・喫煙者&来訪者目線

ということで協力してもらったのは、中国に行くとつい現地タバコ「中南海」、しかし吸った瞬間マッハで毎回後悔するという “赤ふん保存協会” 会長のショーロンポー・アツイ氏だ。私も上海で現地の情報を確認したが、やはり喫煙者の視点ではどう見えるのか聞くのが筋であろう。

アツイ氏は『攻殻機動隊』のクゼ・ヒデオ並に人民の心を掌握していく。そのなかでタバコを通して現地の人と仲良くなっているのを見かけ、正直「いいなぁ……」と羨ましく思ったことが100回くらいある。と言ったところで、私は吸わないけど。

──それはさておき。

アツイ氏に、現在の上海タバコ事情に関しての所感を聞いてみたところ……

アツイ「確かに “差不多(そう大差ない)” のように感じられる。一方で、実際に取り締まられた奴も知ってる。でもそれは南京東路とか観光地での話。

たとえば中国人も引くほどのローカルホテル。一応 “禁煙” とはあるけど、実際に部屋には灰皿が置いてあることも。“どうぞ吸ってください” と言わんばかりに」

とのことだった。実際の店名などは伏せるが、地域によっては公共施設や飲食店にも “暗黙の喫煙エリア” が存在する場合があるという。ネズミ1匹逃さない勢いで取り締まりが行われているわけではなさそうだ。また、路上喫煙に対する認識も日本とは少し違うようだ。

そして、

アツイ「喫煙事情がどうこうというより、ここ数年で上海の喫煙者自体が減った気がする。学生など若者は本当に吸わなくなった」

とも話していた。

・中国でこうなら、日本は?

上海で禁煙条例が実施されて1年と少し。2018年3月の時点では、事前情報のとおり、屋外での喫煙は引き続きOKだったし、庶民的な場所では特に変わらない上海タバコ事情が広がっているように見えた。「全面禁煙」というセンセーショナルな言葉が先行している印象だ。

ただ、実際にガイドブックに載っているような “ちょっといいお店” では厳格にルールが守られており、罰金が科されたという事例も多く報告されている。外国人、とくに現地で守ってくれる人がいない旅行者がしょっぴかれると誠に面倒だ。「中国だから大丈夫だろー」なんて言わずにルールに従うことに越したことはない。

中国ということを差し引いても、「最も厳しい禁煙令」でこうなのだから、フンワリした日本の「受動喫煙防止法」なら、なし崩し的に似たような状況になるのではないか。そんな気がしてしまったのであった。

参考リンク:中国上海「上海市公共場所控制吸烟条例」(中国語)、厚生労働省ダイヤモンドオンライン
Report:沢井メグ
協力:ショーロンポー・アツイ
Photo:Rocketnews24.