2018年7月に発生した「50年に1度レベルの記録的豪雨」は、西日本を中心に複数の地域で、大規模な土砂災害や河川の氾濫など甚大な被害をもたらした。夏休みシーズン到来でボランティアへの期待も高まるが、参加者は熱中症や感染症などに注意する必要があるだろう。

そこで今回は、猛暑が続く被災地でボランティア活動をする際の注意点などをまとめてみた。もちろん現場や作業内容によって準備や心構えが変わってくると思うが、実際に筆者が復旧作業に汗を流して感じたことを、そのままお伝えしたいと思う。

・ボランティアのニーズを確認する

まず確認すべきことは、被災地の最新情報だ。ボランティアの受け入れ態勢が整わず、制限している地域がある一方で、報道では紹介されていない地域がボランティア活動の支援を求めている場合もある。各災害ボランティアセンターの最新情報をチェックしておこう。

ちなみに筆者が訪れた地域は「電話で事前登録」を済ませてから、ボランティア参加の流れとなった。登録時に「現在の状況」や「準備」等について確認。当日は9時集合で、ボランティア活動保険に加入してから、作業内容について全体ミーティングが行われるという。

・準備したもの

もちろん装備はすべて自前。熱中症対策のドリンクや塩飴は必須で、服装は暑くても長袖・長ズボンが基本だ。水害にともなう泥出しや片付け作業を行う場合は、防塵マスクや長靴、ゴム手袋も必要となる。もちろん帽子とタオル、コンタクト使用者ならゴーグルもあった方がいいだろう。

また、荷物にならない程度に、疲れやストレスをためないグッズを持参するとイイかも……ということで、筆者は昔から愛用している脱ぎ履きの楽な「かかとを踏んでもOKの作業靴」をカバンに詰め込んだ。長靴が必要でない時はこれで十分。よし、頑張るぞ。

・ボランティア当日

そして当日、朝9時前にボランティアセンターに到着すると、すでに約30人の参加者がホワイトボードで「自分の作業チーム」を確認していた。どうやらスタッフの方が、予約時に伝えた性別や年齢で「チーム分け」をしてくれたらしい。各チーム5~10人編成のようだ。

筆者も「ボランティア活動保険加入カード」に必要事項を記入し、作業服に「名札」を貼ってからホワイトボードを確認。ただ、チーム編成をチェックしたところで何もわからないか~なんて思っていたら、ちょうどミーティングがスタートした。一気に緊張感が高まる

ミーティングでは「現在の市内の状況」「1日の作業の流れ」「15分ごとの休憩」などが伝えられた。そして、とにかく作業時において大切なことは……


「今日できることを、できる範囲で。無理をしないことが1番。続きは明日、作業は明日も明後日も続くのだから」


たしかに。その通りだと思った。

・現場へ

筆者のチームは9人。もちろん全員初対面である。ボランティアに来た理由は様々だが、東日本大震災や熊本地震の時に助けられた方が “恩返し” の気持ちで参加していることを知り、胸が熱くなった。気持ちを1つにしてワゴン車に乗り込む。いざ現場へ。

作業現場となったのは、センターから車で約20分の距離にある木造2階建ての民家。裏山から木や土砂が流れ込んできたそうで、玄関前には前日までの作業で土砂を入れた「土のう袋」が大量に積み上げられていた。 “元通り” にはもう少し時間がかかりそうだ。

・分担作業

作業内容は、被災家屋の家主と相談して決める。この日は「土砂をスコップですくう班」と「玄関前に積んである土のう袋を、業者が回収する集積所まで運ぶ班」の2班に分かれることとなった。筆者は「土のう袋を運ぶ班」の一員となり、運搬用一輪車で往復を繰り返す役割を担当。ソッコーで長靴から作業靴に履き替えた。

履き慣れている作業靴を持参してきたのは正解だったが、やはり問題なのはこの暑さだ……。午前中にもかかわらず、気温は30度を軽く超え、作業前から汗が止まらん。たしかに休憩は超重要な気がするゾ。

・のどが渇く前の水分補給

そんなこんなで作業開始からわずか10分、チームをまとめるボランティアリーダーが全員に休憩を指示した。さすがはベテラン、全体をよく見ている。徐々に体を慣らした方がいいだろう。そして「のどが渇く前の水分補給が重要」ということで水を飲んだ……ウマい。

休憩後、念のため作業ズボンに水筒と塩飴を入れて、作業中でもちょこちょこ水分・塩分補給をすることにした。運搬用一輪車に土のう袋を5個積んで、集積所ですべて降ろして水を1口……そんな流れである。マイペースが1番だ

・絆が生まれる

昼休憩時、持参したおにぎりを食べていたら、家主から梅干しと採れたてのトマトをいただいた。ウマい。ありがたい。また、ボランティア仲間からは刺激強めの「汗拭きシート」を手渡された。ありがたい。全身が死ぬほど冷えて風邪を引くかと思ったが……ありがたい。

午後の作業も同じ流れ。流れ込んで固まった土砂をキレイにかき出し、土のう袋もすべて集積所に運び、15時頃に作業を終えた。ある程度、元通りに近い姿にはなったが「また大雨が降ったら」と考えると不安……今後、崩れた裏山も整備をする必要があるだろう。

・ボランティアの数が足りていない

──ということで、事故なく1日の作業を終えることができた。やはり大事なのは休憩。「倒れるまで頑張ってほしい」とは誰も思っていない。やはり「無理せずマイペースで作業に取り組む」がベストということだ。

現在、西日本豪雨災害の被害は広域過ぎて、復旧のメドは立っていないという。先にも述べたが、報道されていない地域でも支援を呼び掛けているので、行ける場所があれば、ぜひ準備をしてからボランティア活動に参加してほしい。もちろん筆者も活動を続けるつもりだ。

参考リンク:全社協 被災地支援・災害ボランティア情報
Report:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.

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