つい最近、地元にラスボスがいるのを発見した。いきなりよくわからないことを言い出したので「RPGのやりすぎでは?」と思われたかもしれないが、確かに筆者はRPGをやりすぎている。しかし妄想などではない。正真正銘のラスボスである。
正確に言えば、筆者が生来住んでいる東京都・練馬区に「ラスト・ボス」という名前のつけ麺屋があるのだ。極めて独特な店名だ。そのようなお店は見たことがない。興味が湧きすぎたので店内に入ってみたところ、想像の何倍も深い由来が判明した。
・初めての「ラスボス」
練馬駅から7分ほど歩いた辺りで、件(くだん)のつけ麺屋「ラスト・ボス」の黒い看板が見えてくる。
文字通り「ロールプレイングゲームで最後に出てくる敵」がラスボスであり、店名が記された横には、そのラスボスらしきキャラのイラストも描かれていた。
良い感じにデフォルメされていて、なんだか愛情がうかがえる。きっと店主の方はRPGをやりすぎているに違いない。
自分の知らぬ間に地元にラスボスが居着いていたと思うと薄ら怖い気持ちになるが、同じRPGやりすぎの身としてはワクワク感もそそられる。良いネーミングだ。勝手に一本取られた気になりながら入店する。
そんな調子で、てっきりRPG要素は店名だけだろうと高をくくっていたら、券売機の前に立った筆者の目に驚愕の光景が飛び込んできた。
「裏ボスつけ麺辛口(950円)」
券売機の左上に裏ボスが陣取っていた。券売機の左上と言えば、そのお店のおすすめだったり1番人気だったりするメニューが割り当てられるスペースだ。そこに裏ボスがいた。なんなら「裏ボスラーメン(850円)」まである。まだラスボスも見ていないのに。
それなら「ラスボスつけ麺」があるのかと探してみたが、見当たらない。おそらくRPGにおける裏ボスがラスボスとは別の隠しボス的な存在であるように、通常の「魚介豚骨つけ麺(900円)」や「塩豚骨つけ麺(950円)」などとは別枠という意味だと考えられる。
券売機の前で考察を行ったのは初めてだ。ひょっとすると、自分は想像以上に図抜けたお店に足を踏み入れたのではなかろうか。ただならぬ空気を感じていたところで、今度は店内の説明書きが視界の端に映った。
ラスト・ボス
最後に立ちはだかる壁のような存在
人生とは乗り越えられないかもしれない壁を
乗り越えようとしていくこと
自分の人生に重ね合わせたときに思いついた名前
てっきりノリかと思っていたら、まさかの人生観を反映した名付けだった。なんて色々と考えさせられる場所なのか。
衝撃と感銘を受けつつ、お店の一押しと目される「裏ボスつけ麺辛口」を注文。10分ほどで実物がやってきた。
丼の「LAST BOSS」の文字に気を取られがちだが、注目すべきはそこではない。見た目からみずみずしさが伝わってくる麺もさることながら……
いかにも「辛口」らしい赤みを帯びたスープが、こちらの食欲をグイグイと引き上げてくる。
よく見ればスープには背脂が浮いていて、麺をつけてすすってみると、スープの辛味と背脂の旨味が絶妙に響き合う。ともすれば互いに打ち消し合ってしまいそうだが、確かな相乗効果が生まれているから見事である。二重の波に揺さぶられるようだ。
その波の奥に、ほどよい酸味も感じられるのが憎い。ツルツルとした麺の食感も手伝って、あっという間に丼の中身が減っていく。これは美味しいし飽きようがない。クセになる味わいだ。
そして何より、ヒリヒリ感とこってり感が合わさったパワフルな仕上がりのおかげで、食べているうちに活力が湧いてくる。
まさしく「立ちはだかる壁」も乗り越えられそうだと思いつつ、気付けば「裏ボス」を完食していた。
・また遠くない日に
というわけで、「ラスト・ボス」は奇抜さのみならず、意義深さと美味しさまでもを堪能させてくれるお店だった。最初は興味本位だったものの、今となっては、よくぞ練馬の地に降誕してくれたという思いだ。
また活力を与えてもらうべく、遠からず再訪するであろう気がしている。ラスボスのすぐそばには裏ボスが控えている。人生とはそんな苦難の連続なのだから。
・今回紹介した店舗の情報
店名 つけめん ラスト・ボス
住所 東京都練馬区豊玉北5-8-12
営業時間 19:00~翌8:00
定休日 無休
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.
▼地元の謎のつけ麺屋「ラスト・ボス」
▼由来判明
▼「裏ボスつけ麺」登場
▼ヒリヒリ感とこってり感の相乗効果
▼奇抜さと意義深さと美味しさが楽しめる、そんなお店
西本大紀












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