2018年2月9日に行われた平昌オリンピック開会式。韓国・北朝鮮の合同入場やキム・ヨナさんの点火などで話題となったが、上半身裸で入場行進をしたトンガ代表団の旗手も熱い注目を集めた。

極寒の中ムッキムキの上半身を惜しげもなくさらすその姿に、世界中がメッロメロに。日本メディアも “肉体美の選手が帰ってきた” 、“ド根性の上半身裸” などと大きく取り上げ、「こんなの寒くないよ」という選手の言葉を報じた……のだが、やはり裸はちとキツかったもよう。この度、海外メディアに対して「実は寒かった」と “告白” していた。

・「トンガ…お前またか…… 」

ノルディックスキー距離(クロスカントリー)のピタ・タウファトフア選手。2016年リオデジャネイロオリンピックではテコンドー代表として出場し、開会式で今回同様のムッキムキ入場行進を見せて大きな歓声を浴びた。

身長190センチ、体重100キロの恵まれた体躯に鍛え上げられた筋肉、オイルが輝く肌、爽やかな微笑み、美しい民族衣装……ああ、もう見ているだけでウットリ。日本のTwitter上でも……

「トンガ…お前またか…… 」
「開会式の金メダル」
「トンガ優勝」
「トンガ代表、強すぎでしょ」

……などとため息があふれた。リオ五輪後には俳優やモデルのスカウトがどっと寄せられたというのも、納得のゴージャスさである。

・「寒くないよ。へっちゃら」でも動いていないと……やっぱり寒い!

『スポーツ報知』によると、氷点下7度の開会式でもタウファトフア選手は「寒くないよ。トンガから太平洋を航海してきたんだから、こんなのへっちゃらだ」と語ったとのこと。しかし動いていないとやはり寒かったらしく、開会式が終わった後に英メディア『Daily Mail.com』が同選手にインタビューしたところ……

「けっこう寒かったね」

「座って、動いていないときは、ちょっと寒かった。肩を冷やさないようにジャケットを羽織っていたよ」

……なんて “告白” があったそうだ。同時に「歩いているときは平気だった。アドレナリンが放出されていたからなにも感じなかった」との答えもあったので、「こんなのへっちゃら」という言葉に噓はない。やはり彼も人間なのだ。

・「僕たちのあたたかさは内側からやって来るもの」

このインタビューで彼は他にも色々なことを話しているのだが、その内容が素晴らしかった。寒さについて上記のように語りながらも「みんな寒さを心配していたけれど、僕たちのあたたかさは内側からやってくるものなんだ」と名言を残し、「有名になることが目標なんかではない」と断言。次の通りに胸のうちを明かしていた。

「己の名声のため、有名になるためだけになにかをするのは、とてもつまらないこと。もっと大きくて、永遠に続くなにかのために行動したい」

彼がテコンドーからクロスカントリーに鞍替えしたのも、トンガの若者たちに挑戦する姿を見せたかったからなんだとか。

「トンガはラグビーが強いけれど、それだけじゃないはず。みんなに、他の数多くのスポーツでも成功できることを知ってほしかったんだ」

タウファトフア選手は7人兄弟だが、4、5歳のときに12歳の姉をガンで亡くしたという。『The Guardian』で彼は、その悲しい経験から、人生を最大限に楽しみ、不可能だと思えそうなことにもチャレンジする姿勢を学んだとも話しているのだった。

参照元:Mail OnlineThe Coconet.tvThe Guardian(英語)、スポーツ報知NHK 選手データ、Instagram @pita_tofua
執筆:小千谷サチ