思えば失敗ばかりの人生だった。こんな風に書くと「重めの自伝が始まった」と思われそうだが、安心してほしい、これはハンバーガーの話だ。包み紙に入ってないタイプのハンバーガーを食べる時、結構な頻度で手が汚れてしまうという話だ。

「次は気を付けよう」とか、「大丈夫、私ならできる」などと自分に言い聞かせても、バンズから飛び出る具材には抗えない日々を送ってきた。そんな風に失敗ばかり繰り返してきたのだが……ある日とうとう見つけてしまった。絶対に手が汚れないというハンバーガー屋を。

・絶対に手が汚れないことの絶対的快適さ

おそらくこの「ハンバーガー問題」を抱えているのは、私だけではないだろう。それが嫌でハンバーガーを敬遠しているという方もいるのではなかろうか。

私はハンバーガーが好きなので、飛び出る具材に手酷い仕打ちを受けようと食べ続けてきた。だが、それでも汚れることに何も感じないわけではなかった。できるなら汚れずに食べたいと、何度願ったことだろう。

今回、東京・表参道にある「いしがまや GOKU BURGER(ゴク バーガー)」にやってきたのは、その悲願を成就させるためにほかならない。同店はハンバーグ専門店「いしがまやハンバーグ」のグローバル旗艦店で、2019年7月16日に2年間限定でオープンしたばかりだ。

ここのハンバーガーも、包み紙に入っていないタイプのものである。にもかかわらず、食べる時には絶対に手が汚れないという。

さらに言えば、「いしがまや」という店名通り、石窯で焼いた約180グラムものボリューミーなハンバーグが特徴として挙げられる。一般的なファーストフード店の約4倍相当とのことで、「いしがまや」は “究極のハンバーガー” と宣伝を打ち出している。

言わずもがな、具材のボリュームが増せば増すほど、手が汚れるリスクも増す。そのうえ「いしがまや」は、ハンバーガーに豪快にかぶりつく “ワンパクスタイル” を来客に推奨している。リスクの上塗りである。

繰り返しになるが、それでも手は汚れないのだという。一体どんなからくりなのか。そんな条件下で汚れから免れる方法など存在しないのではなかろうか。

いや、ある。存在する。単純にして明快な方法で、私たちはハンバーガーのもたらす汚れを退けることができる。「ハンバーガー問題」に悩む全ての人々は救われるのだ。


そう、手袋があれば


ハンバーガーに寄り添うように、静かに横たわる “それ” 。「いしがまや」ではハンバーガーにセットで手袋も付いてくるのである。

初めて見た人は驚くだろう。そして「その手があったか」と膝を打つことだろう。単純ながら、これほど効果的な方法もない。これならどんなハンバーガーにも、今までにない勇気をもって立ち向かえるはずだ。

今回注文したのは「BLTチーズバーガー(税抜1580円)」である。前述のハンバーグに加え、それ以外の具材も豊富な分、いっそうボリュームが増している。

注文に際し、ソースを「いしがまやオリジナルソース」「テリヤキソース」「シェフズスペシャルソ-ス」の3種類から選ぶことができたので、定番感のあるオリジナルソースにした。プレートに入ったソースに、ハンバーガーを丸ごとディップして食べるらしい。

包み紙のない、ソースまみれの巨大バーガー。普通なら、いよいよもって汚れを回避することは困難になっていただろう。あらゆる要素が「手の汚れ」を指し示しているような状況に、深く絶望していたはずだ。しかし今ここにおいては違う。襲い来る脅威に抗う “盾” ──


そう、手袋がある


黒い手袋なので見た目から少しただならぬ雰囲気も漂っているのだが、それはささいなことだ。

手袋をはめた手で、しっかりとハンバーガーをつかむ。料理を運んできてくれた店員さんに「最初はソースをつけずにかぶりついてみてください」とワンパク作法を教授されたので、教えの通りに、まずはプレーンな状態のバーガーにかぶりつく。

美味い。バンズは柔らかくふわふわとしている。加えてそれに負けじとハンバーグの方も柔らかい。かといって食べ応えがないかと言えばそうではなく、きめ細かでとてもジューシーだ。石窯焼きの恩恵を最大限に受けた旨味が味覚を埋め尽くしてくる。

圧倒的と言っていいほど分厚いハンバーグが、こんなにも優しく濃厚な造りであることに舌を巻いてしまう。“究極” の名に負けていない。胃にするすると入っていって、2口、3口と止まらずに食べ進められる。完食してしまう前に、次はソースにディップしてみる。

これまた美味い。醤油ベースのフルーティーなソースには適度な酸味があり、味わいをさっぱりしたものに変えてくれる。プレートに入ったソースを見た時は「かなり量があるな」と思ったが、この絶妙な味を知ったら余すことなく使い果たしてしまいたくなる。

夢中になって食べていたところで、ふと自分の手を見ると、肉汁やらソースやらでべっとりと汚れた手袋があった。こうしてハンバーガーを自由に堪能できているのは、間違いなくこの手袋のおかげだ。

汚れを嫌がるあまり中途半端な持ち方になって、具材がぽろぽろとこぼれるようなこともない。何も気にしなくていいというのが、こんなにも快適だとは思わなかった。目の前のハンバーガーにまっさらな心でぶつかれるのが、こんなにも幸せだとは。

ほかのハンバーガー屋では得がたい安心感に包まれている。長く遠回りをしてきたが、ここが旅路の終わりだ。「ハンバーガー問題」は、ここに終結したのだ。時折こみ上げるものを抑えながら、私は残りのハンバーガーを食べ進めた。


・わがままな思い

店を出たあと、胸の中は満足感で一杯だった。難しいことだとわかってはいるが、ハンバーガーを提供する全てのお店で手袋を導入してもらえたらと、今となってはそんなわがままな思いまで抱いてしまっている。

何にせよ、「いしがまや」には心からの感謝を送らなくてはならない。叶わないと思っていた願いを、黒い手袋で拾い上げてもらえたのだから。

・今回紹介した店舗の情報

店名 いしがまや GOKU BURGER(ゴク バーガー)
住所 東京都渋谷区神宮前5-8-5
営業時間 11:00~23:00
定休日 無休

参照元:株式会社KICHIRI
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.

▼ハンバーガーと手袋セット

▼絶対に手が汚れない安心感

▼ハンバーグはボリューミーで、ソースも美味しい。ちなみに注文前に店員さんがお水を持ってきてくれるので、無理にドリンクを頼む必要はない