聞きたいことも聞けないこんな世の中じゃポイズン……そんな気持ちで、誰に対しても遠慮なく質問をぶつける人もいる。うん、知らないことは知ったかぶりをせずに素直に聞く態度って素敵!

とは言え、相手の気持ちを考えずに、なんでもかんでも質問を投げつけるのはダメダメだ! たとえ悪意がなくても、“聞いたら失礼にあたる” 質問ってあるもの。

この度もあるゲイ(同性愛者)&バイセクシャル(両性愛者)の人気ユーチューバーが、「ゲイやバイセクシャルの人に聞いてはいけない 10の質問」を解説する動画を公開した。一体、どんな質問がNGなのだろうか?

・「聞いてはいけない質問」を楽しく教えてくれる動画

ゲイであるリヤド・Kさんと、バイセクシャルのメラニー・マーフィーさんが発表した動画『10 Things Not To Ask A Gay/Bi Person | ad』。

2人は「こんな質問をするんじゃない!」と怒っている訳ではなく、「聞かないほうがいいよ。聞きたい場合は慎重にね」と質問をリストアップしてみたそう。体験談を交えながら、NGな理由を明るく説明してくれている。

2人の素敵な雰囲気は、ぜひとも動画を再生して味わっていただきたいが、以下で「10の質問」を簡単に見ていきたい。

質問1:「どっちが “男役” で どっちが “女役” なの?」
聞かれても全く気にしない人がいる一方で、気分を害する人もいるというこの質問。リヤドさんは「僕は聞かれたくない」と話している。いずれにせよ、他人が知る必要のない情報だと説明されている。

ちなみにこの質問を日本ですると、「デリカシーがない人だと」思われるという情報もある。詳細は後述する。

質問2:「強欲だからバイセクシャルなの?」
「男女の両方を好きになれる余裕があるってこと」「こんな質問を他人にするなんて最低」とメラニーさん。

質問3:「バイセクシャルだと浮気しやすいのでは……と、恋人が心配したりする?」
メラニーさんは一途なので、これまでに恋人から浮気の心配をされた経験はないそう。ヘテロセクシャル(異性愛者)にも、浮気しまくりの人はいる。浮気をするのに性的指向は全く関係ないと2人は力説している。

質問4:「いつ自分の性的指向に気付いたの?」
「数えきれないほどこの質問をされた」というリヤドさんは、こう聞かれたら「あなたは、いつ自分がヘテロセクシャルであることに気付いたの?」と返すようにしているとのこと。「社会から “異性を愛するのが普通” と押し付けられていたから、自分がゲイであると認識したのは周囲よりも遅かったのでは」とも話している。

質問5 :「なんでゲイの男の人って、女っぽい仕草を取るの?」
「いまだに男っぽいとか、女っぽいとか言ってるの?」「僕は女っぽい格好や仕草をするし、舌足らずでピンク色が好き。でもそれが自分自身なのであって、他人からジャッジされるべきではない」とリヤドさんは話す。

そしてこの質問からは、「男性が女っぽい仕草をとる = 悪いこと」といった思い込みも感じられるそうだ。

質問6:「あなたの性的指向を見せつけるのヤメてくれない?」
まず2人は「ヤメない」と断言。なぜなら今の社会は、ヘテロセクシャルばかりが自分たちの指向を見せつけているのに、そちらは全く問題にされていないからだ。

そしてマイノリティー側の性的指向にまつわる発言や行動を続けることで、他の人々を解放したり、助けることにもつながり、世の中の理解も深めていく。だから「ヤメないよ!」と2人は高らかに宣言。同時に「ヘテロセクシャルの人たちも、性的指向を見せつけるのをヤメないでね!」とも主張している。

質問7:「私の “ゲイの親友” になってくれない?」
2000年代「ゲイの友達を持つことはイケている」という風潮があった。でもそれは、ただのアクセサリー感覚。友情ではない。リヤドさんは「 “ゲイの親友”にはならないけれど、気が合えば普通の友達になるよ」と答えている。

質問8:「あなたゲイなの? なら一緒にショッピングに行かない?」
質問7に関連したような質問。リヤドさんは「行かない」と一言ではねのけた。

質問9:「ゲイ or バイセクシャルの友達がいるんだけど紹介しようか? デートとかできるじゃん」
性的指向がたまたま同じなだけで、誰とでもすぐに仲良くなれる訳がない。どんな人間関係でも同じように、「気が合うかどうか」が大切だと2人は話している。

質問10:「同性婚も認められつつあるんだし、もう充分なんじゃないの?」
充分ではない。今なおホモフォビック(同性愛嫌悪)な事件が毎日のように起こり、LGBTの権利問題も山積している。たしかに同性婚が認められる国の増加は大きな一歩だが、だからといって戦いが終わった訳ではない。そう、リヤドさんとメラニーさんは答えている。

・「自分がされたくない質問は他人にもするべきではない」

では、これらの質問は日本だとどう受けとめられるのか? ゲイである日本人男性Aさんに、動画について意見を求めてみたところ、以下のような答えが返ってきた。

—— 質問1『どっちが “男役” で どっちが “女役” なの?』と聞かれることについてどう思いますか?

Aさん:「日本では “男役・女役” という言葉は、性的関係を指す場合が多いので、こんな質問したらデリカシーのない人だと思われる。

海外だと日常生活でも “エスコートする人=男役” なんかがあるのかもしれないけれど、日本の同性カップル間では、日常生活での役割分担はあまり無いように思う。だから “男役・女役” という言葉は、性的な方向に意味が向きがち」

—— では質問4『いつ自分の性的指向に気付いたの?』や質問5 『なんでゲイの男の人って、女っぽい仕草を取るの?』など、その他の問いかけについては?

Aさん:「リヤドさんも言っているように、人によって質問に対する感じ方は違う。例えば僕は質問4を聞かれても気にならないけれど、リヤドさんは嫌だって言っていたよね。質問5なんかは、聞いてくる人によって、失礼で挑戦的な問いかけだと感じることもあるかな」

—— 人や状況によって受けとめ方が違うんですね。

Aさん:「たしかに人や状況によって受けとめ方は変わってくるけれど、動画で挙げられている質問は、まず聞かないほうがいいと思う。

性的指向を隠して生活することが難しい場合もあるし、抑圧を強いる質問6『性的指向を見せつけないで』はすごく失礼。質問7『私の “ゲイの親友” になってくれ』や質問9『ゲイの友達がいるんだけど紹介しようか?』は、2人の言う通りだと感じた。

自分(ヘテロセクシャル)に当てはめて考え、自分がされたくない質問は他人にもするべきではないという意識を持つことが大切なのでは」

参照元:YouTube
執筆:小千谷サチ
Photo:RocketNews24.

▼アッパーな雰囲気が素敵なリヤドさんとメラニーさん