クレオパトラ、楊貴妃(ようきひ)、ヘレネ……その魅力で国をも傾けた世界三大美女たち。ここに新たなメンバーが加わったかもしれない。セブンイレブン限定で発売された「とろ生ケーキクリーミーチーズ(税抜き260円)」である。
出会いは2020年8月7日。セブンイレブンのスイーツコーナーで私(中澤)は言葉を失った。鮮やかに焼けたスポンジ、パッケージの奥からのぞく真っ白なチーズクリーム。そのコントラストは夏の暑さを忘れるのに十分なものだった。
──だがしかし、この時の私は全く分かっちゃいなかったのである。このケーキの持つ魔性を。
・美しい
しばし息をのんで見守っていると、「とろ生ケーキクリーミーチーズ」が振り向いてニコリと笑った。吹き抜ける風。強すぎる太陽の光が窓の外を白く染める中、透き通るその笑顔にはどこか決意のようなものを感じる。これは白昼夢か夏の幻影か。私は「とろ生ケーキクリーミーチーズ」の手を取った。
ひんやりしたその手。シースルーのパッケージには洋菓子メーカー・モンテールの名前が見えた。モンテールと言えば、あの創業66年の由緒正しき洋菓子メーカーの? 近年では毎年モンドセレクションも受賞している名門じゃないか。でも、そんなお嬢さんがなぜこんなところに?
・本家の宿命
そこでモンテールに問い合わせてみたところ、セブンイレブン限定で8月6日から全国発売されたものとのこと。個人的には、モンテールではkiri「チーズクリームロールケーキ」が鮮烈だが、今回kiriは絡んでいないという。チーズクリームの味も本家の血筋ということか。
そっとフタを外すと、スポンジに降りかかった粉糖が粉雪のように美しい。そんなスポンジの間にガッツリ入ったチーズクリームの量には、本家の宿命のようなものが感じ取れた。
・魔性の味
かぶりつくと、甘いカステラに粉糖がさらに甘みをつけている。これだけでもスイーツとして成り立っているのだが、その上、チーズクリームがなめらかに舌を包み込む。
チーズの豊潤さが合わさったトロけるような甘さ。クッ、一体どれだけ私の舌を甘やかせば気が済むのか! この時、私はケーキに潜む魔性に気づいた。しかし、時すでに遅し……
落ちていく。食べれば食べるほどに、その甘みに溺れるように落ちていく。足りない! まだまだ足りないぞ!! 心が叫ぶままに貪り食べた結果……
320キロカロリーを瞬殺してしまった。
その甘やかしは理性を崩壊させるほどの破壊力。時代が時代であれば争乱が起こっていてもおかしくなかっただろう。あれから私は「とろ生ケーキクリーミーチーズ」の甘さを忘れられずにいる。恐るべしモンテール。このケーキがコンビニスイーツ界の楊貴妃と呼ばれる日も近いかもしれない。
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.