むかーし、むかし。剣豪・宮本武蔵は「神様や仏様のことは敬いますが、それに頼らない方向でやっていこうと思ってまーす」的なことを言ったという。なんとも立派。「さすが宮本さんやで」と言いたくなるストイックなお言葉であるが、私のような一般庶民は「神様や仏様にすがれるだけすがって生きていきたい」と思ってしまう時もあるものだ。
となると、仕事を辞めて四国に飛び、88カ所のお寺を巡りながら祈りまくる──いわゆる四国お遍路をして、自分の運を高めたいところなのだが……もっと最強の運が欲しい! パないご加護を得たい! 神様から守られまくりたい!! と考えた結果、ギリシャのパルテノン神殿まで行き祈ってきたので、レポートしたい。
・思わぬトラップが
最初に言っておこう。パルテノン神殿で、何もかもスムーズに進んだわけではないということを。神殿があるアクロポリスの丘の上まで辿りついたところで、私は思わぬトラップに苦しむことになった。それは……
神殿の写真を撮ろうとすると、クレーンや工事用の足場などがどうしても写り込んでしまうことである。
というのも、パルテノン神殿は修復工事中で、屋根にクレーンなどの機器類がガッツリ取り付けられていたのだ。当然ながら、そういう工事現場的なものは写真のフレーム内に入れたくない。煩悩にまみれたことを言うと、インスタ映え的な観点からもちょっとアレである。
そんなわけで、工事現場的なものが写らないアングルを必死に探したのだが……ダメ。
正面からなんて当然のように……ダメ。
パルテノン神殿の周囲を見渡し探しても……ダメ。
──こうして、結果的に満足のいく神殿の写真を撮れなかったのだ。
・マジでパない神殿
ただし、心残りだったのはそれくらいで、全体的にはパルテノン神殿のパなさに圧倒されまくり。「なんてスゲー場所なんだ」と思いながら心の中で手を合わせ、オレ流のお遍路は完了したのであった。
ちなみに、海外サイトThe Guardianがかつて報じたところによると、アテネ市は「パルテノン神殿の修復プロジェクトが終了するまでに最低でも20年以上かかる」と2005年に発表してるらしい。なので、修復が完了するのは2025年より後になりそうだ。パルテノン神殿までお遍路しに行く人は、その点を心に留めて置いた方がいいだろう。
──と、ここまで読んでくれた人の中には、こう思っている人もいるかもしれない。「それはお遍路じゃなくて単なる観光だろ」と。……確かに、私がおこなったのは伝統的なスタイルのお遍路ではない。その点は認めるが、今や伝統スタイルだけがお遍路じゃないのだ。
・実はお遍路って割と自由
四国地区観光公式サイト『巡るめく四国』によると、金剛杖、菅笠(すげがさ)、白衣といった伝統的なお遍路さんだけでなく、「ファッショナブルな服装で挑戦する若い女性たちの姿も増え」ており、「自分にあったスタイルでいい」のだとか。
さらに同サイトによると、お遍路では「(四国にある88カ所の霊場を)巡る順番や数、期間が自由なだけでなく、巡礼の手段も自分にあわせて選択できる」という。徒歩じゃなくても、車でもバスでもいいらしい。そう、お遍路って割と自由っぽいのだ。
ならば……巡るお寺を自分の好みで変えちゃってもいいんじゃないだろうか? なんなら、仏教系の場所じゃなくてもいいんじゃないだろうか? そもそも大事なのは真剣に祈る気持ちとその場所に対する敬意であって、他は二の次なんじゃなかろうか?
うん! きっとそうだ。だったら、フリースタイルジャズならぬフリースタイルお遍路って感じで、世界最強クラスの “頼りになりそうな神様” がまつられている場所まで行くのもアリだろ!
──と考え、パルテノン神殿まで向かった次第だ。なにせパルテノン神殿には、知恵や芸術・戦いなど多くのジャンルを司(つかさど)るマルチな女神・アテナがまつられているのだから。
・祈った成果は?
そしてその成果なのかどうか分からないが、個人的には最近 運勢が高まってきたような気がする。例えば、今もまさに私にとって “ありがたいこと” が起こっているのだ。あなたがこの記事を最後まで読んでくれているという “ありがたいこと” が。
参照元:四国地区観光公式サイト『巡るめく四国』、The Guardian(英語)
Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
▼階段を登り……
▼柱の間を通ると……
▼名高いアクロポリスの丘だ
▼主役はもちろんパルテノン神殿!
▼なお、アクロポリスの丘から見たアテネの街並も最高!