本来であれば2020年は日本ラグビー界にとって大きく飛躍する年だった。2019年の自国開催W杯で史上初のベスト8進出から勢いそのまま東京五輪へ。冷めやらぬ熱狂は2015年にジェットコースターのようだったラグビーブームと違うものを予感させたからだ。
しかし、かつてないほど盛り上がっていたところに水を差したのが新型コロナウイルス。当たり前だった日常はいつか必ず戻ってくる──今はそう願うしかないものの、その時に全力でラグビーを楽しむにはどうしたらいいのだろう? そして再度人気に火をつけることができるのか?
・元日本代表&サントリーの2人
今回、そのような疑問に答えてくれたのは元ラグビー日本代表の2人。まずは元サントリーサンゴリアス所属の真壁伸弥さん。2015年W杯の「世紀のジャイアントキリング」と呼ばれた南アフリカ戦、ノーサイドの瞬間にピッチに立っていた15人のうちの1人である。
そしてもう1人はジャンボこと仲村慎祐さん。真壁さんと同じくサントリーサンゴリアスでプレー。現在はサバイバルゲームプレイヤーとしての顔を持ち、他にもドラマ『半沢直樹』『ノーサイド・ゲーム』に出演するなど幅広い活躍をしている。
・ぶっちゃけトークスタート
さて、インタビューは海賊ラジオの「ラガーマン 真壁・仲村の海賊スクラムラジオ」収録内で実現した。どうやったら、よりラグビーを楽しむことができるのか。そして人気スポーツになるためにはどうしたらいいのか。とっておきの秘訣は以下の通り!
──ラグビーはルールが難しいと言われることが多く、W杯でファンになった人の中にはどこをどう見たら楽しめるのか分からない人もいると思います。具体的にはどういった打開策があるとお考えですか?
真壁「う〜ん、そうですねぇ……。よし、ジャンボ任せた(笑)」
仲村「ええっ、いきなり分からんの?(笑)まぁそれは永遠のテーマではありますよね。よくあるのは実際に見たことない人を会場に連れて行った時、テレビで見るよりすごい面白かったと言われることですかね。
現地だと画面からは伝わってこない迫力、音だったり風圧のような熱気のようなものが確かに存在するんですよ。例えばですよブラウン管……あっ今はブラウン管じゃないけども!」
真壁「おいおい、何の定型文を持ってきたんだ。ブラウン管って(笑)」
仲村「使い古された定型文ぽかったってことはさておき、会場に行くと人間同士がぶつかって出る音が聞こえたりするところが魅力ですね。あれさえ感じてもらえれば、スゴいとか面白いってなるはずだと僕は思うんですよ」
──確かにラグビーは “音” も魅力の1つと言われますよね。真壁さんはいかがですか?
真壁「自分でコントロールできないけど、アメフトみたいに屋根のあるあったかいところでやって欲しいかなぁ。だって、ラグビーを見に行くと寒いんだもん(笑)」
──分かります分かります。ラグビーは冬のスポーツですもんね。
真壁「寒いとビールを飲んでワッーと盛り上がれないじゃん。引退して分かったことがあって、野球とかバスケを見に行ったら飲めるじゃん、あったかいからだよ。ラグビーだとさぁ〜、あったかい格好してさぁ〜、ホットワイン飲んでさぁ〜、縮こまるからワッーってできないじゃん。あれ結構デカいと思うんですよね」
──スポーツ観戦において、お酒を飲む環境は大事ですよね〜
仲村「あと売り子のお姉さんが欲しいですね。お客さんへのサービス」
真壁「うんうん。結果、いろんな面で女子なんだよね。それについて個人的な意見を言わせてもらうと、トップリーグの試合はなぜ土日だけなのって思っちゃう」
──それはどうしてでしょう?
真壁「野球もバスケも平日に試合あるじゃないですか。んで、ほんと好きな人っていっぱい見に行きたいはずなんですよ。でも土日って仕事してせっかくの休み、そこでラグビー見に行ったら家族の時間どうするのってなるワケで。
だから仕事終わりにサクッと行ける平日。仲間呼んで行けるみたいな方が、特に男からしたら誰かというか女の子を誘いやすいじゃないですか(笑)。それで平日がいいと思うんですよ」
──確かに、休日よりは平日の方が気軽に行ける気がします
真壁「そう考えたら、土日に試合をやったら家族サービスの時間を費やしてまでラグビー見ない。よっぽど相手が好きじゃないと、やめてって思っちゃう。だから土日開催はやめて欲しい(笑)。個人的には的を射てると思ってるよ」
──ふむふむ
真壁「女子もほんとにラグビー好きな人しか現地行かないからねぇ。どっちかって言ったらラグビー知ってる奴が誘うじゃん、そしたら土日は無理だよ。土日の会場には健全な人しかいないもん(笑)」
──仲村さんはどう思われます?
