アジア最大級のディズニーパークと言えば東京ディズニーリゾート……じゃなくて上海ディズニーリゾート(SDL)! 2016年に中国上海市にオープンした世界12番目のディズニーパークである。
規模もさることながらアトラクションの行列も凄まじく、とても1日2日じゃ回り切れないのが現状だ。そんななかSDLが打ち出したガイドツアーが物議を醸している。ガイド&ファストパスつきのものなのだが、価格もやり方もエゲツないと批判の声が出ているのだ。
・上海ディズニー「VIPツアー」が炎上
その名も「VIPガイドツアー」。1グループにスタッフがつき、園内をガイドしてくれるというもの。3時間と6時間のコースがある。そして目玉は何と言っても、人気アトラクションのファストパスルートを使える点! つまり並ばなくてもいいということだ。
このツアーは、以前TDLに存在した「プレミアムツアー」に似ているが、大きく異なる点があった。それは……
・お値段4万6000円~ / 入園チケットは別
参加費がメチャクチャ高いということである! 3時間の短時間コースでも1名につき2700元(約4万6000円)。6時間だと3000元(約5万2000円)するという。なお入園料370元(約6400円 / 繁忙期は499元:約8600円)は別だ。
家族4人で利用したら、3時間コース&閑散期でも入園料コミで20万円以上もするではないか!!
いくら中国のGDP増加率がハンパないからと言っても、これはお高い。また、TDLの旧プレミアムツアーが1グループ6名で2万1600円ということを考えると、価格のエゲツなさが浮き彫りになるようだ。
・実質的な「割り込みツアー」と批判
そんなツアーに対し、一般客やネットユーザーからは不満が続出しており、
「実質、“割り込みツアー” だ」
「上海ディズニーは法外な “割り込み料” をとっている」
「一般客に損をさせて、お金持ちにすり寄るの?」
「不公平だ」
などという声が出ているそう。確かに、自分は長時間並んでいるのに、スルっと別のルートで入れる人を見てしまったら、いい気持ちはしないはず。さらにそのツアー価格が、「手を出せないレベル=万人にチャンスがあるわけではない」と知ったら、感情的になかなか納得できないだろう。
・契約違反の疑い
不満の気持ちはよーくわかったが、この状況は客観的に見てどうなのだろう? 現地メディアによると華東政法大学の鐘剛・副教授は「事前の告知なしに、一般客の利益を犠牲にしてVIPの特殊な要求を満たし、利益をむさぼっているのであれば、契約違反の疑いがある」とコメントしているそう。
世界を見渡せば、USJのように有料のファストパス的なチケットを扱っているところもあれば、似たようなツアーを実施しているパークもある。SDLのツアーが問題視されたのは、価格などが少し度を越してしまったせいな気もするが……今回の騒動を受け、ツアーやファストパスの配布が見直されることはあるのだろうか?
参照元:法制日報、新浪財経(中国語)
執筆:沢井メグ
Photo:Wikimedia Commons