キン消し、ミニ四駆、カードダス──。これらは現在30代~50代にかけてのおっさん達を一撃で仕留める「おっさん殺し」と呼ばれるアイテムたちだ。かつて思うように買えなかった怨念(?)も込めて、おっさんたちは隙あらばこれらのグッズを大人買いする。そこに一切の迷いはない。
そして言うまでもなく「ビックリマン」もおっさん殺しの代表格である。おっさん達は「ビックリマン」と聞くだけで、時にニヤつき、時についつい手が伸びてしまうのだ。だがしかし、2020年7月7日から発売される『ビックリマン歌舞伎チョコ』に何人のおっさんが殺されるだろうか? ある意味でおっさんが殺されない史上初のビックリマンである。
・おっさんが殺されない
そもそもビックリマンほどの破壊力があるならば、おっさん達を殺すのはたやすいことだ。オールドスタイルのビックリマンでもおっさんは殺されるし、キン肉マンコラボや北斗の拳コラボでもおっさん達は嬉々として殺される。やや世代は違うが、エヴァンゲリオンコラボで殺されたおっさんも多いことだろう。
だがだがしかし、だがしかし──。果たして7月7日から発売される『ビックリマン歌舞伎チョコ』に殺されるおっさんはこの世に存在するのだろうか? 情報によれば『ビックリマン歌舞伎チョコ』は、松竹株式会社監修の “本気コラボビックリマン” だという。
さらには「シークレットシールの一部には歌舞伎の次代を担う若手人気俳優のひとり、中村隼人(なかむらはやと)さんがご登場されます」とのことなので、ビックリマンと歌舞伎がガチでコラボしていることは間違いないのだろう。ただ、個人的にはこう言わざるを得ない、
……で?
歌舞伎に悪い感情はないし、もちろんビックリマンも大好きだ。だが、なぜビックリマン歌舞伎なんだ──? いくら考えても誰得なのかわからなかったため、ロッテのビックリマン担当者(かなりエラい人)に話を聞いてみることにした。
──大変失礼なんですが、ビックリマン歌舞伎チョコで誰が得するのか本当にわかりません。開発の経緯を教えていただいていいでしょうか?
「はい。これまでビックリマンは漫画や映画などとコラボレーションをしていますが、その枠にとらわれないコラボレーションをしたいと常々思っていました。やはり人をビックリさせるのがビックリマンの原点ですので」
──はい。
「で、歌舞伎をテーマにしたビックリマンはいつかやりたいと常々思っていたんですね。ただ、やるなら本格的にやりたかったんです。そんな時、松竹さんとご縁をいただき、ビックリマン歌舞伎に取り組むことになりました」
──うーむ、なぜ歌舞伎なんでしょう?
「まず、ビックリマンのキャラクターと歌舞伎は相性がいいと思っていたんです。剣(刀)を持ったキャラもそうですし、元々スーパーデビルは歌舞伎をイメージして描かれたキャラクターなんですよ」
──そうなんですね。
「また、スター・ウォーズ歌舞伎に代表されるように、歌舞伎自体も新たなジャンルに挑戦していることに好感を持っていました。ビックリマンが歌舞伎の魅力を発信するお手伝いになれればとも思っています」
──なるほど。
「あとはそうですね……オリンピックイヤーだったことも否定しません。訪日外国人の方に、日本文化の歌舞伎とビックリマンでアプローチできるとは思いました」
──それ1番納得しました。予定通りにオリンピックが開催されていたら、印象はだいぶ違ったかもしれませんね。
「そういう意味でオリンピックが延期されたことは残念なんですが、ビックリマン歌舞伎自体は本当に良い出来になっています。ぜひ、お手に取って確かめていただければと思います」
・オリンピックも関係していた
ご覧いただいたように、様々な理由があった『ビックリマン歌舞伎チョコ』だが、個人的にはオリンピックのくだりが1番しっくり来た。おっさんが殺されるかどうかは別にして、確かにオリンピックのタイミングならば違和感はなかったハズだ。
というわけで、ビックリマン歌舞伎チョコ誕生の理由が判明した。ビックリマン歌舞伎チョコは7月7日から東日本で先行発売、想定小売価格は税抜80円だ。シールは全22種類なので、興味があるおっさん達は集めてみてはいかがだろうか?
参考リンク:ビックリマン公式サイト
Report:P.K.サンジュン