“役所メシ” つっても、たかが食堂のメシだべ? と侮るなかれ、なかなかユニークなメシを提供している役所が多いのだ。目の錯覚を疑う大きさの「メガカレー」や、ちょいと豪華な「ローストビーフ御膳」、老舗の味が楽しめる「オムハヤシ」など実にバラエティ豊かである。
だがしかし! おそらく他の役所ではそう簡単に真似できない唯一無二のメシを提供しているのが東京・上野にある台東区役所。そのメシとは、ずばり「パンダかれー」だ!
観光資源が豊富な台東区の ”キラーコンテンツ” とも言えるのがパンダ、パンダといえば上野動物園だが、その上野動物園を駅で挟んだ反対側に台東区役所は所在する。
で、目指すは地下1階にある食堂、その名も「チカショク さくら」。台東区は上野公園をはじめとした「桜」の名所でもあることからこのネーミングなのだろう。
券売機を見ると「日替わり定食」や「ラーメン」「そば」「うどん」など定番のメニューが並んでいるが、今回はもちろん「パンダかれー(510円)」を注文!
・パンダ、登場
じゃーーーん! これが台東区ご自慢の役所メシ「パンダかれー(510円)」だ!
どうです、区域内にパンダが生息していなければとても出せない役所メシでしょう、ふっふふふ……と、台東区の区長がドヤ顔でほくそ笑んでいるのかどうかは不明だが、他の役所がうらやむご当地メニューであることには間違いないだろう。
ご飯をキャンパスに見立てて描かれた白黒模様のパンダの顔……可愛いやないか……! 可愛すぎてスプーンを入れるのに躊躇してしまうぜ!
……が、空腹に勝てなかったのでスプーンを眉間にざくっと入刀して、口の中にぱくりと放り込みます。ごめんねパンダ。
なるほど、黒い模様の正体は「海苔の佃煮」だった! カレーと海苔の佃煮の組み合わせ……これはこれでオツですな、ご飯に推進力を与えるダブルエンジン搭載のメシだ。
さて、メインエンジンである肝心のルウだが、細か〜く刻まれた玉ねぎ、にんじん、ズッキーニ、黄色と赤のパプリカ、コーン、そしてお肉などが確認できる。
その味は……ウム。”ド” のつくほど平均的な甘口カレーだ。中辛〜辛口派には少し物足りないかもしれないが、逆に言えば誰が食べてもそれなりに美味しいと思える味でしょう。
前述したようにルウには野菜がたくさん入っている上に、副菜としてブロッコリーも添えられているので、栄養バランスが考えられたヘルシーなカレーとも言える。
・そういえば、リニューアルしたの?
ところで、店頭にあった「パンダかれー」のPOPには、こんな説明書きが添えられていた。
「リフレッシュも終え新たにリニューアル!! お味もちょっと優しくなりました!!」
リニューアル? ちょっと優しくなった? いったい何があったんだ? 気になったので、食堂の人に聞いてみたぞ!
──パンダカレーに何があったんです?
「実は、現在の『パンダかれー』は ”2代目” なんです。初代パンダかれーは、パンダの故郷である中国四川省の代表的な調味料「豆板醤」を使用した辛口カレーだったんです」
──豆板醤カレー? 何それ、美味しそうじゃないですか!
「ところが…… ”子どもに食べさせるには辛すぎる” という声が多かったんです。実際、大人が食べても辛いと感じる味だったようで……」
という経緯があり、その他にも色々とのっぴきならぬ事情があって ”初代パンダかれー” は一時、メニューから追放されたという悲しい歴史を持っているのだとか。しかし! 2017年にシャンシャンが誕生したことをきっかけに、甘口の ”2代目パンダかれー” が晴れてメニューに加わったのだそうだ!
振り返ってみれば、2代目パンダかれーに入っていた小さな具材や優しい甘口のルウは、小さなチビっ子たちにも食べやすいように設計された、思いやりのあるカレーだったようにも思える。もちろん、パンダで癒やされつつ腹を満たしたい大人たちもきっと満足できる味だ。
初代「パンダかれー」を食べたことがある人も、2代目を食べたことがない人も、上野へ来た折にはぜひ立ち寄って食べてみてほしいカレーだ。ただし、1日10食限定だから注意!
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 チカショク さくら
住所 東京都台東区東上野4-5-6 台東区役所 地下1階
時間 平日11:00〜15:00
休日 土日祝日
Report:ショーン
Photo:RocketNews24.
▼13:00〜は大盛り無料だ!
▼「アメ横かれー」も食べてみたい……!
▼上野駅の入谷口にはジャイアントパンダ像があるぞ