日本は狭い島国と言えども、各地域に文化の違いがある。うどんのダシが違ったり、お雑煮の具が違ったり……最初はちょっとビックリするがそんな違いを楽しむのも旅の醍醐味だろう。

先日、そんな「驚き」に出会ったのだが、今回のヤツは格別だった! 富山県のある地域で『鯖の押し寿司』を購入したところ、何これ見たことない! というか鯖が見あたらないのだが! 鯖寿司を買ったはずが、のり弁みたいなヤツが出て来た。

・魚津で買った「鯖の押し寿司」の様子が何か違う

魚津のスーパーで買った「鯖の押し寿司」。キレイ長方形にカットされたごはんの上に正方形の海苔が行儀よく貼りついている。パッと見は鯖要素ゼロ! 

大阪出身の私(沢井)はいろんな店の鯖寿司やバッテラを見てきたが、こんなスタイルは初めてだ。鯖寿司というより、のり弁。初見であれば、のり弁に空目しちゃうだろう。

・鯖はどこにあるのか? 探した結果

どこに鯖が入っているのか。おそるおそる寿司を箸で持ち上げてみると……ありました! 横から見ると鯖がありました! 海苔→酢飯→鯖→酢飯と、酢飯にサンドされる形で鯖が入っていたのだ。

鯖は焼き鯖をほぐしたものだ。ジュッと脂が乗った鯖を柔らかな味わいの酢飯が包み込んでいる。酢飯は味わいこそ柔らかだが、ギュギュッと押し固められていて、米の密度がすごい。コンパクトなのに食べ応えがあり結構な満足感だ! う~ん、美味しい!

さらに箸で持とうが手づかみしようが、崩れずに食べやすいのも特徴だ。片手でこぼさず食べられるので何か作業しながらの食事や旅の移動時にピッタリだ。まさにお寿司のサンドイッチや~!

・地元民に聞いてみた!

富山の鯖寿司が面白い! そう思った私は友人たちに「これって富山では普通?」と尋ねたところ富山市より西側の人からは「見たことがない」との声が! これはもしかしてエリア限定の超ローカルフードなのだろうか? 

もう一度、ふりだしに戻ろう。魚津愛が強い人なら何か知ってるはず……ということで鯖の押し寿司を購入したモールに店を構える『超B型のお店CANDY』の店長さんに尋ねてみた! STAR UOZU Tシャツを作っているだけあって地元愛は間違いないはず。すると……


「富山県の新川(にいかわ)地区ではメジャーなお寿司です。
むしろ自分はこの形が普通だと思ってました」


むしろ……普通!!!!



新川地区とは主に魚津市とその周辺の黒部市、下新川郡入善町&朝日町などのこと。どうやら富山県東部の一部の市町村のローカルフードであるようなのだ。

・さらに聞いてみた!

マジか! 事実を確認すべく魚津市観光協会に尋ねたところ、確かに魚津あたりならではの寿司の形であるそうだ。魚津でいえば『志むら乃寿司』『助寿司』が2大メジャーどころであるという。確かにスーパーにもこの2社の押し寿司が並んでいた!

さらに調べると古くから新川地区の冠婚葬祭などで出されるお寿司であることが判明。大人も子供も何かと目にする機会があるということだ。なるほど「新川のソウルフード」という呼び声があったのも納得だ。

ひとつの県のなかでも文化が違うものだなぁ。だから旅は面白い。魚津など新川地区では当たり前のことでも、実は独特の形なのでこれから特産として推されるかも!? 現地に足を運ぶ機会がある方は一度味わってみてはどうだろうか。

Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.