仲村「僕ですね、嫁さんが女子バスケチームのトレーナーをやっていて、試合を見に行くこともあるんですね。他の競技との比較ばかりになって申し訳ないですが、例えば代表の選手は人気があって当たり前じゃないですか。そこで重要になるのがそうじゃない選手にどうやってスポットライトを当てるか、これが大きいと思ってるんです」
──なるほど!
仲村「女子バスケのチームって代表選手ばかりじゃないんですけれどもブランディングがすごいできていて、この選手はどんな為人(ひととなり)でどんなバックボーンがあって、みんなが応援できるような土壌ができているなって思ったんですよ。等身大パネルがいっぱい置いてあったりね。この子を応援したい、まるでアイドルのような感じがありますよ」
真壁「野球も一緒だよね。チームを出すんじゃなくて人を出す。そこだよね」
仲村「それで魅力的な選手がいっぱいいるので。しかもラグビーの強みの1つが15人いるわけですよ、ポジションがそんだけの数あって、みんな体型も違えばスタイルも違って、逆に言うと必ず推しになり得る選手がいるはずなんですよ。それってすごい大きいんですよ、だからそこを活かすべきじゃないかなと僕は思います」
真壁「それとラグビーのポジションで1つ面白いことがあって、実はポジションごとに性格が違うんですよ。ポジションごとで結構似たり寄ったり、あとは似たような雰囲気だったりね」
──ありますあります、それラガーマンあるあるですね!
真壁「あれ意外と分かっている人いないと思う。それこそ積極的に取り上げていくと面白いと思うんだけどな。これいろんなところで言ってるんですけどねぇ。ていうか、どうしたらいいですかと言う質問に対して愚痴が出たね(笑)」
仲村「もっとこうしてくれよ、なんで俺らのときにはやってくんなかったんですかみたいな(笑)」
真壁「まぁ選手にフォーカスするっていうのはいいよね。ラグビーが面白いって言うよりも人が面白いと思ってハマっていくパターンもあると思います」
──人から入っていく。あると思います!
真壁「日本代表って意外と真面目でつまんない人もいるけどね(笑)。だからトップリーグとか違うところを見たら、もっと面白い人がいるはずです」
仲村「あとユニホームに注目するのも面白いかも。ていうのも、セクシーだって言ってくれる人が結構いるんですよ。どんなに寒くても短パン半袖で結構短く履くのがね、そういう風に見る人からするとたまらんという人がいるんですよ」
真壁「何丁目の人?(笑)」
仲村「もちろん女性もですよ。でも、そういうふうな観点もあるみたいで、好みの体型の人がいるっていいますね。推しとなる人がいて、特にセンターとフランカーがモテる選手が多いみたいです」
──分かる気がします。あとはウイングもそうですかね
仲村「ウイングもモテますね。ちなみにプロップはちょっとコアなファンが多い感じがします」
──つまり、楽しむ過程の一歩として推しメンを作っていくと?
真壁「そうそう。ラグビー界は推しメンをもっと露出してほしいよね。みんなチームのマスコットばかりをしてるけど正直興味ないからね、サンゴリアスとか(笑)。おそらくどうでもいいと思ってるし、やっぱり生身のマスコットを作らないとね」
・ラジオ放送予定
──といったように普段は聞けないような話が続いたが、実を言うと9月25日、10月2日(ともに15時〜)から「ラガーマン 真壁・仲村の海賊スクラムラジオ」でオンエアされる放送では海外選手の肌で感じたスゴさ、現役引退後の体型維持方法、ラグビーのプロ化構想などまで2部構成で語り尽くしているので、興味のある方はぜひ聴いていただきたい。
放送開始から1カ月間は何度でも繰り返し聴くことができて無料なため気軽にどうぞ。ちなみに筆者(私)もゲスト出演。元ラガーマンの端くれとして奮闘しているぞ〜!
参考リンク:勢太郎の海賊ラジオ、アプリ(iOS、Google Play)
Report:原田たかし
Photo:RocketNews24.
▼『半沢直樹』に出演している仲村さん