あなたは知っているだろうか? 童話『桃太郎』に出てくる鬼たちが住む島「鬼ヶ島」は、なんと実在するらしいのだ。マジかよ! その一つが香川県にあると聞きつけ、こうしちゃいられねぇと、私(あひるねこ)は鬼を退治するため現地へと向かった。
辿り着いたのは瀬戸内海に浮かぶ女木島(めぎじま)だ。そこには「鬼ヶ島大洞窟」なる巨大な洞窟があり、その昔ここに鬼が住んでいたのだという。ホントか~? と思いきや、中には恐ろしい鬼たちの姿が! しかし……。私は気付くことになる。本当にヤバイのは桃太郎の方であると。
・いざ鬼ヶ島へ
女木島へは高松港からフェリーで向かう。「女木(鬼ヶ島)乗船口」と普通に書いてあるので安心だ。隠す気ゼロかよ。
船に乗ること約20分。いよいよ島が見えてきたぞ。あれが女木島、いや鬼ヶ島か。見た目は特に変わったところはないようだが……。とそこへ、何やら奇妙な人影? が目に入る。
鬼だ。
島の入口で鬼が見張っていた。不審な船を沈めるためか? が、特に何かされるわけでもなく、私はそのまま島に上陸。やべえ、ホントに鬼いたよ……。そこから先はバスに乗って洞窟まで向かう。
ガタガタと険しい道を上へ上へ目指し進んで行くバス。だんだん人の気配もしなくなってきたぞ。いよいよ鬼たちの本拠地か、ゴクリ。そしてとうとう……!
鬼ヶ島に着いた。
・到着
……思ったよりだいぶ平和な雰囲気で出鼻をくじかれたが、油断は禁物。なぜならこちらには、犬も猿もキジもいないからだ。本来4人パーティーで挑むところを、無謀にも単騎での突入。これがドラクエなら とんだ縛りプレイである。とそこへ、こんな看板が……。
なんと! きび団子が売られているではないか!! ちょうどいい。お供がいないので、せめてきび団子を買っていこう。そうしよう。が……!
まさかの本日閉店である。
・気分は全裸
なんということだ。完全手ぶらで鬼の住処に突撃することになってしまった。眼下に広がる瀬戸内の海はどこまでも美しいが、ここが我が墓標になる時も近い。
さて、洞窟の入口に着くと、そこには1匹の鬼……と見せかけて係のおっちゃんが立っている。「中は写真撮っていいよー!」「写真撮ってあげようかー!?」と、やたら内部の公開に意欲的だ。どうやら鬼ヶ島は、そこらのブラック企業より風通しがいいらしい。
・いよいよ潜入
洞窟内は非常にひんやりとしており、私が訪れたのは6月だったが、上着が欲しくなるくらい涼しい場所だった。さらに奥へと進んでいく私。するとここで……。
おにが あらわれた!
つ、ついに来たーーー!! が、どういうわけか一切攻撃を仕掛けてこない鬼。なぜだ? まあ、こちらとしても余計な戦闘は避けたいので、軽く会釈だけしてその場から立ち去ることに。ふぅ、危なかったぜ……。中は思った以上に広く、防衛陣地用の「中の間」や宝庫など、様々な部屋が作られている。
中でも個人的にグッときたのが、「鬼大将の会議室」という部屋だ。ここでは鬼たちが毎夜酒盛りを行い、その大きな夢を語り合っていたとのこと。なんかリーマンみたいなことしてんな。
で、ここからがさらに良い。実は私が行った時、すでに3匹の鬼が飲み始めていたのだが、よくよく観察していると……。
両サイドの鬼が超帰りたそうである。
・飲み会あるある
うつむき、斜め虚空を凝視する2匹の鬼。夢を語り合っているようには到底見えないが、きっと真ん中の鬼が上司か先輩で、途中から徐々に説教モードへとシフトしていったのだろう。リーマンみたいなことしてんな。ちょっと鬼に同情したくなる瞬間であった。
とは言え、「監禁室」という秘密の部屋を見てしまうと、やはり鬼は悪いヤツという思いを強めざるを得ない。なんでもそこには、鬼がさらってきた婦女子が監禁されていたとのこと。な、なんと非道な……。くっそーーッ! 鬼め、覚悟しろォォォォオオオオ!!
私が飛び出そうとした、次の瞬間! 鬼ではない人間の姿がそこにはあった。あ、あれはまさか……! 「日本一」という旗を掲げた一人の男……。そう、桃太郎見参である!!
・ヒーロー登場
うおおおおおおお! 桃太郎さーーーーん!! どうやらすでに鬼をシメた後らしく、奴らも大人しくしているぞ。さすが桃太郎! あの恐ろしい鬼畜どもを成敗できるのは、やっぱり桃太郎さんしかいないんや!! 兄貴ィィィィィィイイイイ!
……ん?
え? 桃太郎さん……?
マジかよ。
クソ怖いんだが。
・ヤバイ
一体何なんだこの表情は。え、感情あります……? いや怖い怖い怖い! 人を殺すことに躊躇なさそうだよ!! そう、完全にサイコパスのそれである。こんなんどう見たって鬼よりヤバイ奴ではないか! 子供が見たら泣くだろ!! 超怖ェェェェェエエエエ!
一応、洞窟の最後には巨大な鬼の大将も控えていたのだが、桃太郎と比べたら ただのチンピラである。鬼が悪いことをしているのは監禁室を見ても明らかだ。しかし桃太郎と鬼、どちらを敵に回したくないかと聞かれたら、私は桃太郎と即答するだろう。震えながらも、何とか洞窟を後にした。
・これが鬼ヶ島
香川県に実在した鬼ヶ島。そこにはたしかに恐ろしい鬼たちが住んでいた。だが、恐ろしいのは果たして鬼だけだろうか? 人間もまた鬼同様、いや鬼以上に恐ろしい存在ではないか?
この世すべての不吉をはらんだかのような桃太郎の目は、童話というベールに覆われた世界の歪みを克明に暴き、我々にそっと差し出しているのかもしれない。
めでたし、めでたし。
・今回ご紹介した施設の詳細データ
施設名 鬼ヶ島大洞窟
住所 香川県高松市女木町
時間 8:30~17:00
料金 大人 600円、小人 300円、障害者手帳をお持ちの方 300円(引率者無料)、65歳以上 500円
休日 無休
参考リンク:鬼ヶ島観光協会
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
▼みんなも鬼ヶ島に行ってみよう!