ついについに日本に上陸した中国料理「蘭州ラーメン」!! 当初、日本の流行を操る人々の差し金かと静観していたのだが、他言語圏のニュースを見ているとどうも “世界的な広がり” を見せているらしく、もしかしたら黒幕は中国政府なのかもしれない……。

という話は置いておくとして、蘭州ラーメンはマジでウマイ! 私(沢井)も中国に行く際は必ず1杯は食べて帰るくらいで、それが日本でもメジャーになるなんて嬉しい限りだ。だが……蘭州ラーメンフリークに言わせると、日本の蘭州ラーメンには1つだけ違和感があるという。

・蘭州ラーメンフリークが東京のお店へGO!

そう話すのは、政治以外の中国事情を地蔵のように定点観測し続ける“赤ふん保存協会” 会長のショーロンポー・アツイ氏だ。中国各地の蘭州ラーメンを味わい、かつアツイ・アベンジャーズの1人には現地の蘭州ラーメン店主もいる。

ちなみに、アツイ・アベンジャーズには他にも、魔窟電気街の闇電話屋、貸本屋、地下眼鏡屋、公安、某日本企業で働く日本人をトラブルから守るガーディアンなど濃いメンツがそろっている。当然、店主もタダ者ではない。

店主……通称「兄さん」の店の牛肉麺は素晴らしくウマく、私も他店のスープがただのお湯に思えるほどなのだ。そんな激ウマ牛肉麺を1杯10元(約170円)で提供し続けるのも奥ゆかしくて泣ける。

──それはさておき。

アツイ氏が、以前の記事でも紹介した話題の蘭州ラーメン店『馬子禄(マーズールー)』で牛肉麺を食べるというので、その感想を聞いてみることにした。というわけで神保町へGO!

・たった1つの違和感

もちろんオーダーは牛肉麺(税込880円)だ。どこからどう見ても清潔な器に、丁寧に盛られた麺と具材。中国のものと比べて「別料理か?」と思うほど、とても華やかなビジュアルだ。

中国のものは、なぜか日本で食べると、クオリティアップなのか清潔感アップなのかわからないが「雑味ある良さ」がそがれてしまいがちだ。『馬子禄』の牛肉麺が放つ美しいオーラにドキドキしてしまうが、蘭州ラーメンを味わい続けたアツイ氏の感想はというと……

「味もしっかり蘭州ラーメン」

とのこと! そうなんだ!! さすが、店主が中国蘭州「馬子禄」本店で修行されたというだけはあるなぁ……!! そんな本物の味の店に行列をなし、中国未体験の人々をも魅了しているというのは喜ばしいことだろう。 

でも本当にまんま中国と同じ雰囲気を味わえるの? その問いについて、アツイ氏は「違和感を挙げるとしたら」と、こう語っていた。

「牛肉麺1杯に1000円近く出す、ということ」

……たしかに! 現地だと大陸で最も物価が高いと言われる上海でさえ10元(約170円)そこそこで食べられるものね。うーん……でも、それは仕方がない! 仕方がない……仕方がない……だってここ日本だもの。東京だもの。それも神保町だもの。

さらに、現地だとよく見る「注文を受けてから目の前で麺を伸ばし始めるという儀式」がすっ飛ばされていたとも。そのためか、麺が現地のに比べるとクッタリしているようにも感じたという。トータルでは、色々と思い出も巡ってきたりして美味しかったということだった。

・食べると大陸の風が吹く

誤解なきように補足すると「現地より高価格であること」を不満に思っているわけではなく、「敢えて違和感を挙げるとすれば」ということ。つまり、神保町『馬子禄』の牛肉麺はそれほどのものということだ。一口食べれば、思い出もあいまって大陸の風が吹いてくる。

中国未体験の方には、麻婆豆腐だけじゃない中国料理を知るきっかけになるし、中国経験者にとっては記憶をいつくしみに行くのに、とてもちょうどいい場所だと言える。現在、続々と蘭州ラーメンの店が登場しているが、一過性の流行ではなく、このまま定着してくれれば何よりではないだろうか。

Report:沢井メグ
協力:ショーロンポー・アツイ
Photo:Rocketnews24.

▼兄さんの店の牛肉麺。素っ気ない見た目だが麺もスープも素晴らしくウマイ


▼注文を受けてからその場で麺を伸ばすスタイル

▼クルクルもするよ。もうちょっと商売っ気を出してもいいんじゃないかと思う