ずっと思っていた。「焼きそばって蕎麦じゃないよな」と。焼き “そば” と名乗っておきながら、実のところ麺はほぼ中華麺だ。言うならば「焼きラーメン」である。
本当に焼きそばはこの麺が適切なのか? 私(中澤)は、不信感から焼きそばの顔を直視することができなくなっていた。そこで日本蕎麦を焼いて本物の「焼き蕎麦」を作ってみることにしたぞ!
というわけで、さっそくスーパーで乾麺の二八そばを購入。茹でて麺を戻した上で、豚肉や野菜と共に炒める。味付けはウスターソースだ。
作っている最中の実感としては、中華麺で作るのとそんなに変わらない。麺が切れやすいとか、フライパンにくっつきやすいなどの違いは感じられなかった。そして焼き蕎麦が完成。
・焼き蕎麦の味
香り立つ豚肉とソースの匂い。箸で麺を持ち上げてみると、ソース色に色づいた蕎麦が油でテカる。考えてみれば、日本蕎麦にソースって合うのだろうか。もしも、これで普通の焼きそばの方が圧倒的にウマければ中華麺を使う筋が通っているとも言えるが……食べれば分かるさ! 迷わず食べた!!
口に広がる甘辛いソースの味と香ばしい豚の旨み。ジャンクな味の中に中華麺ではありえない日本蕎麦の確かな風味が感じられる。こ、これは……
普通にウマイッ!
・従来の焼きそばと食べ比べ
焼きそばのウマさを持ちながら、蕎麦の風味でちょっとした上品さがプラスされているのだ。正直、中華麺とどっちがマッチしているのか分からないレベル。そこで、従来の焼きそばも作って比べてみることにした。
改めて食べてみると、従来の焼きそばの麺は思っていた以上にツルツルだった。普段はあまり意識したことがなかったのだが、「焼き蕎麦」を食べた後だとこの滑らかすぎる食感が少し気になる。なぜならば……
「焼き蕎麦」の食感がベストすぎるのである。ちょうど良く絡みつく舌触りで味が流れずより深く感じ取れるのだ。食べ比べて改めて断言しよう。ウマイと。
個人的には味・食感共に「焼き蕎麦」の完勝だった。しかし、これがもし私の好みだけの問題じゃないとしたら、今まで焼きそばと思っていたものは何だったのか? 我々は焼きそばの幻影に踊らされていたのかもしれない。
誰もが右にならえで行っていること。そんな概念は、時として我々の目をふさいであざ笑っている。常識を疑え! ぜひ自分の目で舌でしっかりご確認いただければと思う。ソース味だけに。
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]