人は誰でも等しく屁をこく。屁とは不思議なものだ。時に笑いを誘い、時に怒りや不快感を誘う。屁を完全にコントロールできれば、人の感情をコントロールできるはずである。「そんな訳ない」だと? たかが屁と侮るなかれ。

もしも屁を過小評価しているとしたら、私(佐藤)はこう聞きたい。「おまえは今まで、1日に何回屁をこいているか、数えたことがあるか?」と。おそらく答えられないはずだ。そこで私はこの問いにひとつの答えを出すために、1日の屁の数をかぞえてみた。その結果、緊張と緩和がおケツに与える影響を垣間見ることができた。本稿は屁を通して見えてくる「人体の不思議」の一考察である。

・はじめに

まずはじめに、私は自分の屁をできるだけ正確にカウントするために、屁をこくたびに自分宛てにメールを送った。「屁メモ」と題したメールを逐一送信して、どこで何発こいたかを記録したのである。

2017年8月某日。天候は曇り。この日の気温32度。陽射しはそれほど強くなかったが湿度が高く、湿気が肌にまとわりつくようでムシムシとしていた。普段であれば、私は起きてから出かけるまでの間に、5~6発は軽快にこく。

ところがこの日は不調で、出かけるまでに1発もこくことはなかった。屁カウントにはふさわしくない日かも? そんな風に感じながら1日を始めた。

10:00 歯医者近くのコンビニで3発

最初の1発は、通っている歯医者の近くのコンビニで。そのお店の喫煙所で静かに放屁した。「最初の1発」と記したが、正確には3発続けて出ている。この調子でテンポ良くカウントを重ねていくと思ったのだが……。

12:45 食事中に2発

次に放つまでに、1時間以上のブランク。食事をしている途中でうっかり2発。実は食事終了間際にもう1発。どうもこの日はリズムが悪い。普段ならもっとイケるはずなのに。

13:00 歩行中に1発

イマイチ振るわないまま午前中は過ぎ去ってしまった。この後、歩いている時に1発。タバコ屋の店先の喫煙所で1発。乗り継ぎの電車内でこっそりと1発放っている。

13:45 東急ハンズ(新宿)5階で2発

この後、新宿の東急ハンズ5階でATMを操作中に2発。高島屋の食品売り場で5発も放った。食品を前に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。そして、高島屋から当編集部に向かう途中、歩きながら4発。事務所近くのファミマで4発放つ。段々エンジンがかかってきた!

15:00~19:30 編集部で計13発

15時から19時30まで、編集部で記事の執筆を行いつつ、時々ベランダの喫煙所で休憩をとりながら合計13発、小刻みにカウントアップ。やっと調子が出てきた感じ。

20:00 スタジオに移動中に5発

この日はポールダンスのレッスン日。スタジオに移動している間に5発をカウント。ちなみにスタジオに入ってからは1発も出ることなくレッスン終了。

22:45 帰り道で立て続けに3発

スタジオから帰る道すがら、思い出したように3発放屁。すでに1日が終わろうとしている。

汗だくで帰宅して、タオルで汗を拭きながら着替えている途中に、脱力ついでに2発。

23:45 銭湯入浴中に5発

自宅近くの銭湯に行くのが日課。入浴中に5発を放つ。ちなみに浴槽内での放屁は極力避けるようにしている。そうして1日が終了した。最終的にこの日合計カウントは……。

合計52発という結果となった。序盤、スロースタートであったために、なかなかカウントを伸ばすことができなかったが、昼すぎにエンジンがかかり始めて、後半4連発、5連発を繰り返して、最後は50発オーバーでフィニッシュしている。

・まとめ「緊張と緩和」

今回の研究で着目すべき点は、歯医者とポールダンスの時間である。それぞれ1時間以上もの間、治療を受けたりレッスンを受けたりしている。1日のなかでもかなり長い時間を費やしているのだが、その間に1発も屁をこいていない。

これはおそらく、緊張しているために屁を出す余裕がなかったものと見られる。その一方で、編集部で仕事をしていたり、自宅で着替えている最中、また銭湯で入浴している間に屁を連発している。

・自分でも数えてみよう!

このことから、緊張状態もしくは緩和状態がおケツに与える影響は大きく、その落差が激しいほど、屁が出やすくなるのではないかと推測される。したがって、本人の意志とは無関係に、緊張と緩和が屁に影響していると言っていいかもしれない

屁をこく人を批判する風潮があるのだが、もしも誰かが屁をこいたら「あ、この人は今、リラックスしてるんだ」とか「直前まで緊張してたんだな」と考えたらいいだろう。皆さんもぜひ、自分の屁の数をかぞえれ、自らが屁をこく傾向を分析してみてはいかがだろうか? 自分をより深く理解できるぞ!

Report:佐藤英典
イラスト:Rocketnews24
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