すれ違った異性にドキッとして、思わず振り向いた経験はないだろうか。まあ、それとは少しジャンルが違う話なのだが……先日ドライブ中に、道路脇の岩場に後ろ姿で立っている「白い巨像」を見つけた。右手に “たいまつ” を持ったポーズは、まるでニューヨークの自由の女神。

もちろんそのままスルーしても良かったのだが、思わずブレーキを踏んでしまった。なんだか、このまま顔も見ずにサヨナラしてしまうのはもったいない……そんな気がしたから車をとめて海岸へ。岩場を歩いて顔を見に行ってきた。

・白い巨像

九州自動車道「門司IC」を出て、県道72号線を東へ行くと右手に海が見えてくる。門司区青浜海岸と呼ばれている場所だ。インターチェンジから15分ほど走ると、道路に背中を向けている白い巨像が現れるだろう。なぜ後ろ姿なのだろうか……。

階段を降りると美しいビーチ……ではなく、なかなか激しい岩場が待っていた。かなり近づかないと顔は見えないようだが、困難を乗り越えるからこそ味わえる感動もある。足元に気をつけて巨像の元へ。

・女神はいない

一応、正直に言うと、なんとなく巨像が女神ではないことくらい気がついていた。骨格的に女神と言うには無理がある。ただ、もしかしたら……みたいな可能性にかけていた部分もあったのだが、ある程度の距離まで近づいた結果、確信してしまった。「ここに女神はいない」と。

岩場の上に立っていたのは……

自由の女神ではなく……

自由のおじさんでした……

……よし、戻ろう。

・僧清虚像

巨像の名前は「僧清虚(そうせいきょ)の像」。清虚は61歳から亡くなるまでの13年間、航海の難所であったこの場所で、雨の日も風の日も読経とともに火を焚き続けたそうだ。その偉業を伝えるため、1973年に巨像が建立されたとのこと。

駐車場前の階段を上っていくと、現存する灯台としては九州最古のものである「部埼(へさき)灯台」と、復元された「僧清虚火焚場跡」があった。

説明書きによると、火を焚き続けた清虚の偉業は、清虚の死後も、灯台が建設されるまで、村人たちによって受け継がれたらしい。素晴らしい物語である。

なるほど、航海の安全を見守るために海側を向いていたのか。車をとめなければ、白い巨像の正体、そして清虚の偉業を知ることは無かっただろう。岩場をジャンプしながら移動して巨像の顔をのぞきこんだ私の方こそ「自由のおじさん」である。うむ、今日も勉強になりました。

・今回ご紹介したスポットの詳細データ

名称 僧清虚像
住所 福岡県北九州市門司区大字白野江

Report:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.