全国に展開するスターバックスの中には、いくつか特徴的な外観・建築様式を取り入れた店舗が存在する。「リージョナル ランドマーク ストア」というヤツだ。今回紹介する「鎌倉御成町店」もそのうちの1つでプール付きの庭があり、イケメンバリスタがいる。
店の場所は鎌倉駅西口から徒歩5分程度。漫画家の横山隆一氏の邸宅跡地に建てられたそうで、プールはその名残。当初は「鎌倉のスタバがスゴい!」と、安易に紹介する予定だった本記事。しかし実際に行ったらイケメンバリスタに新しい扉を開かれ、プールどころではなくなってしまった。
・まずは店舗を
とにかくイケメンバリスタについて早急に語りたいのだが、先に店舗について紹介せねばならない。店舗の特別具合もかなりぶっちぎりなので、それだけでも特筆に値するのだ。
まず「リージョナル ランドマーク ストア」ということは先述の通り。それに加えて、鎌倉御成町店は「スターバックスリザーブ」の取り扱い店舗でもある。両方の特徴を持つスタバは、2019年7月現在において全国でこの1店舗だけ。
いちおう「スターバックスリザーブ」取扱店について簡単に説明すると、何種類かの希少な豆を使ったレアでエクスペンシブなコーヒーを飲める店ということ。詳しくはこちらの「スターバックスリザーブ」を堪能している記事を参照していただきたい。
鎌倉御成町店の建築面において、最も見るべきはテラス席だ。藤棚(藤の樹を絡ませてある棚みたいなヤツ)と桜の木が植えられており、その向こうに青い色が映えまくりなプールがある。
きっと4月~5月あたりの、藤と桜の開花時期にはさぞ見ごたえのあることだろう。今の時期は花こそ咲いていないものの、瑞々しい植物の緑と水の青によるコントラストが美しい。こんな庭を作れるなんて、横山氏はどれだけブルジョアだったのか。
テラス席の部分も、長いひさしのおかげで天候を気にせず庭を楽しむことができる。間接照明を多用しているのもムーディーでグッド。椅子の数も多いので、座れないという事態はなかなか無いのでは……と思う。
ケーキも、全国で3店舗でしか販売されていないというレア仕様。他の2店舗は「東急プラザ 表参道原宿店」と「玉川高島屋S・C店」である。来店した時には「ラズベリー&チョコレートケーキ」「フルーツロールケーキ」そして「パイナップルヨーグルトパイ」の3種全てが、まだ残っていた。
限定ケーキ全てをレビューできたらよかったのだが、さすがに一人で3つも食べきれない。どうしようか迷っていたところ、「ぴったり合うコーヒーがある」とのことで「ラズベリー&チョコレートケーキ(税抜500円)」を注文。
・サンジュンヘアーのドウェイン顔なイケメン
そしてやってきたのが、バーカウンターにてリザーブのレアなコーヒーを入れてくれるというバリスタ。そう、タイトルのイケメンバリスタとは彼のこと。
残念ながら顔をお見せできないのだが……例えるならドウェイン・ジョンソンだ。『ワイルド・スピード』シリーズや、『ジュマンジ』で好評を博した、あのドウェインである。
ちょっと若くして、『ハムナプトラ2』のころあたりがちょうど良いだろうか。さすがに筋肉量はドウェインほどではないものの、背は高く、恵まれた体付きをしている。ちなみに髪型は、ロケットニュース24のP.K.サンジュン。
そんなドウェイン顔の彼が、イケメン特有の白い歯を見せつける感じの微笑みと共に勧めるのが「ルワンダ ムホンド」というコーヒー。ショートで580円、トールサイズだと620円である。
失礼な話だが、泥水にカフェインをぶち込めばコーヒーになる……的なくらい、コーヒーにこだわりなど無いまま生きてきた筆者。カップ1杯に600円近くというのは通常なら渋い顔をするところ。
しかしクオリティの高い顔に気をとられ、ホイホイ頷いてしまっていたようだ。気づいたら注文済みとなっていた。そして案内されるがままに、バーのカウンター席へ。
なにやら準備が始まったと思いきや、唐突に差し出されるカップ。挽いたばかりの「ルワンダ ムホンド」が入っているとのことで、匂いをかぐよう勧められた。ぶっちゃけ挽いたばかりのコーヒーの匂いをかぐこと自体が人生初だから、良し悪しなど見当もつかない。
どのように反応すべきか迷っていると
ドウェイン「どうです、イイ香りでしょう」
