人にとって根源的な恐怖の源である闇。子供の頃、なぜか分からないけれど、暗い部屋が怖かったという人は多いはずだ。しかし、同時に人を惹きつけてやまないのもまた闇である

どことなく影のある人はモテるし、テレビや週刊誌で闇営業の話が持ち切りだったこともあった。人は本質的に闇を求めてしまう生き物なのかもしれない。また1つ、そんな闇に出会った

・なんでもない立ち食いそば屋

出会いは岩本町にある立ち食いそば屋『そば千』でのこと。朝、出社前に何気なく入ったこの店。私(中澤)は店に入るなり「おきあみ天そば(税込390円)」を注文した。かけそばは税込270円、そこに「おきあみ天(税込120円)」をトッピングした形である。

理由はシンプルでおきあみ天が珍しかったから。オキアミとは、釣りのエサに使われることの多いエビのようなプランクトンの一種。

プランクトンと言うと、目に見えないくらい小さいものを想像すると思うが、オキアミは3cmから6cmと大きく見た目もほぼエビである。とは言え、食べるのは記憶にある限りでは初めてだが

・闇

ともかく、おきあみ天がある以外、なんでもないそば屋のオーラを漂わせているこの店。ツルッとすすってサッと出ていく出社前の1杯にはちょうど良い。と思いきや、出てきたそばは……


黒い

つゆが圧倒的に黒かった。まことに闇が深い。そばを持ち上げてみると黒く色づいているほどに、全てを飲み込むつゆはもはやブラックホール

色だけ見ると醤油が強い味がしそうだが、食べてみると甘みもあり濃厚な甘辛さで目が覚めた。モチモチの麺との相性も良い。ちなみに、オキアミは味的にもほぼエビで、おきあみ天は「かっぱえびせん」のような味がする。

気づいたら、つゆを全部飲み干していた。濃厚だが、喉にひっかかる感じは特になくスッキリ飲めるため朝食でも重くない。

その証拠に、私が食べている間も客足が途絶えることはなかった。吸い込まれるような黒さを誇るこの店の暗黒つゆ。また1つ人を惹きつける闇を見た。

・今回紹介した店舗の情報

店名 そば千
住所 東京都千代田区東神田1-17-4
営業時間 月~金3:00~19:00
定休日 土曜・日曜・祝日

Report:立ち食いそば評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼吸い込まれそうな漆黒のつゆ!


▼濃厚だが、喉に引っかかるような感じはなし


岩本町なら『岩本町スタンドそば』も闇が深い

日本、〒101-0031 東京都千代田区東神田1丁目17−4