
どうか自分の気持ちを偽ることなく教えて欲しい。あなたは『スター・ウォーズ歌舞伎』と聞いてどんな印象を受けるだろうか? 「スター・ウォーズ」でも「歌舞伎」でもなく『スター・ウォーズ歌舞伎』である。正直、クスっと来てしまう人が多いのではないだろうか?
2019年11月28日、世界初となる『スター・ウォーズ歌舞伎』が都内某所で開催された。主演はなんと市川海老蔵──。果たして未知すぎるスター・ウォーズ歌舞伎とはどんなものだったのか? 大のスター・ウォーズファンである私、P.K.サンジュンがお伝えしよう。歌舞伎見たことないけど。
・真面目な舞台
まずは『スター・ウォーズ歌舞伎』の概要を説明しよう。スター・ウォーズ歌舞伎は大のスター・ウォーズファンとして知られる市川海老蔵さんと、ルーカスフィルムが大真面目に企画したガチ歌舞伎である。
もちろん本国の公認付きで、脚本もルーカスフィルムが監修したというから本気度はMAX。ストーリー的にはエピソード7と8がベースとなっており、市川海老蔵さん演じる「カイロ・レン」が主役の舞台となっている。
・ぶっちゃけ小馬鹿にしてた
さて、ここで『スター・ウォーズ歌舞伎』を観る前の、正直な気持ちをお伝えしておきたい。ハッキリ言えば、多少なりとも小馬鹿にした気持ちがあったことは事実である。事前情報にあったカイロ・レンは「魁煉之介(かい れんのすけ)」、ルーク・スカイウォーカーは「皇海大陸琉空(すかいおおおかるくう)」などは、完全に笑わせに来ているではないか。
とはいえ、市川海老蔵さんとルーカスフィルムは大真面目に『スター・ウォーズ歌舞伎』に挑むのだろう。このギャップ──。ぶっちゃけ、私は「笑ってはいけないスター・ウォーズ歌舞伎」になることを覚悟しながら舞台の幕開けを見守った。
ところがどうだろう──。
舞台中、私は1度もニヤつくことはなかったし、その世界観に完全に引き込まれてしまった。1度も歌舞伎を観たことがないド素人であるにもかかわらず「とても良い舞台だった」と心から言える。それくらい『スター・ウォーズ歌舞伎』は上質なエンターテインメントであった。
・3つの素晴らしさ
まず良かったのは「ライブ感」である。舞台の両袖にいる音楽舞台の迫力たるや、それはそれは凄まじかった。特に「ツケ打ち」と呼ばれる四角い板(棒?)で舞台を叩いて出す音は大迫力の一言。生演奏の三味線や太鼓、鼓(つづみ)もライブ感満載で、それだけでも歌舞伎の凄さを思い知った次第だ。
次に「歌舞伎」そのものの素晴らしさが、素人にも良く伝わってきた。歌舞伎は拍手も掛け声もOKなので、そこまでかしこまる必要もない。スター・ウォーズという味付けの濃ィィイイ題材でも “歌舞伎力(かぶきぢから)” が削がれることはなかったのではなかろうか? 何百年もの間、脈々と受け継がれた文化の底力を感じずにはいられなかった。
最後に、市川海老蔵がすごかった。『スター・ウォーズ歌舞伎』には他の歌舞伎役者さんも何人か出演していたが、目を引く力は海老蔵さんがブッチギリ。主役力とでも言うべきか、舞台上で視線を集める力はエゲツない。ノーメイクの市川海老蔵より、舞台の市川海老蔵の方が数倍カッコ良かった。
上記の理由で私は「スター・ウォーズ歌舞伎は素晴らしかった」と断言できる。じゃあ、普通の歌舞伎ファンになるかと言われたらそこまでではないが、誰かに「歌舞伎ってどうなの?」と問われたら「おもしろいよ!」と即答するだろう。それくらいエンターテインメントとして完成していた。
・歴史の重みがすごかった
このご時世、長く1つのことを続けることは割に合わないという風潮がある。寿司屋で何十年も修行するのはナンセンス、というヤツだ。私もまったく同意見なのだが、歌舞伎には歴史の重みが凝縮されていた気がする。生まれながらに歌舞伎役者としての人生が定められた男たちの覚悟と凄みがそこにはあった。
この日の舞台はYouTubeにて全世界へ配信されていた。舞台前の会見で海老蔵さんは「歌舞伎がそうなるといいですね」と語っていたから、海老蔵さんなりにも挑戦的な意味合いがあったのだろう。このクオリティならば「アベンジャーズ歌舞伎」や「アラジン歌舞伎」があってもいいと感じた次第だ。
というわけで、スター・ウォーズ歌舞伎は上質なエンターテインメントであり、おそらく普通の歌舞伎を素人が見ても楽しめることだろう。生ほどの感動はないかもしれないが、スター・ウォーズ歌舞伎の様子はYouTubeでも確認できるから、興味がある人はぜひチェックしていただきたい。
参考リンク:「スター・ウォーズ / スカイウォーカーの夜明け」公式サイト、YouTube
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
P.K.サンジュン






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