突然だが、あなたはそばと言えば何を思い浮かべるだろうか? まずは麺を思い浮かべる人が多いと思うが、この麺の元はそばの実。そして、実ということは花もある。小さく白い花は見ごろになると蝶や蜂といった虫たちの社交場だ

そんな虫たちにとってのそばの花のように、人を引き寄せる立ち食いそば屋が築地にある。その名も『天花そば』。夏にこそ咲く花である

・出会いは突然に

気づけば猛烈な陽射しの今日この頃。太陽も久しぶりで張り切っているようだ。ムワッとした熱気に外を歩けば汗ダラダラ。あまりの暑さに食欲も出ない。こんな時は冷やしそばに限る。そう思って駅の出口を出て目の前の立ち食いそば屋に飛び込んだ。それが『天花そば』との出会いだった。

価格帯はかけそば税込290円、かき揚げ天そば税込400円という立ち食いそば価格。「もうここでいいや」という気持ちである

・立ち食いそば屋の冷やしそば

私は、「冷やしおろし(税込400円)」に春菊天(税込110円)をトッピングで注文した。すぐに、カウンターに置かれるそば。こんもりした大根おろしの山が夏には嬉しい。

とは言え、立ち食いそば屋で冷やしそばを頼むのは実は結構冒険だ。温かいそばはウマくても、冷やしにするとつゆの味が妙に薄くなったり、しょっぱくなっていたりする店は多い。

・もうここでいいや

この時の私は、それも含めて冷やしそばを選んだわけだ。なにせ、「もうここでいいや」である。ところが食べてみたところ……

ウマッ


ほんのりと甘みを感じるつゆが大根おろしのピリッとした辛さとハーモニーを奏でる。冷たさとつゆの濃厚さのバランスがとても良い

さらには、細めでコシがあるそばも つゆ と非常にマッチしていて、そばをすすると口の中をスッと流してくれるような感じがする。くぅぅぅ! こういう冷やしそばが食べたかったんだよ!!


これぞ冷やしそばの黄金比。その時私は思った。「もうここでいいや」と

冷やしそばはもうここで十分だ。そう思ってしまうほど、ウマイ冷やしそばを出す『天花そば』は夏にこそ咲く花と言えるだろう。

なお、私が食べている間も客足が途切れることはなかったが、混みすぎていないのも良いところ。夏の午後に爽やかさを求めるあなたはフラッと寄ってみてはいかがだろうか。

・今回紹介した店舗の情報

店名 天花そば
住所 東京都中央区築地2-10-7
営業時間 月~金 7:30~20:00
定休日 土曜・日曜・祝日

Report:立ち食いそば評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.

日本、〒104-0045 東京都中央区築地2丁目10−7