家系ラーメンを愛してやまない皆様、朗報である。そこらの朗報が頭を垂れてひれ伏すほどの朗報である。

皆様におかれては、外出自粛の状況下で家系ラーメンから遠ざけられ、さぞ心の冷え切った日々を送っておられることだろう。筆者も同志なのでよくわかる。色褪せてしまった世界を何度悲嘆したことか。だがそんな苦悶はもう終わりだ。現在「Uber Eats」での配達を急速に拡充している家系ラーメン屋が、この世には存在するのだ。

その店の名前は「町田商店」。全国に70店舗以上を構える有名家系チェーンで、家系好きならば知っている方も多いだろう。筆者もたびたび舌鼓を打たせてもらっている。

同店は2019年3月よりデリバリーサービス「Uber Eats」を通じて配達を開始しており、そして2020年2月から3月にかけて、その対象店舗を4店舗から25店舗へと大幅に拡大した。配達範囲は東京都・神奈川県・愛知県・大阪府・兵庫県の1都1府3県に及んでいる。

対象店舗の詳細は公式サイトを確認してもらうとして、幸運にも自宅が配達地域内であることを知った筆者は、家系の神に感謝しながら注文ページを開いた。むろん「町田商店」への感謝も忘れない。このご時世、店舗に出向かず本格的な家系を食せる有難さと言ったらない。

残念ながら味の濃さや麺の硬さなどは選べなかったものの、各ラーメンへのトッピングは用意されていた。今回はトッピングの追加はせず、チャーシュー3枚、味玉1個、海苔6枚があらかじめ乗せられている「MAXラーメン(1100円)」を頼んだ。

注文から数十分後、届いた商品はコンビニのチルド麺のようなパッケージが施されており、具材の海苔はラップに包まれて付属していた。普通の出前のような完成品ではなく、レンジで温めるタイプのようだ。

ちなみに自分で茹でる生麺タイプも注文時に選べたが、家系への飢えで判断能力が低下している筆者に「茹でる」という高等技術は不可能だった。そんなわけで、パッケージの記載通りに600Wで30秒から1分ほどカップをレンジする。

その際、麺や具材の入っている上部分と、スープの入っている下部分のあいだにあるラップを取り外しておく。温め終わったのち、スープに麺や具材を投入する。

そうして完成したラーメンは、当然と言うべきか、店舗で出てくる品とほとんど変わらぬ風情をたたえていた。それどころか久しく食べていなかった分、いっそう食欲が揺り動かされる。「家系、三日会わざれば訴求力倍増」である。

つられるままに麺をすすると、干からびていた全身に潤いと活力をもたらす味がした。豚骨醤油の独特の風味といい、クセになる濃厚さといい、「食べたかった家系」そのものだ。ひとたび口に含めば箸が止まらなくなる。

あえて付け加えるなら、伸びるのを計算しているためか麺は固めで、スープのきりっとした醤油感もややきつめだ。だが個人的にはこれくらいパンチのある方が好みだし、食べていると最高に「生きている」という実感がこみ上げてくる。

何にせよ、自宅で食べられる本格的な家系としては迷いなく推せる一品である。少しでもそそられたなら積極的に手を出すべきだろう。「町田商店」は今後も配達エリアを広げていく方針とのことなので、今は対象地域外の方も希望を捨てずにいてほしい。

またデリバリー以外にも、この4月から40店舗でテイクアウトサービスも開始されているので、合わせてチェックすることをお勧めする。暗い世情だからこそ、濃い時間を過ごしたいところだ。

参照元:町田商店
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.