人気が出るのは、わからなくもない。バーガーにとって必要な要素が程よく含まれた、派手さは無くとも安心感のある、懐かしいバーガー

新型コロナなど無く、リーマンショックはギリギリ手前で、サンフランシスコの賃貸価格も現実的な値段だった。確かに知事のシュワちゃんには不満があったが、マイケル・ジャクソンは生きていたし、あらゆる面で今より人生が少しはイージーだった


その時代を思い出す味。ヒュー、エモいバーガーだぜ。


というのが、「BIG BACON CLASSIC」を一口食べて筆者の脳裏に浮かんだ感想その他諸々なわけだが……どうだろう? 大半の方にとっては、やはり冒頭ですでに感じていた「なんのこっちゃ」や「知らんがな」ではなかろうか。

この商品、アメリカでウケたからと言って日本に持ってきても、アメリカと同じような受け止められ方はしない気がする。日本人にとって「BIG BACON CLASSIC」がどういう存在なのかよくわからない。

ウェンディーズ自体が日本では上手く展開ができず、一度撤退している。仮に昔、本国のように日本でも「BIG BACON CLASSIC」が売られていたとして、当時を知る人がどれくらいいるのだろう。

アメリカほど店舗展開はできていなかったと思うし、昔の味を知る人は少ないのでは。その場合、多くの人にとって「BIG BACON CLASSIC」は、新登場したシンプルでクラシックなバーガーという扱いになる。もちろん美味いことは美味いのだが、インパクト的には弱い気がする。そして720円という、やや高めな価格もどうなのだろう。


・アメリカのイメージ

筆者的にはもう一つツッコミたいポイントがある。それは、触れ込みやHPのビジュアルから受ける印象と、実物から受ける印象の差についてだ。「本場ウェンディーズで大人気の味」な「BIG BACON CLASSIC」と聞いて、「BIG BACON CLASSIC」を知らない人はどんなモノをイメージするだろう。

脳まで肉と脂に支配された小学生が考えたかのごとき、グリースィーでビーフィーな、カロリーが狂ったヤバいバーガーを期待するんじゃなかろうか? 例えば、最近のバーガーキングが度々ブチかましてくる、肉の砲弾みたいなヤツだ。アメリカってそういう感じしません?


・オールドファッション的な

しかし実際の「BIG BACON CLASSIC」は、その手のバーガーではない。慎ましきオールドファッション。必要十分なものが程よくまとまった感じ


何度も繰り返すが、味はウマい。ベーコンのカリカリ感も、アメリカ人的には超高ポイント待ったなし。日本人にとっても、ベーコンはだいたい皆の人気者だと思うのでアリなハズ。HPの写真はちょっとばかり実物よりボリューミーに見えるかもしれないが、よくあること。


というわけで、コイツは色々なことが今よりイージーだったころの、クラシックなアメリカンウェンディーズの味を体験できるバーガーだ。みんなもイージーな気分で楽しんでみてくれ!


・ソリューション

と締めくくってもいいのだが、「BIG BACON CLASSIC」がクラシックすぎて物足りない方のために、派手に楽しむ最新のスタイルを一つ紹介してからにしよう。

まず、「BIG BACON CLASSIC」は、単品では無くセットで頼もう。選ぶのは、メインニューにプラス480円で追加できる、「フレンチフライチリ&チーズ+ドリンクセット」だ。総額で税込み1200円。

日本にあるモノの中で、その辺の星条旗以上にアメリカンなものを一つ挙げろと言われたら、筆者的にはチリソースとチーズがぶっかけられたフレンチフライ一択だ。チリ&チーズなフレンチフライのアメリカ度は、世間にある大体のアメリカ的なモノをぶっちぎると思う。

そしてドリンクはもちろんルートビア……と言いたいところだが、ルートビアはアメリカ的すぎるのか、日本では絶滅危惧種。大人しくコーラでも選ぶといいと思う。あとは




これでかぶりついてみて欲しい。最高にBIGでBACONで、クラシックではないものの、でもチリ&チーズでアメリカンなテイストとボリュームに早変わりだ。ちなみに本場アメリカだと、$7前後でダブルになるんですよこれ。肉とチーズが倍。もし720円でダブルだったら、この記事はずっと短く内容も違った可能性。

参考リンク:ウェンディーズ(日本)、ウェンディーズ(アメリカ)、NY Times
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

▼アメリカでは店舗によって差はあるが、例えばハリウッドのサンセット通りの店舗なら$5.79