人間とはケツを拭く生き物である。ケツを拭くからこそ、人間であるとも言えるだろう。「ケツを拭く」のはある種、人間に生まれたことの業(カルマ)であり、逃れることのできない宿命(さだめ)だ。
できることなら、この日々の営みを少しでも豊かなものにしたいと思い、何を血迷ったか私(佐藤)は3ロール5000円もするトイレットペーパーを購入して、ケツを拭いてしまった。まさか、皇室献上品だったとは……。
・高級トイレットペーパーだと!?
恥ずかしながら、私は高級なトイレットペーパーでケツを拭いたことがない。高級品のトイレットペーパーがあることさえ、生まれてこの方、40年以上も知らなかったのである。ふと思い立って、ネットで「高級トイレットペーパー」と検索してみたところ、真っ先に出て来たのが、望月製紙の『羽美翔(はねびしょう)』だ。
お値段なんと! 税込で5000円!
1ロールあたり約1670円!! 普段は8ロール数百円の紙で満足している私のケツが、この価値を本当に理解できるのか? 例えるなら、軽自動車しか運転したことがないペーパードライバーが、いきなりF1マシンをサーキットで乗るようなものだ。所詮私のケツなんか、軽トラを乗り回してイキる田舎のヤンキーに等しいのである。注文する時点で血迷っているにもほどがある!
・外箱から違う!
とはいえ、人生1度はそんなF1クラスのトイレットペーパーに触れてみたい。ケツで触れてみたい。ということで、アマゾンで注文。数日して実物が届いた。
箱を見ただけでは、にわかにトイレットペーパーとは信じがたい。と思ったら実は外箱で、中には美しい装飾の施された、本当の外装がある。
箱を見て、中身がトイレットペーパーと思うヤツいないだろ! 日本酒か何か入ってるじゃないかと思ってしまう。中を覗くと……。
和紙に包まれているじゃないか! 恐るべし、高級トイレットペーパー! だが、これはまだ羽美翔のイントロに過ぎない。
・ポエムが行く手を阻む!
箱から取り出して、和紙の包み紙を外さないと、ケツが拭けないんだけど……。しかし今さら「もったいない」と感じてしまって、包み紙を外すことができない……。
う~ん……、田舎のヤンキーレベルのケツに、このF1マシンはマジで惜しくなってきた。だが、一生に1度だ! 自分にそう言い聞かせて、包み紙を丁寧に外す。
中には、美しいプリントが施されているトイレットペーパー。包み紙がゴージャスすぎて現物は若干見劣りするものの、それでも品格がある。少し触ると、触れたことのないような柔らかな手触り。まるで、絹のような優しい感触である。よく見ると、ポエムが書いてある。
「とき 流れしも 姿 変わりしも 受け継がれし 真の心 誇りをもって 和を奏でる」
拭きにくい! これでケツを拭くのは、ためらわれる!! でも、拭かなければ、あえてケツを拭きにいかなければならないのだ! 止めるな、ポエムよッ!
・ケツを拭く!
という訳でペーパーホルダーに、羽美翔をセットーーッ!
ポエムと繊細な蝶の柄が、まるでマジナイのようにケツを拭くのを阻もうとするが、それを無視して、一気にケツを拭き上げるッ! オラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!
※ 本来であれば、私がケツを拭く姿をお見せしたいところですが、諸事情により割愛させて頂きます。あらかじめご了承ください。
ケツを拭いた感想は、手触りでたしかめていたように、尻当たりはかなり柔らかだ。サラリとしていて、シルクでケツをさすったような心地よい感触である。しかしシングルロールのような「薄い」という印象はなく、紙に “コシ” があるようだ。ただ柔らかいだけでなく、しっかりと拭き上げることができ、使用後は幸せな気持ちになることができる。
という訳で、私と同じように田舎のヤンキーレベルのケツの持ち主は、一生に1度はF1クラスに高級トイレットペーパーを使ってみるといいだろう。皇室献上品だぞ!
参考リンク:望月製紙「羽美翔」
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
★こちらもどうぞ → シリーズ「血迷いグルメ」
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]