シリーズでお届けしている『レトロゲーム売上ランキング』は、毎回 “ちょっとした小話 → ランキング発表 → プレイ実践” ……といった流れで執筆している。しかし『ドリームキャスト編』となる本記事、小話などの前置きは割愛させていただくつもりだ。
なぜなら私は今回プレイした『シェンムー』に鬼ハマりし、早くシェンムーの話がしたくてたまらない状態だから。小話を楽しみにされていた一部の読者には申し訳ないが、さっそくドリームキャストの『現在のソフト売上トップ5』を小走りにご紹介していきたい。
・ベスト5を発表
お話を伺うのは秋葉原のゲームショップ『レトロげーむキャンプ』の田中さん。ちなみに最近のレトロゲーム界のトレンドは、なぜか『釣りゲーのコントローラー』(ドリキャスやニンテンドー64など)とのこと。かなり人気のため品薄状態らしい。
中古で3000円前後と決してお安くないにも関わらず、入荷すればすぐ売り切れるのだそうだ。新型の釣りゲーも多い中、一体何がそんなに魅力的なのだろう…………おっと! あやうく小話をしそうになってしまった。それではランキングを第5位から発表だ!
第5位『ファンタシースターオンライン』
田中さん「『ファンタシースターオンライン』には『Ver.2』もありまして、どちらも人気です。日本の家庭用ゲーム機用オンラインゲームとしては、初めての大ヒット作なんじゃないでしょうか。個人的にも今回の中で最も思い出深いのはコレですね」
第4位『ソニックアドベンチャー』
ご存知セガの代名詞。外国人から熱烈に支持されている『ソニック』がランクイン。本作はソニックが初めて3Dになった作品である。そういえばソニックは昨年ハリウッドで実写映画化されたが、その件と売れ行きは関係しているのかな?
第3位『シーマン』
田中さん「僕はやったことがないんですが……発売当時、学校から帰宅すると兄がシーマンと話していましたね(笑)」
──お兄さんもゲーム好きなんですか?
田中さん「ゲーム機本体はほとんど全部持ってたんじゃないでしょうか。僕はそのお下がりをもらっていたんですよ」
──ひょっとして……お兄さんもゲーム関係のお仕事に!?
田中さん「いえ、兄は普通の会社員です」
第2位『サクラ大戦』
田中さん「サクラ大戦は、最近新しいアニメ(『新サクラ大戦 the Animation』)が作られた影響で売れている感じです」
第1位『シェンムー』
そして堂々の1位は冒頭でお伝えした『シェンムー』である。1位というくらいだから人気があるのは間違いないのだが、正直に白状すると私、この作品を1ミリも知らなかった。ジャケットはやや『北斗の拳』っぽくもあり、私なら普通は絶対に購入しないタイプのビジュアルだ。
・実は超大作
それでも私が購入を決めたのは、田中さんの口から「分かりやすく言うと『龍が如く』っぽいゲーム」という証言が飛び出したからである。何を隠そう私は『龍が如く』シリーズの大ファン。ちょうど最新作の『7』を完全にやり込み、心にポッカリ穴が空いたところだ。
『シェンムー 一章 横須賀』は開発時、世界最高額(当時)の70億円を投じて制作されたらしい。世代じゃないとはいえ「知らなかった」じゃ済まされない超大作である。ディスクは豪華3枚組。
「キュィィィ……」と死にそうな音を立てて読み込むドリキャスが愛らしい。
グラフィックは20年以上前のゲームとは思えぬハイクオリティだ。最新ゲームと比べれば「モブキャラの表情が少し怖い」「映像全体が暗い」という印象は受けるものの、慣れてくれば逆にレトロで味わい深く思えてくる。
実際に本作をプレイすると確かに『龍が如く』とかなり近い雰囲気なのだが、重要なのは『シェンムー』が5年も早く発売されていること。つまり正しくは『龍が如く』のほうが「シェンムーっぽい」のである。
・不自由だからこそ面白い
さて『龍が如く』シリーズ全タイトルをプレイしてきた立場として、私は今回「『龍が如く』ファンは今あえて『シェンムー』をプレイしてみるべき」と断言したい。『シェンムー』はレトロであるがゆえに、街歩きゲーとしての難易度が絶妙に高めである。
例えば誰かに電話をかける際は、まずメモ帳に書かれた番号を記憶し、正確にダイヤル式電話を回さねばならない。それから「山本さんの家を探して」というミッションでは薄暗い町中を駆け回り、1軒1軒表札を確認するハメになる。
あとストーリーの進行に必要な情報を誰から聞けるのかが判別しづらく、通行人全員に話しかけることも。似たような特徴を持つモブキャラが多い、街並みも似ていてすぐ道に迷う……などなど、とにかく根気強くコツコツ進める必要があるのだ。
また本作最大ともいえる特徴は “ゲーム内で時間が経過していく” という点なのだが、「PM7時に出現する」というキャラを朝からひたすらボーッと待ち続ける……なんてこともザラだ。しかし、この不自由さが逆に新鮮でメチャクチャ面白い。
父の仇を追っていたはずの主人公だが、途中からバイトがメインになるなど突拍子もない展開が続く本作。私は「攻略サイトを絶対見ない」を目標にプレイした。ただ1つ「タバコ屋に電話帳が置いてある」という発想にだけはどうしても辿り着けず、泣く泣く検索してしまったのが無念だ。
「街を歩きながら自分の思い通りに行動できる」というゲームは今でこそ珍しくないけれど、昔はものすご〜く衝撃的だった。私が初めてそれを感じたのは『グランド・セフト・オート』だったが、あのころ日本ではシェンムーが売られていたのか。不勉強で申し訳ない。
ちなみに『シェンムー』の続編制作には紆余曲折があったらしく、『3』が発売されたのは2019年。じつに『2』から18年後であったらしい。おまけに2020年にはアニメ制作も発表されるなど、ファンにとっては「まさかの復活劇」が巻き起こっているのだ。
つまり今シェンムーを始めることは、今さらなようで実は絶好のタイミングなのである。現在『1』から『3』まで全てPS4に移植されているからドリキャスを持っていなくても大丈夫。ちょっと不思議なシェンムーの世界、ぜひ一度体験してみてほしい!
・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 レトロげーむキャンプ秋葉原店
住所 東京都千代田区外神田3-14-7 新末広ビルC
時間 11:00〜20:00(変更になる場合があるので詳しくはお店のTwitterをご参照ください)
定休日 無休
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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