飲み会やパーティなどでテーブルを彩るオードブル料理。皆さんはあれを真の意味で堪能したことがあるだろうか。猛烈に美味しそうであるにもかかわらず、他人の目が気になってがっつくことなどできず、控えめにつまんで泣き寝入りする場合がほとんどではなかろうか。

筆者だって同じだ。だが、もうそんな無念を味わう必要はない。我々の権利を阻むものは、もはや何も存在しない。今こそ立ち上がるべき時だ。皆さん1人1人の、我々自身のオードブルを取り戻そうではないか。

思わずオードブル活動家のような論調になってしまったが、これには理由がある。2020年12月10日、大手ファミレスチェーン「ガスト」の宅配・持ち帰りメニューに、期間限定で「オードブルプレート」が新登場したのだ。というわけで、この際だから同メニューをあえて自宅で独り占めすることにした。

ご存知の方も多いかもしれないが、元々ガストには「ファミリーセット」や「ミックスセット」といった大皿盛り合わせメニューが存在し、オードブルに似た役割を果たしてはいた。しかし今回登場した「オードブルプレート」は、それらよりもいっそう本格感を漂わせている。

その内容は、ビーフカットステーキ・若鶏の西京焼き・海老フライ・広島産カキフライ・海老マヨポテト・ほうれん草ベーコン・海老といかのマリネ風の計7品。いずれ劣らぬ顔ぶれである。持ち帰りは税抜2759円、宅配は税込2980円という価格設定からも、ガストの本腰が窺える。

よくよく見ると海老の入ったメニューが多い気もするが、企画部門における海老派の発言力が強かったのかもしれない。ともあれ、実際に届いた「オードブルプレート」は、あの日涙を呑んで唇をギチギチに噛み締めて手を引いたオードブルと遜色ない輝きを放っていた。

そして、華やかであると同時にボリュームもすごい。事前情報には2~3人前との記載があった。正直独り占めするには持て余す量だ。だがそれでいい。そうでなければ頼んだ甲斐がない。持て余す量にがっつくことこそ「1人オードブル」の醍醐味に他ならない。

初体験なのに無闇に醍醐味を語ってしまうほどの興奮は久方ぶりだ。湧き上がる熱に身を任せ、さっそく箸をつけていく。まずはビーフカットステーキからだ。

この最初に食べたステーキによって、筆者はプレート全体のクオリティを推して知ることとなった。肉が柔らかい。香り豊かな玉ねぎベースのソースが絶妙に効いている。純粋にステーキとして美味しい。ステーキが美味しいオードブルがハズレなわけがあるだろうか、いやない。

今時珍しい反語が飛び出た勢いに乗じて、次に若鶏の西京焼きをいただく。これも美味しい。西京焼きというと独特な風味を想像しがちだが、驚くほどクセがなく、上品な味わいに仕上がっている。

続いて海老フライと広島産カキフライを、付属のタルタルソースと絡めて食べる。両品とも揚げたてのようにサクサクとしており、こちらの信頼感をいよいよ確固たるものにしてくれるハイレベル具合だった。

とはいえ、いくら美味しくとも肉やフライばかりでは飽きが来る。そうした時にほうれん草ベーコンを合間に挟むと、これが丁度良い箸休めになった。あっさり落ち着いた味が口の中に優しく沁みる。

弾みをつけたところで、今度は真反対のジャンルに属する海老マヨポテトに箸を向ける。端的に言うならジャンクそのもの。濃厚なしつこさがたまらない。子供がいるような場だったら真っ先にこの区画が壊滅していたに違いない。今は筆者1人なので安心して貪れる。

最後は海老といかのマリネ風。これも箸休め第2弾といった感じで、さっぱりとしたテイストがプレートにメリハリを与えている。総じて品目のバランスが良く、それでいてどの料理も高水準で、文句のつけどころがない。コスパも良好ではなかろうか。

そんなこんなで心地良い食事を楽しんでいたものの、量が量なので普通にだだ余りの状態で満腹になってしまった。が、それもまた一興。急がず時間をかけて食べればよい。じっくりオードブルと向き合う経験など、こういった機会にしかできない。まだまだ楽しめると思うと、つい笑みがこぼれる。

ちなみにこのメニューを注文できる期間は、2021年2月17日までの予定とのこと。これまで涙を呑んできた同志には、ぜひともチャンスを逃さないでほしい。オードブルに泣いた者は、オードブルで笑おうではないか。

参照元:ガスト公式HP
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.