青春終わったわ……。『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』のスクリーンに終幕と表示された瞬間、私(中澤)はそんな虚脱感を覚えた。「もう大人になる時間だよ」と庵野監督に言われた気がしたのである。これ以上の終わり方があるだろうか?
正直、最高の終幕だったと思う。しかし、一緒に見に行った亀沢郁奈記者に話を聞いてみたところ真逆の感想を抱いていた。うそぉ~ん。そんなことあるの?
・私が見たシン・エヴァ
2021年で39歳となる私は『新世紀エヴァンゲリオン』がテレビで放送されていた当時のドンピシャ世代。13歳から14歳になる間に出会ったエヴァは私の胸に虚無感という穴を空けた。
あのインパクトから25年。今もなお衝撃は薄れず、新劇場版4部作はその穴を確認しているような気分で見ていた。もうずっと埋まることがないと思っていた根深い穴。『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』でその穴を埋められた気がしたのだ。
・終わり方に感じたこと
思えば、なぜ私にとってエヴァがこんなに深い穴になったのかというと「着地しない」という点がデカかったと思う。テレビ版にしても旧劇場版にしても、世界を左右する物語なのに主人公が世界のことを知らないままバツっとテレビを消すかのように終わりがやってくるのだ。
個人的には、この何も残らない感じがエヴァンゲリオンだったと思うのだがシン・エヴァはちゃんと着地する。それはこれまでのエヴァになかったことだ。
エヴァンゲリオンが青春だった。そんな私ももう39歳。そろそろ大人になる時が来たのかもしれない。『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の終わり方にはそんなことを考えさせられた。
・もう1人のガチファンの気持ち
一方、亀沢郁奈記者もエヴァ世代。私同様、テレビシリーズからリアルタイムで追い続けているガチファンである。そこで見終わった後、サイゼリヤで感想会を開いた。いや~、最高だったね亀沢氏。
亀沢郁奈「うん、途中までは最高だったんだけど終わり方がなあ……」
──え? なんかあかんとこあった?
亀沢郁奈「あかんくはないんだけど、そうなっちゃうのかよー! って」
──凄い綺麗な終わり方だったと思うけどね。
亀沢郁奈「エヴァはああいう終わり方はしてほしくなかったかも。エヴァっぽくないというか「マジで!?」って思った。あと、これで本当に終わりなんだなって感じがして倍悲しかった。ずっと見てたかったから」
──これ以上はネタバレになるためここで止めておくが、もちろん、亀沢記者の意見もエヴァへの愛があればこそ。ずっと追ってきた者同士でも賛否両論となるところがエヴァらしい。
・一致した意見
なお、公開前、私は『【ネタバレあり】エヴァンゲリオン「破」と「Q」を何往復もした私が『シン・エヴァンゲリオン劇場版』に期待すること』という記事を執筆しているが、この中で挙げた3つの謎のうち、2つはシン・エヴァンゲリオン劇場版で答えが提示されている。
正直、劇中でその話をしだした時は「マジかよ」と思わずにいられなかった。そんな予想外の答えから、ずっと漂っている謎まで、じっくり見たらもっといろんな答えが提示されているだろうが、劇場1回では圧倒的な情報量を整理できないためまた見に行きたい。
そして、終わり方について賛否別れた我々が唯一意見が一致したのがこれ。これまでで1番リピートしたくなるエヴァンゲリオンである。25年越しのエヴァンゲリオンの最後。しかと見届けよう。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]