ステイホームの影響で全国的に『ふりかけ』の売れ行きが好調だという。常に持ち歩くほどの “ふりかけツウ” を自負する私も当然、いつも以上にふりかけを消費しているところだ。ふりかけはイイ。極端な話おかずより大事なくらいである。

しかしながら……個人的には東京で「最高のふりかけライフ」を送っているとは、正直言えないのが現状だ。なぜかって?


『タナカのふりかけ』が売っていないからに決まってんだろぉぉぉぃ!!!!!


・広島の誇り、中国地方の日常

私の生まれ育った鳥取県では「ふりかけといえばタナカ」……だった。正確に言うと最近はキャラクターつきなどの別商品を選んでいる子供もいるかもしれない。しかし少なくとも私の幼少期には「ふりかけといえばタナカしかなかった」ぞ!( ※ 約30年前の話)

19歳で上京した私は『タナカのふりかけ』を求めて都内のスーパーをさまよったが、現在まで発見には至っていない。その時初めて私はタナカこと田中食品が “広島のメーカー” であることを知ったのだ。恐らく中国地方を中心に流通しているのだろう。

ちなみに幼少期は “ビン入り” のタナカふりかけをメインで食べていた。学生時代は6種類セットで売られる “ミニパック” を弁当にしのばせていたのだが、定番の『のりたま』や『さけ』の中にあってシブすぎる『磯海苔』だけはいつも最後まで残していたと記憶している。

……ところが田中食品の公式オンラインショップをのぞくと『磯海苔』の大袋が販売されており、「“磯海苔だけ欲しい” という声が多い」との説明書きが添えられているではないか。年代によって好む味も変わってくるのかもしれないなァ。


・『旅行の友』とは

さて……タナカのふりかけはどれも他社製品とは一線を画したウマさだ。しかしその中で私が「コレだけは絶対に食べてみてほしい」とオススメするのは、看板商品の『旅行の友』である。

『旅行の友』……これほど味に関するヒントがないネーミングを、あなたは見たことがあるだろうか? そして昔からちっとも変わらぬ独創的なパッケージ。この2点だけ見ても、タナカの歴史と自信が感じられるというものだ。


・他にはない味

パッケージに “小魚のふりかけ” と書かれた『旅行の友』を口に入れた瞬間、確かな青魚の風味が口の中に広がる。『よくある小魚ふりかけ』から感じるのはせいぜいジャコ程度の雰囲気だろうが、『旅行の友』から浮かぶイメージはもっとこう、明らかにサバとかイワシなんだよな。

ほのかに青魚の “苦味” まで香る気がする『旅行の友』……冷静に考えるとかなり大人っぽいふりかけだが、子供でも大喜びで食べられちゃうのはタマゴとゴマが裏でいい仕事してるからだろうか? 「結局何味なのか」と問われれば明確な答えが出せないけれど、ふりかけプロフェッショナル風に表現するとつまり……


──『旅行の友』とは?

私「 “旅行の友味” …………ですかね」


と、いったところだろうか。


・買うなら大袋を

また個人的には『鰹みりん焼』も相当オススメだ。削りぶしがパリパリと薄く甘く焼かれたこの感じ、ずっと代用品を探してはいるが絶妙に “ありそうでない” おいしさなんである。

ちなみにアンケートを取ったところ、九州と関西の知人から「 “ふりかけといえばコレ” というほどではないが、確かに地元で売られていた」という証言が得られた。西日本地域では普通に入手できる可能性があるので、知らなかった人はまず『旅行の友』からトライしてみてほしい。

東日本地域では残念ながら現状では通販が妥当だろう。生まれた場所が違うだけでこんなイイものが食べられないなんて、流通の悲劇と言うほかない。おいしいうえにカルシウム満点な『タナカのふりかけ』は学校給食に登場する地域もあるという。ふりかけ好きな人も普通な人も、ふりかけに対する価値観が変わるかもしれないよ!

参考リンク:田中食品ネットショップ
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

▼学生時代はふりかけ弁当が楽しみでした

▼鳥取県では『からしめんたい』と『わざび』が近年流通しはじめた