スタジオジブリが誇る青春アニメの金字塔『耳をすませば』。公開された1995年当時、私(中澤)は中学1年だったため、ちょっと大人な2人の関係に憧れたものだが、37歳のオッサンとなった今見ると青すぎて胸をかきむしられるようだ。
西司朗もきっとこんな気持ちで2人を見守っていたに違いない。雫に人生相談めっちゃされたいわ。成長と共に見方が変わるのも本作が名作と言われる由縁だと思う。先日、そんな本作の実写化が発表されたが、海外で賛否両論の声があがっているのでお伝えしたい。
・10年後の2人
まずは、『耳をすませば』実写化の概要を説明すると、目玉はなんと言っても2人の10年後が描かれるということ。原作の世界観を忠実に再現する「あの頃(過去)」と、実写化オリジナルの「10年後(現在)」を二重構造で描く作品なのだとか。
そして、10年後の天沢聖司を演じるのは松坂桃李さん、雫役は清野菜名さんであることも発表されている。さらに、雰囲気が少し垣間見えるストーリーは以下の感じだ。
・ストーリー
「読書が大好きな中学3年生の月島雫は、同級生・天沢聖司と出会う。最初の印象は最悪だったが、夢を追う聖司に次第に惹かれていく雫。聖司も小説家になるという雫の夢を知り、彼女に想いを寄せ始める。そして2人は「お互いきっと、夢を叶えよう」と誓い合う。
そして、10年の月日が流れ・・・
24歳になった雫は、出版社で児童小説の編集者になっていた。小説家になる夢はあきらめ、本を売るために必死な毎日。一方、夢を追い続けて海外で暮らす聖司との間には、いつの間にか距離が生まれていて――」
──そっか。雫、小説家になれなかったか。っていうか、10年後の設定がメロドラマの教科書感がエグイんだが大丈夫なんだろうか?
ストーリーをよく見るとちょっと不安になってしまったが、まあ、ストーリーなんてそんなものかもしれない。今の時点ではなんとも言えないというのが本音だ。その証拠に、日本のネットの声も主演について言及する声が多かった印象。
一方、海外でも本作の実写化について、ネットユーザーから様々な声があがっている。ロケットニュース24の英語版SoraNews24は1月14日にこのニュースを報じたのだが、海外ネットユーザーの反応を以下にピックアップしてお伝えしよう。
・海外の声
「実写版続編? そりゃ楽しみ!」
「早くみたい!」
「半分楽しみ、半分納得できない気分」
「結構です。誰もこれを必要としていない」
「はいはい。どうせクソつまらない映画になるね」
「なぜこうやってなんでもかんでも実写にしやがるんだ?」
「アニメの後どうなったとか表現して欲しくない! アニメの完結がその後を見る人の想像に任せてるからこそ完璧な作品なのに」
「アニメ版は面白かったけど、実写にするのはちょっと……」
「ジブリ版は大好きな作品です。実写版はヘマしないようにお願い」
「2014年の魔女宅の実写版は本当に素敵な映画だったので、これより魔女宅実写の続編を作って欲しいな」
──賛否両論となっていた。さすがスタジオ・ジブリの代表作の1つ。日本での実写化でも、海外の注目度は高いのかもしれない。と思いきや、英語版記者のケーシーによると、海外では『耳をすませば』は日本と少し事情が違うらしい。
・海外における『耳をすませば』のポジション
ケーシー「『耳をすませば』は知っている人は知っているけど、日本のアニメ / 映画ファンの場合と比べたら、やっぱり海外での知名度は低い方ですね。
海外の場合、ジブリは『もののけ姫』でプチブームが起こって、『千と千尋の神隠し』で本格的に評価されました。そのため、アニメオタク以外の人が『耳をすませば』を初めて見る頃にはもう大分古い作品になっていたんです。
物語の舞台は既に何年も前だし、アニメの技術が進んだため最新クオリティーの映像でもない。ストーリーについても、ファンタジー感が少なくて日本社会らしいストーリー(受験の話など)です。そのため、“日本のアニメーション、そしてその歴史を尊敬している人” の中で愛されている作品です」
──とのこと。簡単に言うと、『耳をすませば』はほぼ後追いのため、知る人ぞ知る作品になっているようだ。そう言われてみると、コメントで魔女宅に言及している人とかいるしな。
最後に、20年『耳をすませば』を見続けてきた者として、私の意見を言わせてもらうと、杉村と夕子が登場するのかがとても気になる。
もし、杉村と夕子の10年後が描かれないなら問答無用で受け入れられない。『耳をすませば』と共に育ってきた者としては、この2人だけはハッピーエンドを迎えて欲しいものだ。
・実写映画『耳をすませば』
■原作:柊あおい「耳をすませば」(集英社文庫刊)
■主演:清野菜名 松坂桃李
■監督:平川雄一朗
■劇場公開:2020年9月18日(金)全国ロードショー
参照元:SoraNews24、SoraNews24フェイスブック
執筆・イラスト:中澤星児
Photo:©柊あおい/集英社 ©2020『耳をすませば』製作委員会