そば屋の丼物が好きだ。かつ丼、カレー丼とご飯系が充実しているとテンションが上がる。やはり男子たる者、ご飯をガッツリいきたいものなのだ。なおかつ、そばがそこそこウマければもう十分。そういうセットが充実した店は通いたくなる。
水道橋でフラッと入ったそば屋がそんな店だった。メニューを見ると、かつ丼、カレーだけじゃなく、親子丼、他人丼、天重……おいおい鳥丼まであるのかよ! そば屋なのに丼物にやたら気合を感じる。そこで真相を確かめてみた。
・まずは注文してみた
そのそば屋の名前は『桂庵(かつらあん)』。前述の通り、メニュー上では丼物に気合が入っているように見える。しかし、種類が多いだけで、実物を見たらガッカリするパターンもあるのがそば屋のセットメニューだ。そこで、「鳥丼セット(税込820円)」を注文してみたところ……
かなり男らしい丼が運ばれてきた。
セットの分量は丼1人前に半そばである。その割り振りからもなんとなく丼を推している感じが伝わってくるのだが、食べてみたところ、これがまたウマイ。鶏唐揚げをざっくり切った具に、甘辛いタレと敷き詰められた海苔の風味がマッチしてご飯が進む。思わずガツガツかきこんでしまう味は男子高校生まっしぐらだ。
一方、そばは細麺でのど越しが良く冷やしでもウマイ。辛めのつゆにそば湯を入れて飲み干すと、軽いコース料理を食べたような満足感があった。なかなかのセットである。
・既視感
分量的にも、そばは丼をサポートするポジションと割り切られている感じがした。そば屋にしては珍しい割り切りと言える。
だが、なんだろう? この鳥丼、どこかで食べたことがある気がする。特に、器やタレの味、鶏唐揚げの切り方などに既視感を感じる。そこで店長の田村さんに話を聞いてみた。なんでこんなに丼に気合入ってるんですか?
田村さん「実は、うち、元はたつ屋っていう丼専門店でして……」
──ああ、どうりで! その一言を聞いて全て合点がいった。たつ屋は本サイトでも何度か取り上げている新宿のインディーズ丼専門店。もちろん、私も何度も行っているが癖になるウマさのある店だ。鳥丼に感じた既視感はたつ屋の記憶だったのか。
田村さん「元々たつ屋は都内にいくつかあったんですけど、それが桂庵になった形です。でも、ただのそば屋だと同じような店も多いですし、得意分野を生かすためにもセットでの勝負になりました」
──なるほど。確かに、鳥丼の味で「違うな」と感じました。
田村さん「鳥丼は社長考案のメニューなので、特にたつ屋カラーなのかもしれません。ちなみに、ここは桂庵の本店で、そばは北海道からそば粉を取り寄せて2階で打ってます」
──そのこだわりも垣間見える味ですね。
田村さん「ありがとうございます!」
──田村さんいわく、裏に事務所があるとのことなので見に行ってみたところ、「株式会社たつ屋桂庵」と書かれていた。店の看板にはたつ屋オーラがないだけに、新宿以外のたつ屋はなくなってしまったのかと思っていたが、そのDNAは確かに受け継がれているようである。
遠くからわざわざ訪ねるような噂の名店というわけではないが、ついつい通ってしまうような雰囲気があるこの店。現在は新宿を入れて5店舗のチェーンになっているとのこと。頑張れたつ屋! 近所に一軒欲しいぞ。
・今回紹介した店舗の情報
店名 桂庵水道橋本店
住所 東京都千代田区西神田2-1-13
営業時間 (緊急事態宣言発令中の営業時間)平日11:00~20:00 / 土・祝11:30~17:00 / 日11:30~15:00
定休日 無休
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼ちなみに、夕飯もここで食べた。セットのそばは+100円で1人前にすることができる
▼かつ丼も激ウマ!