
新型コロナウイルスが収束の兆しを見せず、かつてない苦境に立たされている日本経済。観光業などと並び「かなりヤバいのでは?」と目されているのが「外食産業」だ。テイクアウトを展開しても本来の売り上げには程遠い……といった声があちこちから聞こえてくる。
そんな中、日本最大級のイタリアンレストランチェーン「サイゼリヤ」が、その名も『食事用マスク』を開発したとの情報をキャッチした。食事用……マスクだと? もしそれが画期的なマスクだとしたら、サイゼリヤは日本の救世主……いや、世界の救世主になるかもしれない。これは気になる。
・異例の緊急発表
2020年8月6日の20時過ぎ、サイゼリヤが『食事用マスク』の記者会見開催を報道機関向けに発表した。記者会見は翌7日の14時から──。基本的にはあり得ない、超ギリギリの緊急発表である。
どうした、サイゼリヤ。何をそんなに焦っているんだ? 1つ考えられるとしたら『食事用マスク』が革命的に素晴らしすぎて「早く世界に発信したい!」ということではないだろうか? 普段から飾り気ないことで知られるサイゼリヤだけに期待できる……ハズだ。
・マスクに賭ける熱い思い
実はこのマスク、サイゼリヤの今期の決算で報告されていたもので、今回発表されたのは “プロトタイプ” だという。記者会見ではサイゼリヤの社長自ら、食事用マスクにかける熱い意気込みを語っていた。
「この状況が続くと、外食産業は持ちこたえられない可能性があります。我々は飛沫の飛散防止を最重要課題とし、今回の食事用マスクを開発しました。言うなれば、うつされないためのマスクではなく “うつさないためのマスク” です」
「お客様に気軽に使っていただくため、コストは最小限に抑えました。このマスク “しゃべれるくん” は8月後半に全店舗に導入予定ですが、お客様に強制はいたしません。ただし、かなり騒がしいお客様がいる場合は、こちらから “しゃべれるくん” の着用をお願いするかもしれません」
「このマスクを我々が独占するつもりはなく、もちろん特許の取得などは考えていません。ぜひ多くの飲食店に取り入れていただき、みんなでより良いマスクにしていければイイと考えています。みんなの力でコロナ前の楽しい環境を取り戻そうじゃありませんか」
アツいぜ、サイゼリヤの社長……! 天下のサイゼリヤ様が「持ちこたえられないかもしれない」と言っているのだ、やはり外食産業は危機的な状況にあるのだろう。さらにここで一儲けを考えず「みんなでより良いマスクを考えていきたい」だなんて、釈迦かブッダかキリストか。いずれにせよ、サイゼリヤの善意は強く伝わってきた。
・しゃべれるくん、披露!
そしていよいよ、しゃべれるくんの登場である。プロトタイプではあるものの、サイゼリヤが開発した食事用マスクだなんて、これは期待せざるを得ない。全ての報道陣に “しゃべれるくん” がお披露目された──。
え……、紙ナプキンやん。
そう、しゃべれるくんの正体は「紙ナプキン」であった。口のイラストがプリントされてはいるが、基本的には完全体の紙ナプキン。これには会場に駆け付けた新聞やテレビなど、大手メディアの報道陣もザワついていた。だって、本当に、ただの、紙ナプキン、なんだもの──。
だがしかし、しゃべれるくんにはちょっとしたカラクリがある。実はお客さんが着用しているマスクと紙ナプキンを使用し、しゃべれるくんへと進化を果たすのだ。以下で説明しよう。
その1: 紙ナプキンを広げる
その2: マスクを半分に折る
その3: 紙ナプキンを裏返し、上から3~4センチのところにマスクを置く
その4: 余白部分を折り返して着用する
するとどうだろう? 口は塞がれぬまま、紙ナプキンだけが数センチのところでヒラヒラと舞う “しゃべれるくん” の完成である! サイゼリヤによれば「これで飛散はほぼ防げる」とのこと。実際に着けてみたところ、息苦しさはほぼなく着け心地自体は悪くない。
・そのまま食事できる
また、しゃべれるくんの場合、マスクを外さずそのまま食事できることが最大のメリットだ。ややコツはあるものの、意外と普通に食事がとれる。慣れない恥ずかしさは多少あれど、機能としては確かに『食事用マスク』の要件を満たしているのではなかろうか?
それでも報道陣のザワザワが止まらなかったことは否めないが、サイゼリヤは本気も本気、大真面目である。しゃべれるくん拡散のため、わざわざサイゼリヤ公式YouTubeチャンネルを立ち上げ「使い方動画」を公開したというから、しゃべれるくんに賭ける情熱はスゴイ。気になる人はぜひ動画を確認してみよう。
というわけで、想像とはやや違った『食事用マスク』ではあるが、今後の展開次第では大きく普及する可能性もあるのではないだろうか。とにかく簡単で、誰でも真似できることは大きな魅力だ。最後に、しゃべれるくん開発の動機となったサイゼリヤ創業者の言葉をご紹介してこの記事を終わろう。「人のためにやれば必ず成功する」──。
P.K.サンジュン








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