デモに揺れている香港。以前の記事で、そんな最中に香港入りした際の状況をお伝えした。何かと不安な状況ではあったわけだが、それでもお腹は減るもので。香港国際空港を歩いていると、「SOBA」という文字が目に留まった。
だが、店には一切そば屋感がない。エプロンをした女性店員さんはみんな若めで、カウンターにはほのかにコーヒーの香りが漂う。お洒落なそば屋もあったもんだなあ。さすが香港。しかし、このロゴの緑の人、どこかで見たような……
……って、スタバやん!
・混乱
あ……ありのまま今起こった事を話すぜ! 『そば屋を見つけたと思ったらスタバだった』な……なにを言っているのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだった……催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。
思わずポルナレフになってしまうほど混乱してしまったが、香港にそばというだけでも混乱するのに、その上スタバなのでお許しいただけたらと思う。
それはさて置き、こんなものを目の前にして食べなければ、立ち食いそば評論家の名が泣くというものだ。始めようじゃないか。「立ち食いそば放浪記 in 香港」を。
・食べてみた
カウンターに行って購入してみたところ、どうやらフードパックのもよう。看板では皿に入ったそばが写っているが、これは完全にイメージ写真のようだ。ちなみに値段は61香港ドル(約793円)である。
パックを開けてみると、そばの色はかなり黒い。黒いことで有名な北海道の「音威子府(おといねっぷ)そば」レベルの黒さだ。そば殻まで全部挽きこんでいるのかもしれない。
具はブロッコリー、レタス、トマトなどの野菜に、チーズとサーモン。このサラダ的組み合わせにはスタバを感じるが、問題はつゆである。脂ぎってるようにも見えるがこれは一体?
とりあえずかけてみた。
そして食べてみた。
……なるほど。
結論から言うと、そばの味ではない。麺はフニャフニャでサーモンはちょい生臭い。つゆは、多分ごま油と醤油を混ぜたものだ。
・香港を感じる
ただ、マズいかと言うとそういうわけでもない。フニャッとした麺はカップラーメンの食感に近く、ごまの風味が強いせいか中華的な味わいがある。こういう料理だと考えれば、これはこれでアリかもしれない。
アメリカ発のスタバで、日本のそばに、中華っぽいつゆ。食べていると、様々な文化の混じる香港っぽさを感じた。そばを食べたい人にはオススメできないが、香港を味わいたい人には持ってこいのこのそば。香港に行くことがあれば一食の価値あり! ……かも?
・今回紹介した店舗の情報
店名 スターバックス
住所 香港国際空港ターミナル1出発階ゲート44付近
営業時間 7:00~24:30
定休日 無休
Report:立ち食いそば評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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