東西で色の濃さが違うそばつゆ。関東に比べて、関西のつゆは醤油色が薄いことから「透き通る」と表現されたりもする。
大阪出身の私(中澤)は、透き通るつゆに馴染みがあるのだが、関西風よりもさらに上の透明度を発揮しているそば屋を発見したのでご紹介したい。ガラスのように透き通るつゆには醤油の影もない。マジでこれはそばなのか……?
・味のある外観
ウマいそば屋を求めて色んな街を放浪する「立ちそば放浪記」。そんなそばに出会ったのは、牛込柳町にある『白河そば』だ。大衆食堂のような外観のこのそば屋。店外の立て看板には、「塩だし」「ひもかわうどん」などの見慣れない文字が。
・謎のメニュー
入店してみると、店の真ん中に立ちテーブルがあり、壁沿いのカウンターと合わせると、計10人くらいは立ち食いできそうなスペースだった。さっそく、厨房前のカウンターの注文列に並ぶ。とりあえず、「かき揚げ天そば(570円)」でも注文しとくか。
……と、思ったその時! 前に並んでいた男性の口から聞いたことのないメニュー名が飛び出した。男性は言った。「かき揚げ天そばと……とうふめし!」と。トウフメシ? トウフメシって何だ!?
名前から判断するに、豆腐が乗せられたご飯なのだろうが、それって嬉しいのか? だが、「小カレー(310円)」もあるのに、常連っぽい男性はあえての「とうふめし(210円)」を選んだ。なにか秘密があるに違いない。というわけで、私も「かき揚げ天そば」と「とうふめし」を注文。
・とうふめしの正体
まず、「とうふめし」がお盆に乗せられる。が、想像していたのとだいぶ違った。ご飯に乗っているのは豆腐のはずだが、その色はまるで肉みたいな濃い茶色。
その豆腐のビジュアルに虚を突かれる。だが、次に運ばれてきた「かき揚げ天そば」はさらに上を行っていた。え、これってそばなのか?
・透明なつゆ
奥の奥の麺までくっきり見えるほど透き通ったつゆ。そのガラスのような透明度は、関西つゆのレベルを軽く凌駕している。これ、本当に味ついてるんだろうか。醤油入れ忘れてない? おそるおそる食べてみたところ……
塩ラーメンのような濃厚かつコクのあるつゆの味! 「塩だし」ってそういう意味か!! 後味もスッキリと爽やかで、次から次へと飲みたくなる! やめらんねーーーーーーー!!
しかも、つゆの味の個性がそこまで強くないため、厚めのかき揚げ天の香ばしさや、そばの風味が引き立っている。完全にウマイ!!
・個性の塊のそば屋
一発でこだわりのつゆであることが分かった。そんなそばに促されるように「とうふめし」を食べてみると、味の染み込みまくった豆腐と甘辛いタレのかかったご飯がまたナイスバランス! なんだか懐かしさを感じる味だ。癖になりそう……。
一見、普通のそばメニューでも、圧倒的な個性を見せてくれるこの店。他のメニューもひと癖もふた癖もありそうだ。そばにのど越しの良さを求める人はぜひ一度食べてみてくれよな。
・今回紹介した店舗の情報
店名 白河そば
住所 東京都新宿区原町2-8
営業時間 平日7:00~17:00 / 土7:00~15:00
定休日 日・祝日
Report:立ちそば評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼味染みすぎなとうふめし
▼ガラスのように透き通るつゆ
▼個性派だけど味もウマイ