プロレスラーが腕を振るう飲食店に突撃する「格闘グルメ」のコーナー。今回は伝説のジュニア戦士・佐野巧真さんが京都市内にオープンした「焼肉巧真」を紹介しよう。

レジェンドレスラーが放つ渾身の一撃、それは希少部位を惜しげもなく使った激ウマステーキ。その美味しさに迫るとともに、永遠のライバルでもあるライガー選手との秘蔵エピソードも特別に語ってもらったぞ! 全プロレスファン、必見!!

・マット界の実力者

京都市西京区。阪急電鉄の上桂駅から徒歩8分ほどの場所にある「焼肉巧真」が今回の目的地だ。

外観は普通の焼肉屋だが、店内に足を踏み入れるとプロレス関係の写真やポスターがズラリ。なぜなら……。

そう、ここはプロレスラー・佐野巧真さんのお店なのだ!

佐野さんは1984年に新日本プロレスでデビュー。華麗な空中殺法を武器に一時代を築き、IWGPジュニアのベルトも獲得。その後はUWFインターナショナル、ノアなどの団体にも活躍の場を移しながらトップレスラーとして戦ってこられた。

かねてから飲食業にもチャレンジしたいという夢があったそうで、レスラー業と並行しながら東京の焼肉店で修行を積み、昨年12月に「焼肉巧真」をオープン。

修行先で学んだ味をベースにしながらも、タレの味付けなどは京都の人の好みに合うよう微妙に変えてあるのだとか。そんな佐野さん渾身の焼肉を、さっそくいただいてみよう。

・ウマさ一閃、リブ芯ステーキ!

「一番自信のあるメニューを下さい」とお願いして出てきたのが、地元・京都産亀岡牛の特撰リブ芯ステーキ(2980円)である。リブ芯とは高級部位として知られるリブロースのうち、最も中央に位置する部分のこと。キメの細かい霜降り肉で、見た目は宝石のように美しい。

そんな希少部位にもかかわらず、ステーキは豪快な厚切りカットで提供される。佐野さんよ、これを2980円で出して大丈夫なのか……。

ガスロースターで表面をサッと炙り、ミディアムレアくらいの焼き加減で。われながら良い感じで焼けた。薄く塩味が付けてあるので、まずはそのまま一切れ食べてみることに。


オフゥ……


思わず変な吐息が漏れてしまったが、別に佐野さんの得意技であるソバットを腹部に食らったわけではない。これはウマい!

赤身の肉汁と霜降りの脂が、口のなかでほどけて最適なバランスで混じりあう。そして驚くほど後味が軽やかである。

この霜降りなのにクドくない上質な脂の味は、亀岡牛の特徴でもあるのだとか。添えてあるワサビを少しだけ乗せて食べると、肉の味が引き立ってなお良しだ。

併せて注文したカルビうどん(980円)や白菜キムチ(400円)も文句なしのクオリティ。特に自家製のキムチは少し甘味のある優しい味付けが絶妙で、ていねいな仕事ぶりが伝わってくる逸品である。延々とつまんでいたい……。

・「負けたくない」が死闘を生んだ

焼肉屋の店主として良い仕事しすぎな佐野さんだが、実はレスラーとしても現役。お店の経営で忙しいため試合出場は限定的ながら、今も時間が許すときはリングに上がっている。

そんなレスラーとしての佐野さんを語るうえで欠かすことのできない人物がいる。佐野さんと同日にデビューし、ジュニアの象徴として知られる獣神サンダー・ライガー選手だ。

若手時代、2人はIWGPジュニアのタイトルを巡って激しい抗争を繰り広げた。トペ・スイシーダや雪崩式バックドロップなど危険な技を躊躇なく繰り出す2人の戦いは、プロレス史に残る名勝負としてオールドファンの語り草となっている。

なぜ限界を超えた死闘は生まれたのか。なぜ試合がスイングするのか。その理由を尋ねた。


「同期デビューで、お互いに負けたくないと強く意識していました。僕はライガー選手の見ていないところで密かに個人練習したりしていましたし、彼も同じだったと思います。そういったライバル意識が、持っている能力を試合で最大限に引き出したのかもしれません」


またリング外では、こんなエピソードも記憶に残っているという。


「合宿に出かけたとき、先輩の前田日明さんに『お前ら相撲とれ!』って急に言われて。ライガー選手と相撲を取ることになったんですよ。10番勝負だったんですけど、僕が負け越してしまって……。そのときのことは、今でも悔しいです」


これはデビューすらしていない新弟子時代の話なのだとか。30年以上も前、それも練習で取った相撲の勝ち負けを未だ忘れられずにいるとは……。いかに佐野さんがライガー選手を強く意識していたか、その一端を見たような気がした。

・「イッテンヨン」を見逃すな!

ライガー選手は、来年1月に行われる新日本プロレス東京ドーム大会での引退を表明している。そして引退試合のメンバーには、佐野さんの名前も。ライガー選手との最後の試合について、その思いを語ってくれた。


「引退試合のメンバーに呼んでもらえて、素直に嬉しい。若いころのような動きは出来ないかもしれないけど、気持ちだけは若手時代と同じで挑みたい。少しでも良い試合をできるようにコンディションを整えておかないと」


試合は2日間にわたって組まれており、4日の試合では対戦相手として、5日の試合ではタッグパートナーとして試合が予定されている(カード詳細は公式HPを参照)。

最後に聞いてみた。同じコーナーに立つライガー選手と、対角線上に立つライガー選手。どちらが佐野さんにとって燃える存在なのかと。


「うーん……やっぱり対角線に立って戦うのが楽しいですかね?」


ライバルは、いつまでたってもライバルなのかもしれない。

・今回紹介したお店の情報

店名 焼肉巧真
住所 京都市西京区山田庄田町3-63
時間 17:00~23:00(LO / 22:30)
休日 水曜日、第1・3木曜日

参考リンク:新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM 14
Report:グレート室町
Photo:RocketNews24.

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▼リブ芯ステーキは必食。脂ノリノリやで!

▼カルビうどんもオススメ。チゲ風のピリ辛うどんに骨付きカルビがゴロンと乗る。ボリューム満点

▼タレは京都風に少し甘めの味付け

▼佐野さんを慕って、多くのレスラー仲間も遊びに来ているようだ

▼温かいもてなしに感激!

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