五月雨を集めて早し最上川──。山形県を訪れた松尾芭蕉が最上川の流れの早さに衝撃を受けて詠んだと言われているのがこの句だ。
ウマイそば屋を求めて色んな町を放浪する立ち食いそば放浪記。山形名物「冷たい肉そば」を出しているそば屋を発見したので食べてみたところ……つゆ、激ウマ! ゴクゴク飲めすぎて喉が最上川になるレベル!!
・変わったメニュー
その店の名は『桃山』という。千代田区内神田1丁目にあるこの店。駅で言うと、JR神田駅、都営新宿線小川町駅、東京メトロ大手町町駅が近く、ちょうどその3つの中間に位置している。
店の外に大きく貼られた「本場山形の肉そば」というポスターの文字に惹かれて立ち止まった私(中澤)。メニューをじっくり見てみると他にも「牛かけそば(税込750円)」とか一風変わったメニューが並ぶ。
特に、「ゴマ豆乳担々そば(税込850円)」はめちゃくちゃ気になる。豆乳担々そばて。山形関係なさそうだけど、攻める心意気が素敵である。
・迷いの末
いや、でも初来店だし、まずはこの店の代名詞っぽい「肉そば(税込650円)」を食べてみるべきではないだろうか。そんな感じでふわふわと入店し冷肉そばを注文した。
大きめの丼でなかなかガッツリしている。普通の立ち食いそば屋なら大盛りと言われても疑わないサイズだ。透明感のある黄金色のつゆの上に並ぶ鶏肉はまさに「冷たい肉そば」という感じ。立ち上る鶏の香りが食欲をそそる。
でも、本当にこれで良かったんだろうか。山形名物の冷たい肉そばなら、同じ小川町の『河北や』も出してるし、やっぱりゴマ豆乳担々そばの方が珍しかったのでは……? そんな迷いの中食べてみたところ……
こっちを注文して良かった。
ひと口つゆを飲んだ瞬間そう確信した。激ウマすぎたのである。透明感ある薄めの色に反してかなりしっかりした味がするつゆ。凝縮されたような濃密な鶏の旨みは鶏肉そのもの以上だ。
・ドドドドド
さらに、そこに濃厚な昆布の風味が絡む。いまだかつて、そばつゆでここまで昆布を感じたことがあっただろうか? そんな疑問さえ覚えるほどの濃厚さ。しかしながら、全く鶏の味を邪魔しておらず、噛み合ってさらに力強くなっている。まるでガッチリスクラムを組むかのように。
もちろん、冷たい肉そばであるため、つゆの温度はぬるめから冷ためくらい。したがって、ゴクゴク飲める。むしろ「ドドドドド!」と喉に流れ込む! ウンメェェェエエエ!!!!
ここで一句。
鶏肉を集めて早し最上川──。
私がもし松尾芭蕉ならそんな句を残しただろう。それほどに私の喉は激流と化していた。
つゆの味がズバ抜けている『桃山』。コシのあるそばとも相性はぴったりで、税込650円でこの味はコスパが良いと言える。小川町に日本三大急流に数えられる激流を見た。
・今回紹介した店舗の情報
店名 桃山
住所 東京都千代田区内神田1-4-2
営業時間 ランチ11:00~17:00(L.O.16:00)、ディナー17:00〜22:00 (L.O.21:00)
定休日 土・日・祝日
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.