東京・渋谷といえば、世界でも有数の繁華街だ。駅周辺は商業施設やビジネスビルが立ち並び、朝から晩まで人が絶えることがない。そんな場所で、落ち着いて作業を行う喫茶店を見つけるのは難しい。大抵どこでも混み合っているし、時間帯によっては他の客の声がうるさくて作業ができない。とくにハチ公口方面で静かなお店はないに等しいだろう。
その点、桜丘町にあるルノアール渋谷南口店はとても過ごしやすいお店だ。穴場的な場所にあり、それほど混みあっておらず、午前中なら集中して仕事にかかることができる。
・ややアクセスが悪い
お店は南口店とは言いながら、渋谷駅南口からやや離れている。徒歩で約5分、首都高をくぐって玉川通りを少し入って坂道を少し上った建物の2階。山手線を挟んだ渋谷ストリームのちょうど反対側に位置している。土地勘がない人なら、ここにルノアールがあることさえも気づかないかもしれない。作業をするには、おあつらえ向きの穴場喫茶だ。
・お馴染みの格安モーニング
この日は朝から取材に出かけていて、9時半の入店となった。出勤前のサラリーマンや、朝方まで飲んだ若者がいる訳でもない。喫煙席42席、禁煙席55席。喫煙席に数人の客の姿が見られるだけで、禁煙席はガラガラだった。私自身、こんな朝早くにルノアールに来ることも珍しい。久しぶりに格安モーニングを注文することにした。
注文したのはモーニングの「S」。サンドイッチとヨーグルト、それにスープがついている。それで価格は190円(+ドリンク代)。普段はトーストモーニング(60円)を頼むところだが、前日の夜にまともに食事できなかったので、しっかり食べておきたかった。おそらく初めてモーニングSを頼んだと思う。
・一切れがデカい
運ばれてきたプレートを見て、ちょっと驚いた。かなりのボリュームだ。これで190円とは。さすがルノアール。
サンドイッチは、たまごとベーコン、ポテトサラダとレタスが挟んである。一切れが大きく、かなり食べ応えがある。
食べるのに夢中になってしまったが、作業をしなければ。取り急ぎ、サンドイッチを頬張って、ヨーグルトを流し込んでパソコンを開いた。気が付けば、店内に客は私だけで、向こうでは店長らしき人が事務作業をしている。朝の営業がひと段落して、たまった書類の片づけに取り掛かっている様子。
・古いタイプのお店
こうやって居心地の良い店があるのも、彼らの働きがあってのおかげ。このお店は男性トイレに灰皿がついていた。現在は使用禁止になっているが、おそらく古くから営業していて、近年改装したのだろう。店構えからその歴史をうかがうことはできないけど、現在にいたるまで営業を続けているからこそ、私は今こうして静かに作業をすることができる。
あの店長の背中に小さくお辞儀をして、私は作業に戻った。このお店がいつまでも穴場喫茶店であるといい。
・今回訪問した店舗の情報
店名 ルノアール渋谷南口店
住所 東京都渋谷区桜丘町15-15 NKG東京第二ビル2F
営業時間 7:30~23:00(日祝8:00~21:00)
Report:ルノアール評論家 佐藤英典
Photo:Rocketnews24