などと、顔をキメながら言うのである。これには「はい、イイ香りです……」と答えるしかないではないか。それを聞いて満足げに微笑むと、サッとカップを手元に引き寄せてコーヒーを淹れはじめるドウェイン。
そうしてコーヒーが出来上がり、ケーキと共に食べると……
驚愕のシンクロ率
・開かれた新しい扉
なるほど、「ぴったり合う」という言葉がこれほど的確な場面というのもそうあるまい。味噌汁における、味噌とお湯のマッチング具合と同じくらいに、コーヒーとケーキが合っている。もはや一体化している。
この手の嗜好品の良さというのは、往々にしてその道のベテランでなければ、理解や判別はできなかったりする。それがどうだろう。カフェイン入り泥水とコーヒーの区別もつかないような筆者ですら知覚できてしまうレベルの、驚くべき味の親和性。
そういう豆とケーキをそろえているスタバも素晴らしいが、あのイケメンバリスタのスキルも本物なのだろう。生まれて初めて「コーヒーのウマさ」というものの片鱗を見た気がした。
コーヒーってウマいものなんだなぁ……と、しみじみ感動したわけである。オサレな庭付きスタバを見に来たところで、予想外にコーヒーの世界への扉を開かれてしまった筆者。帰り際に一言お礼をと思いカウンターに戻ったところ
ドウェイン「ケーキに合うということであちら(ルワンダ ムホンド)をお勧めしました。良かったです」
ドウェイン「本当はもっとオモシロいのもあるんですけどね……」
慣れた感じで受け答えをしながらも顔をキメつつ、さりげなく気になる一言を放ってくるドウェイン。ほう……「もっとオモシロい」だなんて、そんなこと言われたらどうしようもないじゃあないか。
ドウェイン「この、サンドライド ウガンダ レッドチェリーですがね」
不敵に微笑みながらスマートにメニューを出すドウェイン。動作がいちいちキマっている。さぞやモテることだろう。というか、カウンターに入り浸ってるレディはドウェイン目当てじゃないのか?
・コーヒーの深みへ
メニューを見ると「サンドライド ウガンダ レッドチェリー」なるコーヒーは、なんとショートで920円、トールで960円というブルジョアなお値段。アルコール入りならともかく、ノンアルでこの値段は普通なら迷うまでも無くNGだ。
しかし、先ほど新しい扉を開かれてしまったばかりの筆者に抵抗力は残っておらず、ホイホイと注文。飲んでみると、なるほど……さっきよりも味が多彩な気がする。詳しいことはよくわからないが、確かにウマい。
コーヒーという単一の飲み物というよりは、多数のいろいろな食べ物が混ざり合っているような感じである。もう一つ例えを出すなら、上等なウイスキーだ。複雑な香りを感じさせる液体……とでも言おうか?
きっとコーヒー暦が長く、経験に富んでいれば、製法だとか品種ごとのクセだとか、そういうのもわかってよりオモシロいのだろう。残念ながら筆者にその辺まではわからない。わからないが……そういう楽しみのできる、深みのある世界なのだということの片鱗を感じた。
まったく驚くべき手腕である。スタバのバリスタというのは、皆こういうエレガントなスキルを有しているものなのだろうか? 上手くコーヒーの味で相手を翻弄し、魅了していくのである。ずっとカウンターにいるレディなど、ドウェインにされるがままコーヒーを飲み続けている。
この経験を機に、コーヒーにそこまで関心の無い方にお伝えしたい。スターバックスリザーブ取扱店のバリスタに、一度勧められるがままコーヒーを飲んでみるのもイイぞ……と。未知の世界への扉が開かれるかもしれないぞ!
最後に一つ。鎌倉には御成町店とは別に、駅の反対側にも普通のスタバがある(最初に間違えてそちらに寄ったのだ)。この両店舗に関して、どうも意図的にイケメンをそろえている気がしてならない。イケメンに興味は無いおっさんの筆者ですら戸惑ってしまうレベルのイケメン率でした。
参考リンク:スターバックス、Instagram @therock
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.
▼明るいうちに撮れなかったけど正面はこんな感じ。
▼駅を出てこの道をまっすぐ5分くらい。奥に見えるKINOKUNIYAを通り過ぎてもうちょっと進むとつく。
▼ロールケーキ。これも食べてみたかった。
▼パイナップルヨーグルトパイは最後の一つだった。